第3回 ドラゴンクエスト5~天空の花嫁~(SFC,PS2,DS)
ゲーム機をスーパーファミコンに移しての天空シリーズ第二作目。主人公が勇者ではない。6歳という幼い子供であり、父親と一緒の旅路。旅の目的が明確ではない。モンスターが仲間になる。親子三代に渡る大河ストーリー……と、ありとあらゆる要素がこれまでと違うという特殊なタイトル。仲間モンスターを仲間にすることでこれまで魔物=敵であった構図を変えたと思います。人と魔の共存は4からも出てきたテーマですが、この作品は更にそれを大きく推し進めたと言えるでしょう。
創作をする立場からするとこの5はとんでもない作品です。物語の目的はこれまでのシリーズではある程度示されてきました。1は竜王討伐とローラ姫の救出というRPGにおける王道展開を広め。2はその後の世界を描き、勇者の子孫を集めて大神官ハーゴンを討伐する。3は志半ばで倒れた父に代わる魔王バラモスの討伐と、歴代シリーズとの意外な繋がりによるタイトル回収。4はオムニバス形式によるメンバー全員の個性化。しかし5では当初、父親と一緒に母親を探していることくらいはわかりますが、主人公が自分一人で旅ができる状況・年齢ではありません。パパス、ビアンカ、ベラなど必ず年上の誰かがそばにいました。完全に自由に動けるようになるのが青年時代からです。
洞窟へ薬草を取りに行った親方の捜索、レヌール城のお化け退治、妖精の国で春風のフルート奪還と徐々に事件の規模も大きくなり、これまでのシリーズにあった最初から「世界を救う」という目的がなかったのが面白いところでもあります。
魅力的な物語を進める中で本当の目的が判明していく。この形はなかなか作るのは大変ではないかと思います。
■主人公
4主人公同様、シリーズ屈指の不幸な人生。物心ついたころから母は不在。自分が何者かもわからない。目の前で父を失い、10年の奴隷生活。解放された後も母を探して世界を旅し、自分の出自が判明し、嫁も子供もできたのに今度は8年の石化。子供の成長を目の当たりにできず、解放されても嫁と離れ離れ。ようやく救出したと思ったら母は魔界にいることが判明。救出しに行けばまたも目の前で失う。
ラストは故郷で皆と幸せに暮らすことができたみたいですが、とにかく作品内で描かれる人生が重い!
家族を失い、家族と共にいる機会を失った彼が得た特殊能力がモンスターを仲間にすることというのは何の皮肉なのか。モンスターの種類も多岐にわたり、プレイヤーごとに「家族」の形を作り上げることができました。
物語の中で自分が高貴な血筋であったり、特殊な力を秘めた存在であったことを知るわけですが、その過程も丁寧に描かれています。シリーズ内でも地味だった僧侶タイプの主人公という異色の存在でしたが、バギ系の復権、メイン武器に杖、前衛として戦える回復役としての強固な立ち位置。まさにパーティ……いえ、家族の大黒柱として見事なポジションを確立してくれました。
■2人(+1)の魅力的な花嫁たち。
幼馴染の姐さん女房ビアンカ。深窓の令嬢フローラ。そしてDS版で追加されたツンデレ姉御のデボラ。それぞれ個性的で能力も差があり、いずれも魅力的な女性たちです。今でもDQ5の嫁論争は凄まじい戦いになるほどなので迂闊な発言は危険かと思います(笑)
私はちなみにビアンカ派です。やっぱり思い出補正は強いですよ。(何より選ばなかった場合に山奥の村で独身で居続ける姿を見た時の心苦しさが…)
リメイク版でフローラやデボラと幼少期に出会ったエピソードも追加されていましたが、やはり共に冒険を潜り抜け、キラーパンサーを仲間にする際に彼女のリボンが決め手になったりと要所要所でビアンカの存在が強いんですよ。
リメイク版から4人パーティが可能になり、これまで馬車メンバーだった嫁さんも外に出して夫婦親子でのパーティで楽しむことも可能になったのは嬉しかったですね。
■双子の子供
伝説の天空の勇者を探し続けた主人公。しかしまさかの場所で勇者の存在を知ることになります。それが息子。8年間にもわたる石化から解かれた直後に伝えられる「お父さんが残した天空の剣、ぼく装備できたんだよ」とう仰天発言。天空の盾、そして天空の兜も次々と装備し、誰もを驚かせます。まさか息子が勇者だとは誰が想像するでしょうか。
そんな彼とは違い、勇者の力がない娘。しかし彼女も素早い魔法使いとしてのポジションで大活躍でした。リメイク版で会話ができるようになり、親子の会話もなかなかに見てて楽しかったですね。
今にして思えば息子は母親の天空の血が主人公のエルヘブンの血筋によって覚醒。娘はエルヘブンの末裔としての力を強く受け継いだと言った所でしょうか。幸宮チノ先生の漫画『天空物語』のようなスピンオフが登場するくらいに魅力的な二人です。
■パパス
ドラクエで著名な主人公の父親と言えばオルテガとパパスあたりでしょうか。特にパパスは序盤に圧倒的な強さで主人公を守ってくれます。父親としての存在感は恐らくドラクエで一番では?
レベル27でHP410のMP65というぶっ飛んだステータス。しかも二回攻撃に加えて戦闘後に主人公にホイミをかけてくれる(なぜかMPは消費しない)というチートっぷり。偉大な父親として頼りにしていました。
まあそんな彼もネーミングセンスがズレていたり、風邪を引いてメッセージ欄が震えるほどにくしゃみをしたり、ラインハットの関所で階段を間違って下りてしまうなどお茶目な一面を何度も見せてくれました。一緒にいられた時間は短いものの、形見の存在やマーサを迎えに来たシーンなど、要所要所でその存在は見せてくれました。リメイク版ではマーサとの出会いも描いてくれて個人的に嬉しかったです。
個人的にはパパスの剣の強化イベントみたいなものがあったら嬉しかったですね。後半はどうしても火力が足りなくて装備しなくなってしまったので。
■仲間モンスター
モンスターの仲間にしやすさの違いで最終的なパーティメンバーはプレイヤーごとに違いますよね。ただ、とても優秀なモンスターは数種類いるのでそれに固定されがちでもありましたが。
私のパーティはキラーパンサーのプックル、スライムナイトのピエールは固定。あとは育成でぐるぐる回していました。終盤ではヘルバトラーのバトラーが固定枠に。残るひと枠は常に争われていましたね。
リメイク版ではプオーンやプチタークという育てば最強格になるモンスターもいたのでどんどん固定枠は食い潰されてしまったのが残念な所です。
■宿敵ゲマの存在
父親の敵として位置づけられた彼ですが、リメイク版でその出番が急増。様々なポジションで暗躍しており、より因縁の相手としての要素が強まっています(まあそのお陰でイブールが噛ませになったりと割を食っているところもありますが)。
部下のジャミも青年時代前半ラストでとても重要な役割を担いますし、長い戦いの中でこういった敵役が位置づけられるのは物語に深みを与えてくれました。ゴンズにはもう少し出番や活躍の機会を与えても良かったんじゃないかとは思いますけどね(汗)
■一言
ベラが再加入してもう一度一緒に冒険ができると信じてました。(嘆)
なんでザイルなんだああああ!
■思い出
DS版でキラーマシーンを仲間にするために戦い続けた結果、レベルが20近く上がり、600体以上のキラーマシーンを討伐する羽目に。ホークブリザード、グレイトドラゴンは次々と仲間になり、復活の玉、刃の鎧も山の様にゲット。
ようやく仲間になったキラーマシーンですが、その直後ヘルバトラーが数回の戦闘で仲間になると言う悲しみを味わいました。いや、いいんですけどね!
■まとめ
BGMはオーケストラを用いた本格的なもの(幼い自分にとってBGM「死の塔」は冒頭部分が恐怖の象徴でした)。戦闘シーンも歴代の真っ黒な背景からフィールドに合わせた背景に。武器ごとに違う攻撃エフェクト、魔法ごとによって違う魔法エフェクトとSFC版の容量の多さを存分に生かしていたと思います。SFC版、リメイク版ともに違いも楽しめる名作でした。
今回はこの辺で。
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