僕と彼女は似ている
人鳥パンダ
出会い
僕と彼女は似ている。緊張しいところが。
僕たちが出会ったのは、とある公園だった。なんの変哲もない、普通の公園。
僕は、日課になっていた散歩をいつもと同じようにしていた。散歩では、近くの学校を通り、川沿いの堤防を通り、公園を通ってから、家に着く。いつの間にか同じルートになっていた。
その日も、普通に散歩をしていて、学校を通り、川沿いの堤防をいつもと同じように歩いた。いつもと違うことがあったとするならば、途中ですれ違ったおばあさんと挨拶を交わしたくらいだ。そして、このままいつもの道で家に帰ろうとすると、公園を通り過ぎる時、いつもと違うことが起こった。
俺は、その不思議な光景をじっと見た。そして、近づいてみることにした。そこには、僕と同じくらいであろう年の、小柄な女性がしゃがみ込んで何かを見ていた。その時、僕は君に出会った。君は困った顔をしていた。少し悲しそうな顔でもあった。数秒、僕は彼女のその美しい顔立ちに見惚れてしまっていた。そして、ふと我に返り、彼女に声をかけることを決意した。僕にとっては勇気ある決断だったし、今でもなぜ僕がそんなことをできたのかと疑問に思う。僕は昔から几帳面な性格だった。そのため、緊張を人よりする自身があった。なんの自信なんだろう。
けど多分、彼女の困った様子が僕にそうさせたのだろう。彼女は凄いと思う。
「大丈夫ですか。」
と、僕は彼女に声をかける。すると、彼女は少し戸惑った様子をみせたが、すぐに事情を話してくれた。
「ええと、猫が捨てられてて…、可愛そうで、助けてあげたいんですけど…。」
彼女はそう言い、僕に目を向けて、
「あ、こんなこと言っても仕方ないですよね!ごめんなさい。」
と、僕に悲しい顔を浮かべて言った。
無理だ。そう分かっていたのに、僕は猫の入ったダンボールを抱えていた。無理だった。猫を飼うのは僕の住んでいるマンションでは禁止だったはずなのに、抱えてしまっていた。そうして、
「僕が、飼い主さんが現れるまで面倒を見るので安心してください。」
と言った。何を言っているんだ、僕。
すると彼女は、予想外の出来事が起き、最初は驚き、慌てた様子だったが、僕が落ち着かせてようやく落ち着いた後、
「ありがとうございます」
と、笑みを浮かべた。僕はその笑顔を見て、行動して良かったと、過去の自分を盛大に褒め称えた。
偶然、変える方向が一緒だった僕と彼女は、同じ方向を歩いていた。彼女とはすっかり打ち解け合った雰囲気だった。
ここの近くに住んでいるという彼女に、一応、家の場所を聞いておいた。一応。すると彼女はなんの戸惑いも見せず、笑顔で僕に言った。それを聞いた僕は、耳を疑った。
彼女の家は、僕の隣の家だった。
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