〜テロの神様〜
テロを再開し始めた頃から白命は、テロの名をよく使うようになった。
世界には次第にテロの愛称が定着していった。
そのうちネット上だけでなくテレビなど、世界全土でテロの名が叫ばれるようになった。
「テロ様、早くあれに天罰を」
「悪を根絶やしにせよ」
「あいつを殺して、テロ様」
そうした言葉でネットが騒がれ始めた頃、一つの総称がつけられた。
“テロの神様”
それは他人を裁く神のような存在。
そしてテロという名前、行なっているテロ行為
その全ての意味を含め
恐怖、怒り、救い、光、希望
そんな様々な思いを込めてつけられたものだった。
白命が必ず“テロ”の名と、他人を裁くテロリストの行為、そして、悪を裁く英雄の名前“テロ”が皮肉にも、過去の“テロ”と同じ“テロの神様”の名を受け継ぐことに繋がったのだった。
それでも白命はそのテロ行為を続けた。
まるで何かに取り憑かれたように、悪を裁き続けていった。
いつしか白命は、テロと白命の二人の人格を使い分けるように、まるで別人のようなり、テロの名を語り行動するときは、オリジナルの仮面をつけるようになっていった。
その仮面が拍車をかけたのか。
“テロの神様”の名は世界の全ての人が知る、当たり前の言葉の一つへと変わっていくのだった。
それと同じくらいに、白命のかけた
〝言ったことは全て真実になる〟
の暗示は世界に広がりより人の奥深くに刻み込まれていった。
もうこの頃になると、世界の誰もが白命の言葉に疑いを持つことはなくなっていた。
こうして、テロの神様の存在である白命は、本当の意味で神として世界に知れ渡ることになったのだった。
ある日、白命はテロの神信仰団体、通称リストと言われる組織があることを知った。
彼らはテロの行為を正義のテロリストと信じ込み、テロの名とついになるリストを名乗りその勢力を広げていった。
半年も過ぎるとその組織は全国世界各地に広がりつつあった。
白命は自分の思いに共感するリスト教団に惹かれ、彼らを正式な自分の眷属だと言うことを発表するのだった。
するとリスト教団はますます力をつけていき、白命の言葉を絶対とする完全独立宗教国家となった。
しかし白命はこの時、このリスト教団の創設者たちの中に、自分を陥れようとする者がいることを知らずにいた。
それを知らない白命はこの教団の結束を強固なものにし、まるで一つの意思共通体のように変えていった。
次第にはリストの創設者を中心にそれぞれが
国、領地、街、村に1人ずつ代表として居座り
テロの神様の信仰を解く宗教活動を始め
テロから恩恵を受けたという
ヤラセ活動もし始めた
本来ならヤラセと気づくほどのものだが
そうはならなかった
民主はそれが本当に
テロから与えられた者だと信じ
テロに認められたリスト教団の一員は
幹部の地位と力を与えられると
そんな噂が世界中で広まっていたからだ
この時、まだ白命は気づいてはいなかった
この時から少しずつ歪み始めた
リスト教団のことを……
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