ショートショート

愛してると言って

 ピンポーン

 インターホンが真夜中に鳴った。こんな時間に誰だろうと覗き穴を確認し、扉をひらく。途端、俯き立ち尽くしていた恋人が顔を上げる。泣き腫らした後なのだろうか、目尻と鼻が赤い。

「        」


 チュンチュッチチチ

 小鳥のさえずりで目が覚めた。ソファから身体を起こし、落ちてくる瞼をどうにか押し上げつつ、床に目をやる。無造作に置かれたブランケット、これは昨晩彼に貸した物だ。

 部屋には僕ただ一人。もう、彼が訪ねて来ることはないのだろうな。

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