第112話 レオン
1994年 フランス・アメリカ映画です。
今までに何度か経験したことなのだが、あまりに有名で、あまりに人気の高い作品は、書くのにびびってしまう。
ヘタなことを書くとクレームをいただくかもしれないし、自分の本音を書いたら、たぶん私などは変わり者なので、絶対にファンの方からお叱りを受けるだろう。
だからあまり積極的に取り上げようとしなかったり・・・で、お察しの通り、この映画もそんな一本なのだ。
ちょっと変わった、ちょっと人のいい、どこか魅力的な殺し屋と、12歳の家族を失った少女の、これはやはり恋愛映画という言葉ではくくれない、傑作なのだろう。
しかし私は、この映画を思う時、どうしても思い出してしまう一本の映画があるのです。
1962年のフランス映画「シベールの日曜日」がそれです。
戦争で記憶喪失となった主人公の男は、殺し屋とは全く設定が異なるが、12歳の孤児との恋愛という点では共通している。
アカデミー外国語映画賞を受賞したこのマイナーな名作を、リュック・ベッソン監督が全く意識しなかったとは思えないし、「レオン」の作り手たちが、全く無視したとも考えられない。
主人公の男が、最後に銃で撃たれて絶命するのもある意味よく似ている。
しかし、私は、「レオン」が「シベールの日曜日」を真似たとか、二番煎じだとか、そうしたことを言いたいのではない。
いや、むしろ全くそんなことはなく、「レオン」は新しい傑作だったことに疑いの余地はない。
ではなぜ私はここで、忘れられた「シベールの日曜日」を持ち出すのか。
それは……やはり僅か12歳という主人公の少女と同じ年齢で「シベールの日曜日」を見て、その美しさを目に焼き付けてしまった少年にとっては、残念なことに、「レオン」はもう必要なかったのかもしれない。
「シベールの日曜日」がどんな映画かは検索すればすぐ分かるが、それでは不親切だという方には、この「映画の旅」でも取り上げているので参考にしていただければ幸いです。
私は、やはり古い男なのです。
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