愉快犯
@takamatsuayachan
魔獣使いの憂鬱な一日の始まり
「おつかれーっす。」
部屋に入り、だるそうに挨拶をしたのは赤色の髪を左目を隠すように流した中背の男だ。茶色のコートにライフルを担いでいる。
うぃ。おっす!と、円卓に座る男たちが各々適当に返す。
「全員揃ったな。。。早く座れよ。」
「お、おう。。。なに、怒ってるの?」
茶髪にやせ型の男に促され空いていた左隣の席へと座る。さらにその左の席には黒髪でやや大柄な男が寝ている。その膝の上には長い銀髪に紅眼の幼女がちょこんとすわりテーブルの料理に手を付けている。時折ピーマンを取り出しては後ろを振り返り寝ている男の口へと押し込む。
最後に来た男が席に着くのを確認してから茶髪の男が話し出す。
「今日お前らに集まってもらったのは、大事な話があるからなわけだが。」
「そらそうだろ。」
「もったいぶるなよ。」
男たちがぐちぐちと文句を言う。
「黙って聞いてられねえのか。本当にバカばっかだな。大体いつもお前らがそうやって茶々入れるから話が進まねえんだろう。用があって呼んでるんだから本題を言わねえ訳はねえし、黙って聞いてるのが一番スムーズに進むってことが何でわからねえんだよ。ちょっとは学習しろよ。」
茶髪の男がまくしたてる。
「だったらさっさと本題を言えばいいだろ。もったいぶったような話し方してるから言われるんだろう。」
7人席の円卓、茶髪の男の正面あたりに座る金髪に黒い瞳の男が言い返す。
「お前らこう言ってやらねえと真面目に聞かねえだろ。見て見ろよ。」
茶髪の男は二つ左の席を顎で指す。全員の視線の先には半口を開けて寝ている男がいた。男たちは無言で茶髪の男へと向き直る。
「世界征服するぞ。」
茶髪の男は口角を上げ、そう言った。
「世界征服したいの?ダリーに言えば一発じゃん。」
茶髪の男の右隣に座る最も小柄な男が言う。
「レックス。。。わかってねえな。ダリーの能力は禁止だ。ダリーもつらいだろうし、なによりそれじゃ楽しくねえ。こいつはこれからただの不死身だ。あんまり当てにするなよ。」
「まじか。じゃあ暇つぶしに世界征服しようとしてるの?」
最後に来た男が問いかけると、無論だ。と茶髪の男が返す。
「じゃあこれから俺たちは悪の秘密結社だな!」
最後に来た男が満面の笑みで言うと、円卓が笑いに包まれた。
「チーム名は?」
「外で名乗るバカが出てくるからまだ決めないでおく。まず話し合うべきは、どうやって。ってことだ。」
小柄な男、レックスの問いかけに茶髪の男は答え話し出す。
「俺の希望としてはこの国を乗っ取り、隣国へと攻め入り侵略していくといった感じだな。」
「どうやってと言うかどうやりたいかって感じだな。国を乗っ取る方法は?」
レックスの右隣、騎士風の男が問いかける。
「それを今から考えるんだ。」
「レイお前、俺たちのこと散々言うけどよ、自分だって大概だぞ。国乗っ取れれば兵士も金も手に入るけど、どうやって乗っ取るかってのが一番大事なとこだろ。」
金髪の男が勢いよく言ってかかったのに対し茶髪の男、レイは今度は陽気に答える。
「俺が全部考えちまったらお前らも面白くないだろ。いいから、何か考えのあるやつは?」
「国を乗っ取る意外の方法でもいいの?」
騎士風の男の更に右隣、黒髪に灰色のローブの男が問う。
「全然いいよ。」
「じゃあさ、国創らねえ?」
先ほどまで寝ていた男が唐突に口を開いた。
「ダリー。。。起きてたのかよ。。。」
最後に来た男が言うと、ひざに幼女を乗せた男、ダリーはニッと笑いながら話し出す。
「ちょうど昨日遺跡見つけてさ、そこ拠点にして国創っちゃおうよ!」
「拠点があっても国民はどうするんだ。兵力が無かったら世界征服できないだろ。」
「例えば乗っ取るのに、王族を全員殺して俺が次の王です。って言ってもついてくる奴なんて大していないだろうし、なら一から創っても手間はかわらないんじゃねえの?」
「国創るってそもそもほかの国に認められるだけの国力がなきゃいけないんだぞ。何が必要かとかわかってんのか?」
陽気に話すダリーに対して金髪の男がややきつい口調で言ってかかる。
「なんか昔習ったよな。。。。要素。。。」
「三大要素な。」
レイがあきれ顔で言うとダリーと騎士風の男が盛り上がりだす。
「それだ!国是と国旗と。。。」
「あと国歌な!」
そんな会話を聞いて険しい顔をしている金髪の男に灰色のローブの男が言う。
「フラッシュ、そんな怖い顔するなよ。国創るってのも悪い案じゃないと思うよ。とりあえず領域と民がそろえば権力なんておのずとついてくるもんだろう。」
「。。。なんとか、なるのか。。。」
金髪の男、フラッシュがつぶやくと、レイが繰り返し話し出す。
「なんとかなるんだって。ダリー抜きでも単純な戦力ならフラッシュとギャップとレックスだけで一国を敵にできるくらいはあるしな!陽気にやろうぜ!」
「遺跡ってどれくらいの規模なの?」
レックスが問いかけにダリーは、見に行く?と答えた。
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