最弱スキル『ロブ』を欲し過ぎて最強賢者は転生する
YuU
第1話最強賢者は転生した。そして転生後…
「あぁーーー!欲〜〜し〜〜い〜〜」
僕は、そう子供のように言っていた。
僕ことマイナスは、世間では最強賢者と言われる程の力を持っていた。そんな僕が、こんなにも欲しいと約5000年間言っている力は、到底努力では絶対無理で、生まれる時から決まっている力だった。それは、スキルだった。そのスキルとは、世間では、弱小スキルやゴミスキル等と言われているスキルだった。それは『ロブ』というスキルだった。
『ロブ』とは奪うという意味で、このスキルは村人特有のスキルで、貴族だった俺は絶対取れないスキルだった。能力は言葉通り、相手にある物を無理矢理奪う、という能力で、これだけを見れば良いスキルと思うけど、弱小スキルと呼ばれるのはメリット以上にデメリットが大きいからだ。『ロブ』は、奪う代わりに自分の魔力を大量に消費して使える代物で、使えるのは熟練の魔法士がようやく一回使えるぐらいだ。それに加えて、任意の物を取れる確率が低いため余計に使う人が少ないスキルだ。だが、僕がこの『ロブ』というスキルを使うと物凄く化ける。まず、俺ぐらいの魔力量だったら、このくらいの魔力消費量は別に大した事ないし、それに成功確率を上げる為に、独自魔法『幸運』という魔法を自分にかけると、ほとんどの確率で成功するから奪いたい放題!!、だから僕が子供のように叫んでいるのだ。
「いやいや、お前じゃ無理だって、それだけ取りたいなら転生するしかないけど、今の時代において、『転生魔法』という魔法がない限り、無理な話だ(笑)」
こんな事を言っているのは、僕の親友、カイナスだ。こいつは、魔法より剣術の方が得意で、世間では『剣聖』とまで言われる程だ。周りの人の前だと猫を被って、真面目キャラを演じているが、実際はこんな感じだ…ってこいつ今さっき「それだけ取りたいなら転生するしかないけど、今の時代において、『転生魔法』という魔法がない限り無理な話だ(笑)」と言った気が、確かに今の技術では無いが、今から100年でも200年でもかけて作ればいいんじゃないか!
「じゃ、僕は『ロブ』を取る為、今からとりあえず300年くらいこもって『転生魔法』を作ってみるか…」
俺やカイナスは、『永命魔法』という、永続魔法を使っている。これは僕の独自魔法であり、知っているのは、僕とカイナスくらいだ。
「お前、そこまでして…俺は応援してるからな!親友として!」
「ありがとう!じゃ!俺の仕事は任した!」
俺やカイナスは誰も倒せないようなSS級の魔物討伐の仕事がたまに出てくるので300年間、カイナスに任せる事にした。
「えっ?…ちょっ…」
バタン、と僕が部屋の扉を閉めた。
そして、その日から、『転生魔法』を作り始めた。この時からどういう『転生魔法』を作るか、考えていた。まず、転生前の魔力をそのまま転生後に持っていく事だ。理由は簡単。魔力をそのまま転生後に持っていけなかったら、また、長い年月をかけて魔力量を上げないといけないからだ。ここまで上げるのに、正直とても面倒だ。だからこれを大前提とした、『転生魔法』を作る事にした。
その日から300年後、やっと、転生後に今の魔力量を持っていく、いや違う。正確には、転生するのは、魂が何百年をかけて器(体)を探し、自分に合った器(体)に入るのが転生というものだ。『転生魔法』とは言わば転生する際に要らない、要するに、不要な記憶や魔力量等を消去されるものを護る魔法の事というのを100年掛けて知り、もう200年くらい掛けてやっと魔法を作れた。実験もしていないから成功するか分からないが、もうここまできたらやるしかないと思った。
とりあえず転生する前にカイナスに会い、転生魔法を教えた。理由は簡単で、転生後もカイナスと会って話したいからだ。
『転生魔法』を教えた後、カイナスは
「お前、やっどごごまでぎだんだな」
と泣きながら言われ、ちょっと泣きそうになった。
「まー、『転生魔法』は教えたからまた転生後会おーぜ、多分、自分に『永続魔法』をかけてカイナスを探しに行くから、そして、僕は『ロブ』を使いこなしてどんな魔物でも倒す力をつけるよ」
そう言って、自分の家に帰り、『転生魔法』を発動した。
「(『ロブ』を手に入れるためだけにここまで頑張ったんだ!絶対成功してくれよ…)」
発動した瞬間、辺りが眩しくて目を閉じた。それから数秒経った後に光が止んで目を開けると、目の前に知らない女性と男性がいた。
「この子どんな名前にしましょーか?」
知らない女性がそう知らない男性に聞いた後
「カリシアスって名前はどーだ?」
「いい名前じゃない、貴方」
そういう会話が終わった後、こっちを見て
「よし!お前の名前からはカリシアスだ」
そう僕の名前は、転生に成功して新しい名前カリシアスと言う名前になったらしい。
「(とりあえず、成功はした。ここは村人か?それとも貴族か?)」
辺りを見てみると貴族ではなく、村人だというのは一目瞭然だった。
「(村人になったんだ!とりあえず自分を鑑定してスキルをかくに…)」
そう思っていたら、急に全身が物凄い激痛に苛まれた。理由は何となく分かる。理由は
「(多分、前世の魔力を持ってきたのは良いが、体が保たなくなって、激痛に苛まれたのかも…くッ!早く使いたい!)」
そう思いながら、とりあえず寝る事にした。多分普通の人ならこの激痛の所為で、死ぬかも知らないが、なんせ僕は、世間で『最強賢者』とまで呼ばれたのだ。このくらいの激痛には、慣れている。だが、今は赤子の体だ。前世では鑑定して良くも、今はダメだ。
そういう理由でとりあえず寝る事にした。
僕が生まれて1か月後、激痛も止み、どんな家庭に生まれたのかも知った。案の定、村人というのは合っていた。
まず、僕が生まれたのは元々3人家族の家で僕が生まれたので4人家族となった。まず父の名はバトラ、村人でスキルは農具生成という、村人の中でも農民が良く持っているスキルでスキル保持数は1つ。とても面白い性格をしていて、村でも好かれている。容姿は黒髪の短髪でとてもムキムキでとても背が高い。次に母の名はペナ、村人でスキルは裁縫速度アップで、スキル保持数は1つ。容姿がとても良く、村1番の美人とまで言われるほど…とても優しいとの事だ。容姿は、金髪ロングで、背が高い。最後に姉の名は、カイナ。村人でスキルは母と同じ裁縫速度アップで、スキル保持数は1つ。とても優しいとの事。容姿は、母譲りの金髪のロングだった。ほとんど、母譲りだ。父の遺伝子はどこ行った?と思う程。
そして僕ことカリシアスのスキルは、僕が1番欲しかった『ロブ』に前世で持ってた、『魔力量増加』とこれも前世で持ってたスキル『瞬間記憶』というスキルがあった。正直、前世で持ってた『魔力増加速度アップ』が欲しかったが、まぁー、この際『ロブ』を無事手に入れられたのでどうでもいいし、魔力量も前世から持ってきたから正直要らなかった。容姿は、黒髪で、顔は…まだ赤子だからよく分からんが、多分父寄りだろう。前世では銀髪で髪を切るのが疎かになっていたので、とても長かった。
スキルとは誰しもが1つ以上持っていて、村人は1つ以上、貴族は2つ、魔法の才と呼ばれる右肩にある紋章がある人は3つ持っている。前世は、3つ保持していたので、もちろん魔法の才があった。ちなみに、転生後も紋章を持っていたので安心した。母も父も姉はとても驚いて
「こいつは魔法の天才だ!」
と、紋章を見ただけで、そう言われた。まぁー、天才というのは合っているが…親や姉にそう言われたのは初めてだったからとても照れくさくなった。
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