秘密の時間.2
それから昼食の支度をするまでの時間は楽しい日が続いた。母が妹を伴って洗濯に出かけると、ラズは機織を少し急ぎ目で進めて、昼食の支度をしなければいけない時間まで祖母と2人で本を読んだ。
祖母は最後に勉強したのは50年も前だと言うのに、文字をまだまだよく覚えていた。書くこともできれば、もっといいだろうと砂を撒いたお盆に指で本の字を真似して幾度も練習した。家族が帰るまでに砂を庭に捨てれば証拠は何も残らない。
音に始まり、自分の名前、気持ち、市場での会話、絵本の内容は少しずつ難しくなっていったけれど、ラズは砂漠に撒いた水のように全てをグングン吸収していった。
1月も経つ頃には普段食事の支度に使う食材の名前まで読み書きできるようになっており、前は絵だけを見るしかなかった野草図鑑も、今では大半の文字を理解ができるようになり、知らなかった知識もラズは次々と身につけていった。
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