神々との契約
それにユースティティアも腕を組み激しく頷いた。
そう言われれば、それはそうかも知れない。
地球人なんて宇宙から見れば、下等生物の分類だ。
野蛮で好戦的で高慢な氏族程度に思われている。
彼女達はそれで見下している訳ではないが、やはりそう言ったイメージが根強いだけにそのイメージに引き摺られてしまうのだ。
だから、アリシアがオーディンを倒したよりは和平や共闘をしたと考えた方が自然だったのだろう。
「でも、あなたを見ていると上位神になったのも納得かもしれませんね」
アフロディーテは微笑みを浮かべながらアリシアを見つめ、語りかける。
「あなたの魂はとても綺麗で高潔で美しいはそれでいて力強い。万金や宝石を積んだとしてのその輝きに勝るモノはこの世にはないと美の女神であるわたしが陶然見つめてしまうほどに良いわ」
彼女の目が陶然とこちらを見つめる。
本心からそう思っているようだ。
確かに美しい魂を意識しながら研鑽を積んだつもりだから、そう言われると素直に嬉しい。
しかし、こんなにも見つめられると流石にどう返答して良いか困るので「うん」とだけ頷いて答えた。
それに今度はユースティティアが口を開く。
「君を見ていると彼女を思い出すな。彼女の君と同じで素直で純真な良い娘だった。どこか無邪気で突飛なところもあった。顔立ちも緑色の髪と目をした君のような容姿だったな。だからなのだろうか?どうも、君には親近感が沸く。なんというかこう……戦いの神にこれを言うのは失礼かもしれないが、すごく保護欲が出てしまうというべきか……なんとも放ってはおけない感じがあるんだよな」
(わたしはそう言う人間なのだろうかな?クーガーやみんなからも似たような感情を抱かれる事がある。わたしがみんなを守っている立場な気もするけど、GG団体のメンバーの中にもわたしに対して似た感情を抱く者もいる。わたしはそう言う気質なのだろうかな?別に悪い気はいないから良いのだけど、わたしが頼りなく見えるならもっと鍛えないとダメかな……)
「まぁ、保護欲が芽生える話は置いておくとしてだ。具体的にはどうやったら助かる?」
ロキが表情は変えなかったが、切迫した様子で尋ねる。
「そうだな。アリシアと契約を結べば助かると聴いているがどうなのだ?」
ユースティティアが尋ねるとアリシアは首肯した。
「その認識で相違ありません。契約をすれば、その因果の輪から逸脱する事も十分鹿野です。契約を受けてくれるならオメガノアについてわたしが教えられる事を答えましょう」
「つまりは契約しないと聴かせる価値もないと事か?」
「そうなります」
ユースティティア達はもう既に覚悟を決めたような顔をしていたが、ロキは少し逡巡していた。
ロキはユースティティア達から渡されたアリシアの記録を見ながら考えていた。
ラグナロクの代表として民を救う為の最善を考えているのだろう。
責任が重い立場なのだ。慎重になって当たり前でその事を咎めたりはしない。
「分かった、契約を受ける」
どうやら、これが真実だと判断したようだ。
その上で詳細を知る為に契約に乗ると言う意図だろう。
ただ、それと同時に誰かがこちらに近づいている気配を察知した。
血を啜らせている時間はない。
「汝達の過越はここに為され、救われた」
”過越”とは厳密には決まった形はない。
神が随時、決めるので契約を弾丸で食事する事も血を啜らせる事もこうして言葉で契約させる事も全部、”過越”だ。
故にこの瞬間から、彼らとの契約は果たされ、アスタルホンの因子が活性化され、サタンの因子が彼らから消え去った。
「凄いな……これが真の命の契約か……」
「中々、凄いではないか……力が溢れる!」
「これでわたしの美が100倍増しになったような気分だわ」
「3人ともそろそろ敵が来るから警戒して」
すると、屋敷に張った結界に何者かが干渉する音が聞こえた。
それはかなり強力な反応だ。
張っていた結界が破られるのも時間も問題かも知れない。
ここにいてもガーデンが邪魔で動き難いかつ、3人を守り難い。
アリシアは3人に指示を出し、ガーデンの外に出た。
そして、外に出て上空を見上げるとそこには黒い翼を生やした好青年が結界を破り、中に入ってくる姿だった。
その姿には確かに見覚えがあった。
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