とある引きこもりが異世界に転生したら魔王になっていた

黒豆

第1話怠惰

僕はひきこもりだ。

自宅警備員とでも言っておこう。お家を守るのが僕の使命だ。ただ、その生活ももう5年…。そろそろ飽きてきた。だからといって外に出ようとかはしない。めんどくさいからだ。無気力の象徴が僕だと言っても過言ではない。なんて誰にもきかれてないのに独り言を言っていた。


いつものように独り言を終え、昼寝を始めた。昼寝というより、省エネルギー活動といでも言っておこう。動かなければそれだけ、食べる物もお金も消費しない。だからあえて動かないそれが僕のスタンスだ。とか無意味な言い訳を考えながら僕は眠りについた。


いつものように寝ていたそのはずなのに、起きてみると見たこともない草原にいた。一瞬目を疑ったが、どうせ夢だと思った。だが妙にリアルなこの感覚そして、この草の香り。夢にしてはできすぎている。だからといって無気力の僕はまた昼寝を始めた。ここがどこで、なにであるかなんてさしたる問題ではない。それだけ僕は無気力だった。


だが、突然大きな遠吠えが聞こえ、僕は目を覚ました。見てみると、狼らしき大群がこちらを睨んでいる。なんだ狼か、そんなことを思った。だがその威圧感と迫力は無気力であった、僕を十分恐怖させた。


流石の僕も、全速力で走っていた。

何年ぶりだろう、こんなに全力で走ったのは。たぶん小学校以来だ。人間は恐怖が目の前にあると、ここまで全力をだせるものなんだと思った。が、所詮ひきこもりの全力。

当然、狼の群れに僕は囲まれていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る