第2話

余程よほど、苦しかったんだね。

お祖父ちゃん…………可哀想にね…………」




涙ぐみながらも毅然きぜんとした態度を貫こうとする母と…………


祖母の嗚咽おえつが病室にこだまする。




祖父の呼吸器が何らかの理由で外れてしまったらしく…………


必死に酸素を取り込もうと苦しみ、開かれた祖父の口は……………


木乃伊みいらのように干涸ひからびていた。






「アレは、叫んでる絵じゃないよ」



自然を貫く叫びに、耳をふさいでいる絵なのだと………

昔、姉から教わった。



祖父の、表情かおを見下ろしながら、

私は、ふと疑問に思う。



これは、本当に『叫んで』いるのだろうか―――――――?


身動きの取れない祖父の呼吸器は、どうして外れてしまった…………?

そして、何故、看護士達は誰もその事に気付かなかったのだろう…………?





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