花屋さんの伝え方
友人が結婚すると聞き、お祝いの花を買うことにした。いつも通勤途中にある花屋を思い出したので、そこで見繕ってもらうことに決めた。実に情けないことだが、このような時に送るべき花がわからない。
「そうですね……それならカーネーションなんていかがでしょうか?」
「カーネーション? それって、母の日に贈るあの?」
意外にも知っている花を勧められ、私は意表を突かれた。ただ、カーネーションと言えば日々の感謝を伝えるために贈る花だという認識だ。親ではなく友人に贈る花として適切なのだろうか。
「花言葉って、色によって違うんですよ」
そう言って店員が持ってきたのは初めて見る青いカーネーションだった。
「母の日に定番の赤いカーネーションは『母への愛』と言う意味を持っています。ですが青いカーネーションは『永遠の幸福』という意味を持っているんです」
「永遠の幸福ですか。それはいい。お願いしてもいいでしょうか」
その響きに思わず即決した。せっかく知ったのでこれを渡す時に友人に教えてあげるとしよう。
「そう言えば、いつもこの前を通ってらっしゃいますね。職場はお近くなんですか?」
「ええ。結婚が近い同僚もいるのでまたお世話になりに来ると思います」
「お待ちしていますね。あ、これサービスです」
完成した花束を受け取った私の胸ポケットに店員が一輪の花を挿す。色こそ違うが同じカーネーションだと言うのはすぐに分かった。
「オレンジのカーネーションの花言葉は?」
「次に来た時にでもお教えします」
「はは、商売上手ですね。それではまた」
せっかくなので後で調べてみよう。次に来た時にはその話で盛り上がれるだろうか。
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