第1話「出会い」

 ああ、冒険者仲間が欲しい...


 ただ、それだけだった。体力と筋力には自信のある私だったが、不器用すぎて攻撃が全く当たらない。なので、どこのパーティーに入っても使えないので、すぐに追い出されてしまう。

 せめて、強めに「使えねえな!てめえはよ!肉壁にしかならねえのか!」などと罵って追い出してくれれば良いものを。傷つけまいとするように優しく言ってくるので、私の欲も満たされないのだ。


 そういう訳で私はいつもの様にエリス様を祈りを捧げるべく、教会に足を運んでいた。



 エリス様、私は一緒に冒険に行ってくれる仲間が欲しいです...。



 祈りを捧げ終わると、私はギルドへと向かった。




 ーーーーーーーーーー



 あの方は、いつも私に祈りを捧げてくれている。たしか、名はダクネスといったかしら。

 こんなにいつも私に祈りを捧げてくれているのに、私は何もしてあげれていない。せめて、冒険に行く時だけでも...。

 いや、冒険者仲間だけでなく、友達も欲しがっていましたし。


「・・・・・・」


「仕方ないなぁ、あの子のためにもいってみようか!職業はまあ、身軽な盗賊でもいいかな!それじゃあ、いってみようか!」


 そんな独り言を言い、あたしは女盗賊として、地上に降り立った...。



 ーーーーーーーーーー


 ギルドに着いた私はパーティー募集の貼り紙を探したが、今日は生憎どこのパーティーの募集も無かった。仕方なしに、掲示板から立ち去ろうとすると、後ろから


「ねえねえキミ、もしかして今一人?」


 そんな声がかかった。振り返って見てみるとそこには私と同い年かぐらいか、盗賊と見られる銀髪の少女がいた。


「あ、ああ。一人だが。どうかしたのか?」


「そっか!やっぱり一人か!それは良かった!」


 そんなことを言ってきた。いや、パーティーメンバーのいない一人の冒険者というのは、ソロで受けない限り良いものでは無いのだが...。

 ムッとしているのが顔に出てしまったのか、彼女は少し慌てた様子で


「あっ、ごめんごめん!別に冷やかしに来たとかじゃないから!」


「ん?そうなのか?.........別に罵ったりしてくれても構わないのだが......」


「えっ!?」


「え?何か変なこと言ったか?」


 なぜか目の前にいる盗賊は驚いた顔をしている。何故だろうか...。


「い、いや言ってないと思う...よ?(き、聞き間違いだよ...ね?)」


「それより、私に何か用か?」


「あ、うん!いやー、キミ何かクエストを受けようか探していたぽかったからさ、あたしも誰かパーティーメンバーを探してて、丁度良いと思って声をかけたのさ!」


「本当か!?私と組んでくれるのか?」


 私は嬉しさのあまり、彼女の肩を掴み尋ねた。


「う、うん。あたしも一人だったからさ。よろしくね!あたしはクリス!見ての通り盗賊だよ!」


 私は嬉しさのあまり、舞い上がってしまいそうになるが、そこはグッと抑え落ち着いて名乗る。


「私の名はダクネス。クルセイダーを生業としているものだ。」


「クルセイダー!?じょっ、上級職じゃない!す、スゴいねキミ!ん?でも上級職なんてものならこの街じゃ引っ張りだこのはずなのに、どうしてキミは一人でいたの?」


「うっ、そ、それはだな...」


 声を掛けてくれた彼女のためにもはっきりと答えねばならないな...


「私は体力と筋力には自信があり、とても防御力は高いのだか...。その、ぶ、不器用すぎて攻撃が全く当たらないのだ...」


「え?もう一度言ってもらえないかな?」


 彼女は頬を掻きながら、聞いてくる。

 私はキッパリと答えた。


「体力と筋力には自信があるが、不器用すぎて攻撃が全く当たらん」


「......ま、マジで?」


「ああ!だから遠慮無く盾としてこき使ってくれ!」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る