第80話 神隠し

昔、母の田舎で神隠しにあった。

らしいが、よく覚えていない。

ただ、誰かに手を引かれて山を歩いた記憶だけ。


祖母は血相を変えて、

「その話は二度とするな」

と言った。

だから最後に「手」が言ったことは話していない。


「必ず迎えに行くからね」


腕には今もミミズ腫れが残っている。

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