第六話 聖女マユイル

シャウルとモーシーは青く光る石の方へ行った。青く光る石はかなり遠くにあった。モーシーが石を拾うと、青い石から細い線の様な光が出て、モーシーの真後ろを刺した。モーシーが後ろを振り返るとまだ少し原形をとどめた家があった。

モーシーが家の中に入って中を確かめると、壊れたキッチンに食卓にソファーという普通の家の隅に明らかに合わない小さな魔術式が書かれていた。モーシーが念仏のように長い長い呪文を唱えて魔術式を解こうとしたが、何も起こらなかった。続いてシャウルが手を触れて魔力を流し込んでみたが何も起こらなかった。魔術式を解く方法が分からないので、しばらくその場に座って考えた後、モーシーがはっと気付いたようなそぶりをし、試しにパスジルの目印だといった青い石を魔術式にかざすと、魔術式と石が強く反応して、シャウルとモーシーは魔術式の力でその場からワープした。

シャウルがあたりを見渡すと、夢で見た小さな神殿だった。周りに四本の大きな白い柱が立っていて、柱に乗った大きな屋根があり、真ん中には大きな人間の像が置いてある。像は王冠をかぶっており、冠の左右には赤と緑のきれいな玉が取り付けてあり、真ん中には玉をはめられそうな、はめ穴のようなものがあったが、玉ははめられていない。

シャウルがモーシーにここはどこだろうと聞こうとすると、モーシーは後ろ側を見ている、シャウルもモーシーが見ている方を見ると、夢で見た女性が歩いてきた。

モーシー「シャウル、構えろ。奥から誰か来る。」

シャウル「おそらくですが、あれは敵ではありません。」

歩いてくる女性が話しかけてきた。

マユイル「よく来ましたシャウル。そちらの方はあなたのお仲間さんですか?」

シャウル「こちらはモーシー。私の仲間です。モーシー、こちらはマユイル。我々の仲間です。」

モーシー「我々の中の仲間であるという証明をしろ。」

マユイル「いいでしょう」

そういうとマユイルが右手を斜め下に出し、次の瞬間ピカッと一瞬光ったかと思うと、傷ついて横たわっているシャウルと同じくらいの身長の長く伸ばした青い髪の男性が現れた。

モーシー「パスジル。それはパスジルなのか?」

マユイル「ええ、二週間前海底都市ダラスに調査に来た時にたくさんの魔物が集結しておりおかしいと思って魔物の巣に潜り込むと、魔物たちに拷問され、ひどく傷ついていたところをスキを見て私が助け出し、手当てしていたのです。」

シャウル「ここはどこですか?」

マユイル「ここも一応海底都市ダラスの中ですが、私のはっている特殊なバリアにより、魔物たちには見つかりにくくしてありますが、見つかるのも時間の問題でしょう。」

シャウル「パスジル以外にもう数人の魔術師でこのダラスに調査に来たはずなのですが、その方たちは知りませんか?」

マユイル「そのような方々は見つかりませんでしたが、おそらく魔物たちに見つかったのであれば、パスジルを保護して二週間になります。もう死んでいる可能性は十分考えられますが、パスジル曰く四日間の間拷問されていたそうなので、少なくとも必要な情報を聞き出すまでの食料は出してくるはずなので、もし今の今まで情報をしゃべっていないのであれば、生き残っている可能性は高いでしょう。」

モーシー「今回調査に向かった魔術師たちはどれも若いが場数を踏んでいる。可能性がないというわけではない」

マユイル「私はパスジルの手当てをした後すぐにここを去るつもりでしたが、お仲間がまだいるというのであれば、手伝いますよ?」

モーシー「ではまずお前のことをもっと詳しく話してほしい。」

マユイル「いいでしょう私の名はマユイル。隠された都市ジュコイルの聖女で、海底都市ダラスの調査に来たものです。」

モーシー「ジュコイルとはなんだ?」

マユイル「ミスティアの地を覆う霧の中にある都市で、かつて邪神ファボールの率いる軍勢と対等に戦ったとされる魔術の神ユリギエルの血を引いていると言われる民族で構成された街です。随時ミスティアの各地に調査兵を派遣させ、ミスティアを陰から守る役目をユリギエルからの命により守っています。」

モーシー「なるほど。面白そうなのでもう少し聞こうかと思ったが急ぐのでこれくらいにしよう。パスジルが起き次第、ここにいる四人で残りの魔術師を回収し、オウルへ戻ろう。」

マユイル「私はそれでもいいですよ。報酬もいりません。あと一か月分の食料も置いていますので食料の問題も問題ありません。」

シャウル「私もそれでいいですよ。」


全員が決定したところで三人はそれぞれ早めの朝ご飯を食べだした。

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