その日の夜。竹はとてもいい気持ちで自分のベットの中に潜り込んだ。

 日曜日が本当に待ち遠しい。

(早く日曜日にならないかな。今から、すごくどきどきする)


 竹は天井の紐を引っ張って電気を消して、にっこりと笑顔で、部屋を真っ暗にして上機嫌で目をつぶった。


 ……それにしても、日曜日に大好きな笹野くんと二人でお出かけする約束ができて、すごくラッキーだったと思うけど、竹には一つ、大きな疑問があった。


 それは、笹野くんの話してくれた竹宮神社の伝承のお話が、最近、自分がよく見るようになった『不思議な夢』にとてもよく似ている、ことだった。

 どうしてそんな夢を自分がここ最近、見るようになったのかは理由はわからないけれど、確かにその夢の内容は、竹宮神社の伝承のお話に、本当によく似ていた。


 ……これはいったいどういうことだろう?


 もしかして私は本当に竹のお姫様の生まれ変わりなのだろうか? (そんなことはないとわかってはいるのだけど、つい、そんな空想を竹はしてしまう。空想の中で竹と恋をすることになる男の子の姿は、もちろん、笹野雀くんだった)


 竹はその不思議な夢の話を笹野くんには話さなかった。(自分が、空想が大好きな変な子だと笹野くんに思われたくなかったからだ)


 ……おやすみなさい。笹野くん。


 そんなことを心の中でつぶやきながら、竹は深い眠りについた。

 とても安心できる、とても、深い、深い眠りの中に……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る