『小さなお話』 その69の2

やましん(テンパー)

 『かいだん』 第2話

 


 さても、やましんさんは、階段の一番上から、頭から転落して、一階の壁に激突し、意識不明状態であります。


 ≪ゴキ大将≫


 『なまごみだあ~~~~  なまごみだあ~~~~  チーーーン』


 ゴキ大将が『ごき教』のお経をあげているよこで、ごき・ドクターがやましんさんの様子を見ているのです。


 ≪ゴキ大将≫


 『センセ、どうかな? 裏からでは、わからないごき。』


 ≪ゴキ・ドクター≫


 『わしは、獣医ではない。ゴキ専門だ。しかし、こりゃあ、まだ、息はある。ただし、両足骨折、右手骨折、右手3指骨折。脳震盪だが、中身はわからない。人間の使う機械で頭を割ってみないとな。出血の可能性ありだなごき。ま、いずれ、早く病院さ連れてけずら。』


 ≪ねこママ≫


 『そりゃあ、電話しかないにゃんこ。』


 ≪はとさぶろ≫


 『誰がかける? どうやってかける? どこにかける?』


 ≪ねこママ≫


 『あんた、裏組織の通信機あったろ?』


 ≪はとさぶろ≫


 『あれは、没収された、それに、あれは、鳩とか烏とかの、脳に直結で、他には使えないんだ。しかも、人間の電話には介入不能だぽ。』


 ≪ねこママ≫


 『やくたたずにゃんこ。』


 ≪ゴキ大将≫


 『そりゃま、仕方ない。しかし、連絡先は、わかるぞ。『119番』だ。ごきはなんでも、知っているのだ。しかし、ゴキには、あの機械は重すぎだ。』


 ≪はとさぶろ≫


 『ようは、あの、【かまぼこ】みたいな棒をひっくり返して、ポ、ポ、パ、と、すればいいんだ。』


 ≪カージンゴ≫


 『なにやってんだ、きさまら、集まって。』


 ≪ねこママ≫


 『あらあ、あんたきたの。やましんさんが、階段から落ちたにゃんこ。ほらね。死にかけにゃんこ。』


 ≪カージンゴ≫


 『おーー、のびてる、のびてる。目出度い。裏政府の厄介者が一つ消える、かかかかかかかかかああ~~~~~~!』


 ≪ねこママ≫


 『あんた、やましんさんのおごりで、ずいぶん飲んだにゃんこ。』


 ≪カージンゴ≫

 

 『そう、カ? それは、こいつの、勝手だ。かあ~~~~~。』


 ≪ねこママ≫


 『薄情カラス。』


 ≪カージンゴ≫


 『なにお~~~! 化け猫め!』


 《ねこママ》


 『なににゃ~~~~~~~。うらぎり、なまカラス!』


 ≪ゴキ大将≫


 『まてまて、いいか、われわれ、みな、やましんさんには、一宿一飯の恩義以上がある。ま、うらみもあるが。ここは、助けよう。『ママ』、あんた、ネコパンチで、そのカマボコを・・・』


 ≪ねこママ≫

 

 『電話機にゃん。』


 ≪ゴキ大将≫


 『そう、その、でんかまぼこを、ひっくり返してください、カージンゴ、あんたすまんが、その、ぶつぶつを『119』と押すごき。』


 ≪カージンゴ≫


 『119とは、なにかあああ~~~~~? われらは、二進法しかわからないか~~~。』


 ≪はとさぶろ≫


 『ままま、ぼくがわかるぽ。でも、相手と、話せない。やましんさんは、勝手に判ってしまうが、あれは、他の人間にはできない技なんだぽ。』


 ≪カージンゴ≫


 『こいつは、異常だかあなあ、か~~~。』


 ≪ゴキ大将≫


 『きみたち、とにかく、さわげ、思いっきり。カージンゴ君は、少し、人間語がしゃべれたろ。』


 ≪カージンゴ≫


 『ばーっちゃん。ばーっちゃん。』


 ≪ゴキ大将≫


 『それだ。それで、ここの場所は、大方分かるはずだ。隣のお菓子やさんは、それだけで、人間界では通るらしい。あとは、のこりの、キミ、わんすけ君は、声がバカでかい。ねこママも、ちゅうたちは、大挙して、にわで騒げ。』


 ≪はとさぶろ≫


 『難関があります。玄関のカギをどう外すかです。やましんさんは、用心深くて、たくさんかぎをかけてるし、非常ベルもある。』


《ねこママ》


『うちの特別玄関は、解放できないにゃん。これは、空間法のおきて、にゃんこ。』


 ≪わんすけ≫


 『わんわん、くくくう、わん、くくくく。わわわん。くんくん。』


 ≪ねこママ≫


 『奥の手があるから任せろ、と。いってます。中身は秘密だと。』


 ≪ゴキ大将≫


 『じゃあ、それでいいさごき。外に出て、大騒ぎしたまえ。』


 ≪ねこママ≫


 『じゃあ、いくよ! ほい、ネコ、パン~~~~~チ! にゃわん!!』


  電話の受話器が、ぶっ飛んだ。


  はとさぶろが、ここを押せ! と、カージンゴに合図する。


  カージンゴも、もう、こうなったら、やけだ、とばかりに、押す。


 ≪119番≫


  『ぽ。ぽ、ピ。******はい、こちら119バんです、どうしましたか?』


 ≪カージンゴ≫


  『ばーっちゃん、ばーっちゃん!!』


 ≪119番≫


  『はああああああああ???????? なんですかあ? そちら、どなたですかあ?』



【注意】 絶対に、いたずら電話しては、なりません。これは、お話です。

 **********************************



≪カージンゴ≫

  

    もう、必死であります。

  

  『ばあっちゃん、ばあっちゃん! かー~~~~~! ばあっちゃん!!』


≪119番≫


『む・・・・・・あなた、いたずらしてますか? いや。なにか、おかしいな。まって、・・・・・・・・ああ、西町のお菓子屋さんのことですか?』


≪カージンゴ≫


 『カーカーアーカーカー、ばっちゃん、か~~~~~~~!!』


≪119番≫


 『わかりました。なにか、異常を感じますので、出動します。表に出ていてください。あなた、お名前は?』


≪カージンゴ≫

 

 『かー~~~~~~~か~~~~~~~~~! ばっちゃん。』


≪119番≫


 『はあああ???? ばっちゃんさん。電話切らないで。そのまま!』


 非常に、勘のよい担当者さんであったのです。



 『ぐわっちゃ~~~~~~~~~~ん。』


 でっかい、わんすけが、縁側のガラスに、体当たりしたのです。



 《ねこまま》


 『うん、まあ。なんとも直接的な奥の手にゃん。わかりやすいにゃんこ。



 やましんさんちの庭は、真夜中なのに、大騒ぎとなりました。


 わんや、にゃんや、ちゅうや、はとや、それに、カージンゴも加わり、ごきどもも、ぞろぞろと何千匹かと、現れるわ・・・・・・。



 ご近所は大騒ぎとなりました。********



 やがて、救急車がやって来ると、はとさぶろとカージンゴは、木の上に登り、あとは、すっかり消え去っておりました。


 《カージンゴ》


 『ばーっちゃん!』


 《救急隊の無線》


 『おい、あの声だろ。おまえ、聞いたの。どぞ。』


 《119番》


 『うん。正解。なにもの?』


 《救急隊の無線》


 『さあて・・・・・・カラスかな? はとかいな。』

 


           ************  🕊


 

 こうして、やましんさんは、かなり、危ないところで、またまた、みんなに助けられたのでした。

 

 『もう、死にたいなあ・・・・・』


 とは、しばらくは、声にだしては、言いにくくなったようでしたが。


 ま、当分は・・・・・・・・・。


    びーちゃんが、帰ってくるまではね。




            🕊        🕊     🕊   🕊 🕊 



                     おしまい!         

       




 

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