第5話

 痴女から逃げ、晩御飯をつくって食べた私はようやく自分の問題に取り組めるようになった。


 親がは共働きであまり家に帰ってこないので、ご飯を作るのは私の役割だ。


 本来ならお姉ちゃんと交互に作るはずなのだが、「ひかりが作った方が美味しいし~」とか言って作ろうとしない。


 その代わり洗濯物とかは、お姉ちゃんがやってくれている。前に私の洗濯物をくんくんしていたのは、見なかったことにしよう……


 とにかく、ようやく自分の時間だ。

 さっきお姉ちゃんがすすめてくれたことを早めにやっておこう。


 私は、ベッドにコテンと横になり、スマホでラインを開く。


「えーっと……」


 私はグループ一覧から2ー4というグループを選び、そこのメンバー一覧を開く。


「月野くんは……と」


 このクラスラインに入っている人数は31人。

 先生も入っているので、クラスメイト30人全員が入っているはずだ。


「ふふっ。『月野 影』ってそのまんまの名前……」


 私は、思わず笑ってしまった。


「これでいいよね?」


 私は追加というボタンを押して首をかしげる。


 今まで、あまり友達追加をしたことがなくちゃんと追加できているのかわからない。

 基本的にいつも相手から友達追加してくれるからだ。


「大丈夫そう……」


 新しい友達の欄に月野くんが追加されていた。


 早速私はトークボタンを押す。


「でも、最初って何を言えばいいのかな?」 


 基本的にいつも追加されるときは「よろしく」とスタンプが送られてくる。


 私もそれだけにしようかと思ったが、仲良くなりたいという気持ちをしっかりと伝えた方がいいと思い、一言つけ足す。


『隣の席になれてうれしい!これからよろしくね!』


 これに加えてスタンプを選ぶ。


「やっぱり、これかな?」


 私自身が好きなスヌ◯ピーのスタンプか、ひかりちゃん専用の猫スタンプにするかで迷い、結局、猫スタンプにした。

「ひかりちゃんだにゃ《*≧∀≦》」って感じのやつだ。


 よく考えたら、自分から男の子にラインを送るのは初めてかもしれない。

 そう考えると少し恥ずかしさと同時に不安になってきた。


「返信してくれるかな……?」


 私のことが嫌いでなければ返信してくれるはずだ。と、お姉ちゃんも言っていた。

「ひかりは可愛いから大丈夫だよ~」とも。


 うん。きっと大丈夫。


 そう思い、スマホをベッドの横の机に置いて本棚から漫画を取ってこようと立ち上がると、

 ぴっ、と既読という文字が浮かんだのが見えた。


 少しほっとした。

 見たならすぐに返信してくれるはず……


 そう思い、私はもう一度ベッドに座り直し、じっとスマホの画面を見つめた。

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