6.遠き島からの頼り・後編

 

 【2070年3月。】

 それは今から10年前。

 アロイス・ミュール16歳の頃の話だ。

 当時、冒険団クロイツに所属するアロイスは、本部の『副隊長補佐』という雑用係に過ぎなかった。

 その頃のアロイスは、声は若干高めで、今と比べて細身気味。また、黒の短髪ではなく、黒い長髪に、赤黒カラーの炎柄のバンダナ巻いてオールバックに纏めるという、やや反発心のあるスタイルであった。


 そして、そんな彼は今、上半身は裸、下半身は汚れたズボンと裸足という格好で、カトレア諸島に広がる海を、砂浜に座って眺めていた。


「はぁーあ、何も収穫が無かったなぁ……」


 大きなため息を吐いて、浜辺の熱い砂浜に寝転がる。

 今日、アロイスは本部の副隊長及び数名の部下と共に、カトレア火山諸島の海底に眠るダンジョン攻略に訪れていた。

 しかし、海底ダンジョンは巨大蟹カルキノスや、巨大海蛇シーサーペントの巣であった限りで、彼らを討伐した上で捜索するも何の結果を得ることも出来なかったのだ。


「蟹鍋に蛇焼きだけじゃ満足できねーっつーの! もっとこう、宝物が欲しいんだよ俺はァッ! 」


 何も見つからなかった時ほど、ひどい消化不足感ったら無い。頭を抑えて、砂浜をゴロンゴロンと転がる。……すると、転がるアロイスの腹部に突然ズシッ、とした重みと痛みを感じた。


「げふっ!? ごほっ! 」


 思いがけず咳き込む。一体何ごとだと自分の腹を見ると、誰かが自分の腹部に素足を乗せていた。


「な……誰だ! 」


 踏みつけた相手をにらみ付ける。と、犯人はアロイスを踏みつけたまま、聞き覚えのある声で喋りかけてきた。


「何をしているんだ。結果は結果だ。それより死ななかった事を喜び、次に活かせ! 」


 それを聞いたアロイスは、

「げっ!」

 一言ばかり声を上げ、足をどかし、即座に立ち上がった。


「リ、リンメイ副隊長……!」

「くよくよするな。こっちまで気分が落ち込むだろう」


 クロイツ冒険団、副隊長リンメイ。

 19歳の彼女は長い黒髪に凛とした顔立ちで、澄ました表情が美しい。加えて、整った筋肉と白い素肌、非常に大きく成長した胸が、誰もを魅了する。また、それでいて男勝りの性格だから形容しがたい。誰よりも率先して動き、誰よりも働く姿勢は、部下からの人望も厚い。


 そして、その魅力に惹かれるのはアロイスも同じだった。特に、今日は彼女の美貌を露わにする真っ白な水着が良く似合っていて、思春期のアロイスにとっては目を逸らさなければ苦しい姿でもあった。


「くよくよするなと言われてもな……。で、でも踏みつける事無いだろ! 」


 怒号を飛ばすが、リンメイは溜息がてら返事した。


「お前だけが落ち込んでいる訳じゃない。だから、こうしてバカンスを楽しむ事を許してるんだろう」


 アロイスや彼女然り、半身裸だったり水着だったりしたのは、結果を得られなかった部下たちへの特別休暇であるバカンスを許したからだった。


「俺はバカンスより、宝が欲しかったんだよ」

「……まだ言うかっ!」


 未だ嘆くアロイスに、リンメイは素早くアロイスの背後を取って、首に腕を回し、密着した状態でギリギリと絞めた。


「ちょっ……!」


 もちろん彼女は本気ではない。しかし、その分、自分の背中と彼女の膨よかな部分がフワリと触れ合って、全身で感じる柔らかさに思わず赤面する。


(これは不味いって……ッ!)


 この状況は色々と不味い。

 アロイスは背中に感じる柔らかな感触に嬉しい気持ちを抑えつつ、彼女の右手を引っ張り、そのまま背負投げをした。

 リンメイは「おぉっ」驚き、そのまま背中から砂浜に落下した。


「良い動きだ。思わず、されるがまま投げられてしまった」

「はぁ、はぁ……。勘弁してくれよ、リンメイ……」


 砂浜に寝転ぶ彼女は尚美しく艶やかで、また心奪われるが、そっと目を逸らす。

 すると、リンメイはアロイスの様子を見て、

「しかし私が投げ飛ばす元気があるようで何よりだ」

 と、笑った。


「別に元気じゃねえよ。驚いて投げ飛ばしただけだから」

「じゃあ元気が無いのか」

「そもそも特別落ち込んでないし。宝が無かったから、残念だと思ってるだけだっての」

「それを落ち込んでいると言うんだろうが。やれやれ……」


 リンメイは両足を広げ、体を捻り、コンパスのように身体を回転させて砂浜を撒き散らしながら立ち上がった。


「ぶわっ、雑な立ち方しやがって……!」

「そう言うなアロイス。お前にいつもの元気が無いと思って、折角見に来てやったんだ」

「……余計なお世話だ」


 アロイスは体についた砂を払いながら言う。

 すると、リンメイは不敵に笑って、

「私の砂も払ってくれるか」

 と、体を近づけた。


「じょ、冗談。何で俺がお前の砂を落とさなくちゃいけないんだよ! 」

「そうか。やらないなら良いんだ」


 突き出した体を退く。

 アロイスは慌てて、大声で言った。

「やらないとも言ってないだろ! 」と。


 その台詞に、リンメイは口を手で押さえて「ぷぷっ」と笑う。


「へぇー。ふぅーん……私にそんなことしたいんだ」

「あっ……! 」

「仕方ないなー。ほらほら、好きにしていいよー」

「ち、違う! ああもう、お前といると本当に調子狂うんだよ! 」


 彼女に本当に心が惹かれているからこそ、リンメイのそんな態度が一々、ズクズクと心を突く。アロイスは顔を真っ赤にして、急いで砂浜から逃げたのだった。


 それを見たリンメイは苦々しく笑い、

「あちゃー……やり過ぎたかな。おーい、夕方までにはキャンプ地に戻ってこいよー! 」

 アロイスに向かって叫んだ。


 しかし、それを聞こえていても聞こえないふりをして、返事をせずに海辺近くのジャングルに突っ込む。一心不乱に声を上げ、走り続けた。


「だぁああっ、何やってんだ俺はぁぁああっ!! 」


 リンメイとは、冒険団に入隊してから幼い頃からの付き合いだ。彼女を『リンメイ』だとか、『お前』だとか、そんな呼び方を許されるのは現部隊長や、団長くらいで。他の誰よりも、自分は彼女と親しいと知ってる。……だけど。だからこそ、彼女が自分の想いを知ってても、リンメイが自分に振り向かないことは知っていた。


(分かってんだ、分かってんだよ………! )


 ふと、ジャングルの硬いツタに足を取らる。勢い良く走っていた身体は宙を舞って、そのまま水気のある苔に濡れた地面を滑り転がった。やがて、木々に衝突した後で、ジャングルの高い木々から差す太陽に目を眩ませて、泣きそうな声で叫んだ。


「リンメイにとって、俺はただの弟に過ぎないんだろ……。アンタが今の部隊長の事を好きだって事くらい、知ってんだよぉぉおお―――っ!!! 」


 よぉぉおおっ―――っ。

 おおぉぉ―――っ。

 おぉぉ―……。

 おぉ……。


 アロイスの気持ちを象徴するように、言葉も遠く果て無く木霊した。自分の気持ちが届かない遣る瀬無さが、悲しみばかりを生む。


「ちくしょう……」


 立ち上がり、バンダナを外す。バサリと晒した長い髪を、グシャグシャと掻き毟った。額に滲んだ汗をバンダナで拭いて、髪を整え直すと、再びバンダナを着用する。


「クソッ。何やってんだ、俺はよ」


 自分の気持ちの弱さに嫌になる。海辺に戻って、頭を冷やそう。来た道を帰ろうと、振り返る。

 だが、その時だ。目の前の大きい苔の生えた木に隠れるように、灰色の猫耳と尻尾を生やした非常に小柄な少女が此方を覗いていた事に気づく。


「な、何だ? 」


 睨むように少女を凝視する。

 アロイスに睨まれた少女は、猫耳と尻尾をピンッ!と跳ねさせた。


「ひっ! 」

「何だ、驚いて……って、ケットシーじゃないか。何だ、俺に何か用事か? 」


 ケットシーは、かなり小柄な身体を持つ魔族の一種。このカトレア火山諸島に住むのは『猫人族』と呼ばれ、容姿が小柄で猫に類似した魔族である。

 アロイスら冒険団が海底ダンジョンの攻略の際、ケットシーらに協力を仰いでいた事もあって、村に滞在させて貰っていた。どうやら木陰に隠れる彼女は、自分の何かを伺っているようだ。


「……待て。お前はどこかで……そうだ。確か、俺らが世話になってる村に居たケットシーだな。その全身の灰色の髪と瞳、尻尾と耳。よーく覚えてるぞ」


 ケットシーの村で族長に挨拶しに行った際、家屋の壁に隠れて出てこなかった女の子だと思い出す。今もこうして影に隠れてる辺り、自分たちに敵意でも持ってるのだろうか。


「テイルとか言ったな。族長の娘だったはずだ。違うか? 」


 アロイスが尋ねると、彼女は木陰に隠れながら小さく頷いた。


「やっぱりな。どうした、何か俺に用事じゃないのか? 」


 彼女は首を横に振る。


「そうかい。じゃ、俺は海に行くからな。お前も早く村に戻れよ」


 片腕を上げ挨拶して、再び来た道を戻ろうとする。

 しかし彼女は木々の隙間を飛び跳ね、アロイスの目の前に移動して、また木陰に隠れながら見つめてきた。


「……やっぱり何か用事なんじゃないの。どうした、何か話があるなら聞くぞ」


 彼女は、身長差のある自分が怖いのかもしれない。アロイスはその場で腰を下ろし、胡座を組んで目線を合わせた。

 するとテイルは尻尾をぷるぷる震わせていたが、ようやく姿を現してくれた。赤黒の薄い布の上着とスカート、民族衣装のような格好をした彼女は、ゆっくりとアロイスの元に近づき、小声で言った。


「えっと、アロイス……? 」

「やっと口を聞いてくれたな。ああ、族長に挨拶した時に俺の名前は聞いてただろ」

「ん……」


 小さく、小さく、頷く。


「それで、俺に何か話でもあるのかい」

「……アロイス、お化け、やっつけてくれたの? 」


 不安そうな目で、アロイスを見つめながら言った。


「お化け? お化けってのは……カルキノスやシーサーペントか」


 彼女が言ったお化けとは、巨大蟹や巨大海蛇など、今回の海底ダンジョンに潜んでいた奴らだった。

 奴らはいつの間にかダンジョン棲みついたらしい凶悪な魔獣で、先住民族だった猫族のケットシーは、見た目通り戦闘には向かず、奴らが浜辺に上がっては、残酷にも奴らの糧にされるばかりで危機に瀕していた。

 だが、クロイツ一行はダンジョン攻略のついでに討伐した。結果として、彼らの未来を救ったことになったのだ。(そもそもはリンメイが彼らに世話になるお礼に、全て討伐しようと言ったのだが)。


「……倒したよ。もうお前らが襲われる事はねーさ」

「本当? 」

「ああ、本当だ」

「本当の本当? 」

「うん、本当の本当だ」


 何度も何度もテイルは訊いた。その度にアロイスは頷き、彼女の欲しがっていた答えに応えた。


「……本当なんだ! 」


 そして、数分もの押し問答が続いた後、ようやくテイルは笑顔を見せてくれた。


「アロイス、ありがとう! 」

「別に俺だけが倒したわけじゃないけどな。……てか、あれっ……」


 おや……何だろう。あれほど宝が無かった事に落ち込んでいたというのに、彼女が喜んだ顔を見たら、モヤモヤがちょっとばかり晴れた気がする。


「……何だ。お前の笑顔を見てたら、どうでも良くなっちまったよ」

「んー、何が? 」

「色々だよ」


 近づいたテイルの顎の下を、人差し指でコチョコチョと触る。

 彼女は「んー♪」と、嬉しそうにした。


「テイル。平和になって嬉しいよな 」

「うん、嬉しい♪ 」

「そうか。誰かが幸せになったなら、別に宝はいらねえか……」


 アロイスの優しい発言を聞いたテイルは、彼の組んだ胡座の上に座った。頭をコシコシとアロイスの上半身に擦り付け、何とも満足そうな表情を浮かべる。


「何だ。そんなことして楽しいかい」

「うん♪」

「そうか。なら良いんだ」


 アロイスは彼女の頭を撫でた。満面の笑みを浮かべる彼女に、アロイスも何となく楽しい気持ちになる。二人は暫く、そんな状態でゆったりとした時間を過ごした。

 ……ところが、彼女とアロイスの親睦が深まっていた、さ中。アロイスの頭の上にボフンッ、とした感覚があった。


「うおっ、今度は何だよっ!? 」


 突然、何かが頭に覆い被さった衝撃にはさすがに驚く。咄嗟に、頭の上に乗った何かを掴んだ。


「何だ、巨大な虫か何かか! 」


 ここはジャングル、何が出てもおかしくはない。しかし、掴んでみたそれは、元々小柄なケットシーより更に小さな身体の、同じ猫人族の男の子だった。


「だ、誰だ……」


 黒い短髪、目はクリクリと大きく、大きい木の葉模様の布切れで作られた服装が可愛らしい。……が、彼は、どうも自分に敵意を抱いているような顔つきをしていて、柔らかい猫パンチをアロイスの顔面をペシペシと殴った。


「あたたっ、止めろって。ど、どうしたんだよ。遊んで欲しいのか」


 彼を少し離れた位置に下ろして訊いてみるが、返事はない。

 それどころか、さっき木陰に隠れてたテイルのように尻尾をカタカタ震わせて、再び攻撃を仕掛けるような構えを取った。


「どうした。俺は、お前に喧嘩売られる筋合いはねーぞ」


 アロイスは渋い顔をして言う。と、胡座の上に座っていたテイルが飛び出し、彼の元に近づいて口を開いた


「大丈夫だよ、セルカーク。アロイスは皆を助けてくれたの」

「……っ」

「本当だよ。敵じゃないよ」


 どうやら、テイルと彼は知り合いらしかった。セルカークという男の子は、彼女に諭され、ゆっくりと構えを解く。

 テイルは「うん」と頷き、アロイスに彼を紹介した。


「アロイス。こっちはね、セルカークって言うの」

「セルカークね。俺が敵だと思われたのかね」


 彼は無口なのか、喋るのが難しい年齢なのか。どちらにしても、セルカークは自分を良く思っていないのだけは確かだ。


「たぶん、敵だと思ってたんだと思うの」

「え、そうなの」

「うん……。あのね、セルカークは私のお守り役なの」

「……お守り? 」

「私のお父さんが、ぞくちょう? っていうのだから、ずーっと守ってくれる家族なんだって」


 断片的な説明だったが、理解は出来た。

 族長を守るため、代々仕えてる一族か何かなのだろう。だから、彼女と親しくしている自分が憎たらしくなったのか、敵と間違えたのか、いずれにせよ、その小さな身体で向かってくるとは見上げた根性をしている奴じゃないか。


「ふーん。そうだったのか、セルカーク」


 アロイスが名を呼ぶ。彼は、ピクンッと反応して、此方を睨んだ。


「そう構えるな。今、その話を聞いて お前も男だなって思ったんだ。俺はお前の大事な人を傷つけようとか、奪おうとか思っちゃいないよ。どうだ、お前も俺と仲良くなっちゃくれないかな」


 そっと手を伸ばしてみる。一瞬こそ彼はその手に触れようとしたが、手を叩き落とし、逃げ出した。


「あらっ。嫌われたか……」


 折角、仲良くなりたかったんだけどな。

 走り出したセルカークの背を見ながら溜息を吐くが、それは、次の瞬間に起こった。


「キイイィィイイッ!! 」


 突如、鳴り響く、耳に激痛を与える声。セルカークの逃げていた付近の木々の隙間から、大人一人を丸呑みできるような大口を開いた、巨大な蛇が飛び出した。


「シ、シーサーペントッ!? 」


 青色の巨大な蛇は、海底ダンジョンで全て沈めた筈のシーサーペントだった。

 恐らくは生き残りか何か、地上に逃げていた一匹が姿を現したに違いない。

 しかも驚いている間もなく、シーサーペントはセルカークに襲い掛かった。


「やべぇっ! おい、ガキ! 逃げろぉっ! 」


 アロイスは、セルカークを助けようと飛び上がるが、その手は届かなかった。シーサーペントの大口は、セルカークを丸呑みしてしまったのである。


「ば、馬鹿なっ!! 」


 目の前で起きた惨劇。

 思わず声を悲鳴のように叫びを上げた。

 シーサーペントはゲフッと喉を鳴らし、そのままジャングルの奥に消えていく。


「ま、待てコラァ! 」


 アロイスは蛇を追いかけようとする。が、足を止めた。周りにまだ生き残りがいるかもしれないのに、テイルをそのままにしておくことは出来なかった。


「テイル、俺と一緒に来い! 」


 立ち尽くすテイルに手を差し伸べる。

 だが、彼女はその手を取らず、恐怖に怯え、酷く動揺しながらアロイスを見つめて言った。

「嘘だったの……」と。


「な、何? 」

「もう、ぜんぶ倒したって……。アロイス、言ってたよ……」

「それは……! 」


 違うんだ。嘘なんか吐いたつもりはなかった。本当に倒したと思っていたんだ。そんな顔をして俺を見つめないでくれ。


(いや……)


 いや、何を言おうと彼女にとって、最悪の嘘になってしまったのは事実だ。

 ……だったら、どうする。

 嘘を本当にすれば良い。これからアイツを倒して、セルカークを取り戻すんだ。


「テイルッ!! 」


 アロイスは彼女の名を大声で叫ぶ。彼女の前で膝をつき、頭を下げた。


「俺を信じてくれ。お前に嘘を吐いたつもりは無かった。そして、アイツを絶対に助けるから。もう、お前の大事な仲間をアイツらの好き勝手にはさせない。約束する。だから信じて俺の手を取ってくれッ! 」


 顔を上げ、しっかり見据えた瞳で彼女を見つめる。テイルは震えながら、アロイスの瞳を覗く。その想いは、熱くヒシヒシと燃え、アロイスの言葉が全て真実であると受け取る事が出来た。この人は、嘘は吐こうとはしたわけじゃなかった。本気で、セルカークを助けようとしてくれている。


「ア、アロイス……! 」


 差し伸べ続けた手を、彼女は握った。


「セルカークを、助けて……」


 涙を流して、掠れた声で言った。

 アロイスは「絶対に約束だ! 」、彼女を背負った。


「しっかり掴まっててくれ。絶対の絶対に助けてやる! 」


 テイルが背中にしっかりと掴まったのを確認して、自分も片腕で彼女を強く支え、巨大蛇の消えた方向に向かって駆け出した。


(……野郎、必ずぶっ倒してやる! )


 背中の後ろの小さな想いを必ず守る。絶対にあの男の子を助けてやる。幸い、巨体を持つ蛇は、辺りの道を潰しながら進んでいて、追うのには事欠かなかった。

 やがて、風のように駆けた先、ジャングルの小さなスペースで、お腹の膨れたシーサーペントが休憩している様子が見えた。


(見つけたぞ! )


 お腹をポッコリと腫らしているヤツは、動く気配は無い。寝ているのだろうか。どの道、休んでいるのなら、その隙に叩きのめすまで。アロイスは周りの木に跳び登って、大きな枝の上にテイルを座らせた。


「地上は危ないからココで待っててくれ。すぐにセルカークを助けてくるからな」


 テイルは涙で赤く腫らした顔で、小さく頷いた。


「……行ってくるぞ! 」


 アロイスはボキボキと指の骨を鳴らすと、地上には降りず、そのまま高い位置からシーサーペントに勢いよく突っ込んだ。


(腹部の膨らみはセルカークがいるから叩けない。なら、その少し下の消化器官を抉ってやる! )


 拳に気合を込め、高い位置から落下した威力も併せ、殴りかかった。ところがシーサーペントは、蛇として熱感知の能力が特に優れていた。空中から飛び掛ったアロイスの熱気に気づき、此方を睨んだ。


「キィィイィアアアッ!! 」


 甲高い声が唸る。アロイスは、

「うるせぇ! 」

 と、耳を押さえるが、その僅かな隙はシーサーペントにとっての大好機である。空から落ちてくるアロイスに向かい、シーサーペントはその大口を開いた。


「あっ、やべぇっ!? 」


 空中で自由が効かないアロイスは、そのままスッポリと大口に囚われてしまった。テイルの位置からは完全にアロイスが蛇の口に呑まれてしまう姿が見えていて、悲愴の表情で木の上で項垂れた。逆に、シーサーペントはアロイスも腹に収めたことで、これ以上ない満腹感に悦び溢れた顔をしていた。


「アロイス……」


 絶望の淵に立たされたテイルは、死んだ目をしてシーサーペントを見つめる。

 ……だが、全てが終わったと思っていた、その瞬間、ふいにシーサーペントの様子がおかしくなった。


「あれ……? 」


 ヤツの悦び溢れていた顔が、苦痛に歪んでいた。

 そして、何かが奴の腹部で暴れ、その肉が右往左往と動き回っていた。テイルは、それを見て理解った。アロイスが、お化けの中で戦っているんだと。


「ア、アロイス……。アロイス、頑張ってぇ―――っ! 」


 テイルが叫んだ。

 ……と、その途端。蛇も「キィィ」、再三たる叫び声を上げたかと思えば、その腹部を、バカン! と、ぶち破って脱出するアロイス。その右腕には服までが溶けかけたセルカークが、ケホケホと咳き込んでいた。


「しゃあッ!! 」


 勝利に雄叫びを上げたアロイスは、着地して、ズザザァ、と地面を素足で滑って止まる。アロイスとテイルがシーサーペントの方を見ると、血反吐を撒き散らして痙攣し、ズズンと倒れたのだった。


「……ふぅ。食われた時はどうしようかと思ったが、何とか助かったな。俺も、お前も」


 右腕に抱えたセルカークは、まだ生きていてくれた。

 アロイスは左腕を上げ、テイルに、

「おーい!」

 と、手を振った。


「ア、アロイスーーッ! 」


 アロイスの姿を見たテイルは興奮のあまり、アロイスに向かって飛び掛った。


「お、おいっ! そんな高さから! うおおおっ、危ねぇっ! 」


 危うく彼女の身体を抱える。

 アロイスは蛇の血だらけだというのに、彼女はそれを気にせず、ゴシゴシとアロイスの身体に全身を擦った。


「アロイス、アロイス……! 」

「約束は守ったぞ。これで俺が嘘を吐いちまったこと、許してくれるかな」

「あう……あうぅ……」


 アロイスの心意気、強さ、優しさに、テイルはどうしようもない気持ちになった。更に、右腕に抱えていたセルカークも落ち着いた後で自分が彼に助けられた事を知って、小声でこう言った。


「あろいす……おにいちゃん……」と。



「おおっ、セルカーク。今、俺のことを……」


 お兄ちゃんと言ってくれたのか。

 セルカークは、とても小さな声であったが、何度も繰り返しアロイスの名を呼び、礼を言った。


「ありが…とう……。おに……ちゃん……。ありが……とう……」


 助かった喜びと、暗闇に落ちかけた恐怖に涙が溢れたセルカークは、アロイスの腕をギューッと掴み離さなかった。両腕に感じるケットシーの愛情に嬉しくなる。


(ハハッ、コイツら……。だけど血塗れで愛情貰っても、格好つかねーな…………ん? )


 ふと、木々の隙間から感じる光。木漏れ日とは違う輝きが目をチカつかせた。


(あれは……)


 それは、水の反射光。近くの泉を照らす陽の光が、隙間を縫うように零れていた。


「……しめた。近くに水場があったから、あの蛇はここで休んでいたのか! 」


 草木を掻き分け、泉に近寄ってみる。それは決して決して大きくないものの、かなり澄んだ水場で、身体を洗ったり、喉を潤したりするのには問題無さそうだ。


「おい二人とも、水は大丈夫だよな。泳げるな? 」


 猫は水が苦手というが、彼らの場合、海辺に住んでいる種族が水を苦手というわけがない。二人が小さく頷いたのを確認して、アロイスはそのまま泉に勢いよく飛び込んだ。

 ジャバンッ! 激しい水しぶきが弾ける。色々合って火照った身体に、とても気持ちが良かった。


「うっひょー、冷たくて気持ち良い! 」

「つめたーい! 」

「あぅぅ……」


 テイルは喜ぶ。セルカークは、水を楽しんでいてもアロイスの肩によじ登って動こうとしなかった。

 アロイスは「やれやれ」と、自分で身体を洗うテイルとは別に、セルカークの浴びた返り血を流してやると、岸辺に上がって、バンダナを外した。長い髪の毛をかき上げ、軽く水気を弾いて、ようやく一息ついた。


「お前ら、怪我はないな。大丈夫だな」

「うん、大丈夫! アロイスが約束守ってくれて、とっても嬉しい! 」


 テイルはアロイスの腕を抱きしめ続ける。セルカークも、アロイスの頭に引っ付いたまま微動だにしなかった。


「二人とも元気そうなら何より。じゃあ三人一緒に海辺に行くか! 」

「うん、行くー! 」

「行く……」


 アロイスは、テイルを肩に、セルカークは頭に乗せて海辺へと向かった。

 ゆっくり歩いても10分ほどで、リンメイと別れた地点まで戻ることが出来た。すると、そこにはリンメイと、部隊のメンバーたちがビーチバレーをして遊んでいた。


「おーい、お前ら! 」


 アロイスが叫ぶと、リンメイは此方に気づき、

「何だその二人は! 」

 と、アロイスにしがみ付くテイルとセルカークを見て、驚いたように言った。


「いや、色々あってね。実はさ…………」


 自分がリンメイと離れてから、何があったかを伝えた。

 すると彼女は「もしや、まだ生き残りがいるのかもしれん」と、戦闘に赴く目を見せた。


「リンメイ、一応ジャングルも広く捜索した方がいいんじゃないか」

「あとで部下たちにそう伝えよう。しかし、アロイス……」

「何だ? 」

「お前、宝が無くても奴らと戦うのか? 」

「んあっ。あ、えー……」


 もう、今となっては海底ダンジョンの宝など関係ない。今は、彼女たちのような小さい命を救いたいとだけ思っていた。


「宝とか、もうどうでも良いよ。コイツらが無事に過ごせるなら、それで良い」

「……フフッ、そうか」

「何笑ってんだよ」

「いや何でも。それより、怖い思いをさせたケットシーらには、精一杯の持て成しをしてやれ」

「持て成し? 」

「丁度、バーベキューをする準備をしてたんだ。旨いもの食わせてやろう」


 すると、それを聞いたテイルとセルカークは「バーベキュー!? 」と、目を輝かせて言った。


「ああ、あそこで鉄板の準備してんのな」


 向こう側の砂浜で、部下たちが食料やら飲み物、鉄板と、簡単な小さな窯を作っているのが見えた。


「テイル、セルカーク。お前らも肉とか一緒に食うか? 」

「食べる! アロイス、あっちあっち、早く! 」

「たべる……! はやく、あっち……! 」


 二人は嬉しそうに、はしゃいで言うが、決してアロイスの元を離れようとはしなかった。


「おーう、それじゃ行くかー」


 アロイスも、そんな二人を乗せたまま、バーベキューの準備をしてるスペースに近づいた。


「うっす。リンメイ副隊長に聞いたけど、バーベキューするんだって? 」

「あ、どうもアロイスさん。はい、バーベキューしますけど……て、何ですか乗ってる二人は」


 テイルは「こんにちわー! 」と元気良く片手を挙げ、セルカークは見知らぬ相手にギュッ、とアロイスの頭を抱き締めた。


「はは、この二人は友達だよ」

「ケットシーの子供たちですかね。見た目じゃ年齢判別がつき難いですけど、何となし分かりますよ」

「喋り方や態度で大体分かるよな」


 アロイスは、肩に乗ったテイルの頭を撫でながら言った。


「とりあえず、なんか食べる物か飲めるもの無いかな。バーベキューが始まるまで、適当にコイツらと食べたり飲んだりして遊んでるからよ」


 部下は「ありますよ」と、、鉄板近くのシートの上に並べてある飲み物や食べ物を指差した。


「あれ、適当に食ったり飲んだりしてていいのか? 」

「沢山ありますから構わないと思います」

「分かった、どーも」


 アロイスはシートに近寄る。かなり大量に並んだ食料類のうち、ほとんどがバーベキュー用に準備された生肉や生野菜などだったが、地元産のバナナと、冷やした瓶詰めのアイスティー、ミルクが目に止まった。


(……おっ、良いね)


 アロイスはシートに置いてあったそれらと、コップを3つ手に取った。

 気になったテイルが、

「何するのー? 」

 と、尋ねる。アロイスは笑い、美味しいジュースを作ってあげるよと答えた。


「ジュース!? 」

「ジュース飲みたい……! 」


 二人は、わぁっと喜んだ。

 アロイスは、待ってな、と言って、スプーンで甘いバナナを掬って潰してから、アイスティーとミルクを合わせた物にそれを投入し、良くかき混ぜた。

(シンプルだけど、これだけで十分ウメーんだよなぁ)


 小指を入れ、指先をペロッと舐めて味見してみる。ミルクの濃厚さにバナナの甘い味、後味をスッキリとさせるアイスティー。何とも飲み心地が良いジュースが完成した。


「ほれ、出来たぞ。飲んでみろ。お前らの地元の柔らかいバナナだから、スプーンで潰してもよーく甘さが滲み出てると思うぜ」


 テイル、セルカークそれぞれにコップを渡す。二人はアロイスの肩と頭の上から降りず、そのまま受け取ったコップをクピッと一口飲んでみた。


「あっ、おいしいー! 」

「おいしい……! 」


 二人は顔を見合わせて、それをガブガブと飲んだ。


「そんなに美味しいか」

「うん、おいしい!もう一回のみたーい! 」

「おかわり……! 」


 二人は空になったグラスをアロイスに渡す。

「飲むの早っ。落ち着いてゆっくり飲めよ」

 文句を言いつつも、作ったジュースを美味しく飲んでくれて嬉しいことだと、素直にお代わりを作り始めた。

 すると、肩に乗っていたテイルが、頭の上に乗っていたセルカークに何か、ゴニョゴニョと耳打ちした。


「……ね、セルカーク。だから……、あれ……」

「う、うん……。あった……あそこ……」


 気になったアロイスが「どうした? 」と訊く。

 二人はピクンッ、と猫耳、尻尾を立てて反応して、砂浜に飛び降りた。


 そして、

「直ぐ戻るから、まってて! 」

 と、言い残して、何処かへと行ってしまった。


(何だ、折角作るのに飲まないのか……? )


 ずっと引っ付きっぱなしだった二人が、いざ離れると少し寂しい気がした。が、姿を消して3分程、アロイスが二人分のお代わりを作り終えたタイミングで、二人が此方に走ってくるのが見えた。そのうち、テイルは、片手に何かを持っているようだった。


「お、きたきた。二人とも、一体どこ行ってたんだ」


 アロイスが尋ねる。

 と、彼女は片腕に持っていた赤い羽根を差し出し、

「色々ありがとう、お兄ちゃんにあげる!」

 と、それを手渡した。


「これを? んー、何だこりゃ……」


 受け取った赤い羽根は、太陽に照らされる度に炎のように色合いを変え、グラグラと輝く。心なしか、指先に火照りも感じる気がする。

 不思議そうにそれを見つめていると、此方に近づいたリンメイが物珍しそうに言った。


「おー、それは火炎鳥の羽根じゃないか! 」

「リンメイ。火炎鳥の羽根……だって? 」

「うむ。このカトレア諸島の火山に眠る秘鳥だ」

「そいつの羽根ってことか」

「そういうことだ。年に一度目覚める朝、この羽根を島に撒きながら空を飛ぶのさ」


 アロイスが手に持っていた羽根を、リンメイは指先で軽くなぞって言う。


「へぇ、それって結構なレアな品ってことか? 」

「大量に降り注ぐ物だし価値云々はどうだろう。ただ、島民には宝物として、幸せを呼ぶ羽根と言われているらしいな」

「なるほどね、幸せを呼ぶ羽根か……」


 確かに、美しく燃ゆる炎の羽根は、幸運をもたらしてくれそうな気がする。

 

「アロイス、つまりケットシーの二人は、お前に幸せになって欲しいって事じゃないか? 」

「ん、何……? 」


 そう言われて、アロイスは二人を見つめた。

 笑顔で此方を見つめるテイルと、恥ずかしそうにモジモジするセルカーク。


「俺に幸せになって欲しいって事なのか? 」


 そう尋ねると、二人は「うんっ」と頷いた。


「……有難う。嬉しい贈り物だよ」

「えへへー。アロイスが喜んでくれたなら、私はもっと嬉しいの! 」

「じゃあ俺も張り切って美味しいジュース作らないと。バーベキューもするし、たっぷり食えよ」

「うんっ! 」


 二人は、もう一度アロイスの頭と肩によじ登ると、すっかり落ち着いた様子で、作りたてのジュースを飲み始めた。

 どうやら、本気で懐かれてしまったらしい。だけど全然悪い気はしない。むしろ、二人の優しさがとても嬉しくて、心地よくて、心が暖かくなるばかりだった。



 ……そして、それが10年前の話。

 アロイスとセルカークの出会いの全て、である。


 ………

 …


「こんな感じだ。こうやって詳しく昔話をするのは初めてかもしれんな」

「……い、色々と凄いお話でした」


 ナナは、話の終えた今なお興味深そうに話に耳を傾け続け、何とも感慨深そうに答えた。


「だから、さっきの客がセルカークってことだ。立派に成長してたようで何よりだよ」

「そうですね、そんな赤ちゃんみたいな子が立派に育って……て、あれっ? 」


 ここで、ナナは不思議な事に気づく。


「あの、セルカークさんは出会った当時は何歳だったんですか? 」

「1歳や2歳にも満たないくらいじゃないか」

「……それって10年前の話ですよね」

「そうだな」

「でも、今日のお客として来たセルカークさんは、かなり年老いてませんでしたか? 」


 セルカーク、彼の年齢はアロイスの話から推測すると12歳のはず。だけど今日の彼は、立派な顎髭を生やした紳士だった。あの姿で12歳だというのか。


「ああ、そうか。ナナ、ケットシーの寿命は何年か知らないよな」

「寿命ですか? 」

「うむ、寿命だ」


 ケットシー族。ナナは彼らと出会ったのも初めてだし、知るはずがない。

 ナナは「はい」と、頷くと、アロイスは少し寂しそうに答えた。


「あのな、ケットシー……特に猫人族は寿命は長くても30年。平均25年に満たないんだよ」


 ナナは「えっ? 」と、耳を疑った。


「そ、そんなに短いんですか? 」

「純粋な人と比べればな。だから彼らは10歳になると、人間でいう半分の寿命を越えた事に等しいんだ」

「そんなことって……」


 紳士セルカークは、既に10から12歳。人間でいえば3,40を優に超えている計算になる。


「それと、ナナが遊んでいたシャムというお嬢さんがいたろ。あれは恐らくテイルの娘だよ」

「えぇっ!!? 」

「セルカークは代々族長のお守り役だからな。シャムは族長の娘だったテイルにそっくりだったし、年齢的にも辻褄が合うだろう」


 当時のテイルが3,4歳だとしたら、10年後の今、彼女の年齢も人間でいえば40歳。娘が生まれていても整不思議ではない。それに、テイルの娘のシャムを、セルカークがお守り役で共に行動している事も一致する。


「今日のセルカークは、別れ際に、俺を『お兄ちゃん』と言ったし間違いない。もっとも、店に来てくれた時に気づけば良かったんだが、互いに顔つきも雰囲気も変わっちまったからな。セルカークが俺のバナナアイスティーを飲んで懐かしい味だって言ってくれて、彼らが羽根を取り出した事で、ようやく思い出したんだ」


 今日、貰った赤く燃える羽根を摘んでクルクルと回す。当時見た、赤く情熱的な輝きは、変わらずに幸せ色に満ちていた。


「全く。なんて嬉しい『遠い南の島からの便り』だったことか」


 アロイスは、とても穏やかな表情で、それはそれは嬉しそうに言った。


「これ以上ない、嬉しい知らせだった。セルカークも、テイルの娘も、元気に幸せそうで。きっと、決して長くない生涯を楽しむよう、世界を旅する事にしたんだろう。願わくば、あの二人の全てが幸せになるように願おうか……」


 幸せが訪れる羽根に、彼らの幸せを願って。


「どうか、幸せな思い出で一杯になれるように……」


 幸せの想いを、込めて……。


 …………

 …


「待って下さい、お嬢様! 走らないで! 」

「こっちこっち! セルカーク、早くーっ! 」


 …

 …………

 …

 …



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