事実は小説より
「つまり、この事件は遺産を巡っての争いに見せかけた復讐劇だったということです」
私の口から事件の真相が語られ、屋敷の誰もが言葉を失っていた。真犯人の使用人は体を震わせてこちらを睨みつけていた。
「どうしてそこまで分かったんですか……トリックも細かいところまで全部」
「たまたま知っていただけさ」
「……ろくに売れてない推理小説だから誰も知らないと思ったのになあ。やっぱり誰でも思いつくトリックなんでしょうね」
犯人がポツリと呟いた言葉が胸に刺さる。正直事件のあらましよりもよっぽど今回の事件で私がダメージを負った一言だと思う。
実はこの事件、とある小説の中身にとてもよく似ていた。登場人物の構成、屋敷の間取り、トリックに使った道具と仕掛け……ここまで似ているかと思うほどだ。だから推理できた。
なんで知ってるかって?
………その作者は私だからだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます