第15話

side 春宮紫苑

「夏目、そレは本当ka…?」

「はい。解析したらオーガ・ソルジャーってなっていますけど」


マジかよ。いつそんなの獲得してたのかよ


「さっき、オーガと戦っている間かな。あ、あと〈身体強化〉っていう異能も獲得したぜ」

「流石祐介ね。やっぱりあんな奴よりあなたが勇者に相応しいんじゃないかしら?」


くそう、チーターどもめ

っていうか


「……あの馬鹿リーダーってマジで勇者なのか?」

「馬鹿リーダー?ああ士道仁のこと?」

「へぇ、士道仁っていうんだ」

「呆れた。クラスメイトの名前知らなかったの?」

「仕方ないだろう。お前達とはロクに関わっていないんだからな」

「確かにそうだったわね。まあその通りよ。アテナイ教団の教団長―私達が召喚されたときにいたおじさんね。そしてアルファード王国―この国の国王があれを戦闘能力だけで勇者と認めちゃったのよ。まあ頭はあれだけど本当に強いのよ。ロクに訓練に参加しないくせに騎士団長のダニエルさんと互角以上よ」

「マジかよ。流石に頭のできが悪すぎるだろ。そういえば、あいつ、お前に固執してるようだけど何かあったのか?」

「……ああ、そういえば、少し前に告白?されていたのよ。それを私が振ったのよ。多分それね」

「彼氏持ちに告るとは……勇者だな。そしてお前どう振ったんだよ」

「別に普通よ。それに仮に祐介と付き合っていなくてもあれとは絶対にないわ。あいつとその取り巻き達ずいぶんとチヤホヤされてるみたいでね。何しても許されてるみたいなのよ。だからか男は女を、女は男を取っ替え引っ返えして遊んでるのよ。おまけにクラスメイトに手を出そうとしてるのよ。信じられる?」

「先生は止めないのか?」 

「担任の先生は注意してるけど全然聞かないわね。副担任の先生は注意するどころかあいつらと仲がよくなって一緒に遊んでるわよ」


マジかよ

僕の知らない間に随分と学級崩壊してるなぁ




僕が秋崎からクラスの現状を聞いている間に祐介達の話し合いが終わったらしい


「Iiか、お前達■れから俺達だけでゴブリンの巣をmiつけ、ゴブリンど■を駆除すルぞ」


は?


「「「「「団長(アルカさん)。疲れてるんですか?」」」」」


どうやら皆考えていることは同じみたいだ。綺麗にハモった


「い■、俺ハ大丈夫だ」

「いや、流石にこの人数は少なすぎるでしょう。あれだけの数が外にいて、オーガまでいたんですよ。このまま一旦戻って、全員で掛かった方がいいんじゃないですか?」

「Iや、駄目だ。今zyaなきゃ駄目だ。あ■つらは敵が近く■■ることに気づイテいる。だかra俺達を殺すたmeに多くのゴブリンが外に出てiるはずだ。言い換eれば巣には最低限の戦力■■いない。そしてコこでコいツらを放置すru方が危険だ。近くni巣があるnaら潰しと■なきゃコっちが危険にsaらされてしmaう」

「……」

「確kaに全■の魔物ノ目を■ぐり抜けるのは難しいkaもしれな■が不可能トいうわけでハない。勝算はあ■。大丈夫だ」





そうして冒頭に戻る

結局僕らは団長の言葉を信じてゴブリンの巣を潰すことになった

道中、魔物とは遭遇しなかったうえ巣はすぐに見つかった

近くにあったダンジョンだった

ダンジョン、RPGでおなじみのやつだ。この世界のダンジョンも同じような物だ。魔物が現れ、お宝がある。ただ、なんのために存在しているかは全くの不明で、今でも学者達が頭を悩ませているらしい



ダンジョンの中は薄暗く、ジメジメしている

ゴブリンのダンジョンだからかゴブリンが住みやすい環境となっているらしい

しかしゴブリンの数は、団長の予測が外れ、結構多かったため物陰に隠れてやり過ごしたり、罠も威力が低いがかなりの数があり、かなり攻略に手間取ってしまった


階段を降りて進むと大きな門があった

団長が先頭に立ち、門を開けると、全員が中に入ると、地面にあった魔術陣が光り、そこにはたくさんのゴブリンとオーガや外にはいなかった様々な人型の魔物が気持ち悪い笑みを浮かべ、ひしめき合っていた




「がぁああああぁ!!」 

「グルルルルッ!」

「ブモモモォォ!!」

「ギギグギグキャ!!」


魔物達が一斉に襲いかかって来る

こちらも武器を構え、応戦する

団長や祐介が凄まじい勢いで魔物を倒していくが、数が多すぎて減っているように見えない

あー!もう数が多い!

一体一体の知性はあまり高くないらしく、連携してこないのが救いである


「がああああぁ!」


オーガがその剛腕を振り下ろす

盾で防いでも確実にミンチになる一撃を横に跳んでよける 

動きが大きかっため、よけた先にいる魔物が心配だったが、よけた先にゴブリンが2匹の動きは遅く、武器を構える前に槍で彼等のあばら骨を砕くことができた

……あー本当に慣れないな

こちらがそんなことを思ってもあちらは全く配慮なんてくれずに襲いかかってくる


「皆!この■まじゃ埒があかnaい!俺が■術でマとめて吹キ飛ばすかra全員キチンと防げyo!」


は?

団長が一方的に伝えてくる

文句を言おうと思ったが、詠唱に集中しているため、無駄だった

せめて、巻き沿いを食らわないように移動した瞬間


「“〈獄紅炎プロミネンス〉”」


団長の魔術により大部屋にいた魔物の大半は瞬時に蒸発した

奇跡的に生き残ったのもいるが虫の息だった

その生き残った魔物にトドメをさしながら団長に文句を言う


「ねえ、団長。こんな密室で炎使うとか馬鹿ですか?それにこんな大魔術使うならもっとちゃんと言ってくださいよ」 

「ハハハッ!マあ無事だし、■にしナくて良iだろu!」


軽く流された。むかつく




大部屋で少し休憩し、攻略を再開した

大部屋を出た後も特に変わらずに罠はあるし、魔物は出現する

しかし、攻略に慣れていたときだった

いきなり地面に魔術陣が現れ、輝き始めた


「まずい!!ぜ―


団長の言葉は途中でかき消され、聞こえることはなかった

光りが収まり、目を開けるとそこには誰もいなかった

……どうやらとてつもなくピンチのようだ

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