第九話  洞窟への入り口

シャウル「階段の一段目とはどの階段の一段目でしょうか。」

ハーナイル「おそらくこのジュコイルを囲む断崖に取り付けられた青透明の石板の階段のことでしょう。」

シャウル「では行きますか。」

ハーナイル「ええ。マユイルも起こして行きましょう。」

そう言うとハーナイルは四階にいるマユイルを起こし、三人は一階に移動した。

マユイル「それでこれから何をするのですか?」

ハーナイル「これからウボーギルの入り口があると思わしき場所へ行きます。」

マユイル「四十七番目の対となる石板と緑玉の指輪は見つかったのですか?」

ハーナイル「緑玉の指輪はシャウルの持ち物でした。そして四十七番目の石板にその対となる石板の場所が記してありました。」

マユイル「ちょっと待ってください。なぜ緑玉の指輪をシャウルが持っているのですか?」

シャウル「それはわかりませんがこの指輪は大樹ヨルフから授かった物で三百年前の森の賢者モログが持っていた物なので三百年前にジュコイルとモログに何らかの接触があったと思われます。」

マユイル「それで四十七番目の石板の対となる石板はどこにあるのですか?」

ハーナイル「おそらくジュコイルを囲む断崖に取り付けられている青透明の石板の階段の一段目であると思います。四十七番目の石板にそう出ました。」

ハーナイル「ではそろそろ行きましょう。」

ハーナイルがそう言ったので三人は話を中断し、建物の外に出た。外からこの建物に入るときには魔法陣を解かなければいけないが内側から外に出るときはその必要はないようだ。

三人は大通りをまっすぐジュコイルの外に出る方向へ歩いて行った。

シャウル「前から思っていたのですがあの中央の大きな建物に設置されている大量の門は何ですか?」

ハーナイル「あの門はそれぞれがミスティアのあらゆるところにつながっています。こちらからミスティアのある場所へ行くことはできますが、あの門からジュコイルに入ってくることはできません。」

シャウル「では以前マユイルがダラスに来た時にもあの門を使ったのですか?」

ハーナイル「その通りです。ミスティアは広いですから。」

シャウル「では次にジュコイルの家はかなり小さく一見ドアもないように見えますがいかにして中に入るのですか?」

ハーナイル「いちおうジュコイルの家には目に見えない魔術式が施されており、それを解けば中に入れる仕組みになっているものが多いです。ちなみに縮小呪文で小さく見えていますが中はとても広いです。」

そんな話をしているうちに三人はジュコイルを抜けた。

目の前の断崖からは滝が流れ、ジュコイルの外の地面は湿り草が茂っている。三人はジュコイルを囲む断崖の内側に沿うようにぐるっと取り付けられた階段の一段目の方へ向かって崖沿いを左回りに移動していった。

三人は階段の一段目の前に来た。

シャウル「ではこの一段目の板にこの指輪をかざせば仕掛けが作動するということで良いですか?」

ハーナイル「ええそれでお願いします。」

シャウルは人差し指の指輪に魔力を込めて断崖に刺さっている青透明の板にかざした。

すると青透明の板が緑に光り、スルッと断崖から抜け落ちた。

板が抜け落ちた衝撃で後ろの岩もガラガラと音を立て崩れ落ち、


洞窟への入り口が現れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る