朝起きる。君に話しかける。

砂上楼閣

第1話

おはよう。


起きてすぐ、視界いっぱいに広がる君の顔に挨拶をする。


すると君はいつもそっけなく顔を背けて行ってしまう。


つれないな。


分かってる。


ごはんだろう?


でも挨拶くらい返してくれてもいいじゃないか。


まってまって、今すぐ用意するから。


ほら、君が好きなごはんだ。


はは、本当に君はこれが好きなんだね。


大丈夫、取ったりしないよ。


ゆっくりお食べ。


ここには君からごはんをとりあげるやつなんかいないから。


おっと、もう食べたのかい?


もっとゆっくりでもいいのに。


それじゃあ僕も食べようかな。


いただきます。


…………。


ごちそうさま。


あれ、どこにいったんだい?


ああ、またそこにいたのか。


君はよくそんなところで眠れるね。


落っこちるなよ?


って聞いてないか。


うらやましいよ。


僕もそうやって気ままに寝ていたい。


なんて。


それじゃあ行ってきます。


…………。


ただいま。


ありがとう。


お出迎えしてくれたんだ。


どうして毎回僕が帰ってくるのがわかるんだい?


音かな?匂いかな?


もしかして窓から見てたのかな。


っと、まだ体を擦り付けるのはやめてって。


なんでいつも帰ってすぐに甘えてくるんだい?


僕からいくと逃げるのに。


ほんと、気まぐれだね。


とにかくスーツを脱ぐまで待っててね。


すぐにご飯も作るから。


…………。


うーん、えっとね?


そこが君のお気に入りだってのは知ってるよ。


けど、そこにいられると僕が困るんだ。


だから別の場所で寝てくれないかな?


あー……テコでも動かないね。


いつもは嫌がるお腹を撫でられるのは嬉しいけど。


ごめん、今だけはパソコンからどいて。


…………。


ふぅ。


今日も一日が終わった。


君は自由でいいなぁ。


けど明日は僕も君みたいに眠れるよ。


一緒に二度寝、お昼寝を楽しもう。


それじゃあおやすみ。


良い夢を。

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