第252話 ジョマは本当に変わったと思う。いや、これが本来の姿なのかもしれない。
「千歳、大丈夫?」
「うん、ごめんねお母さん」
心配そうに見ているノレルお母さんにも「ありがとう」と言って、不貞腐れている金色お父さんにも「後でルルお母さんに聞いて。意見が欲しいかも」と言うと「わかった。まったく俺の方がツネツギより頼りになるのに」と言ってくれたので「そうだったかも」と言って2人で笑った。
「大丈夫か千歳?」
「うん。ありがとうツネノリ」
「お父さんにこの前の事を話したんだ」
「そうか、父さん喜んでいただろ?」
「うん」
「良かったな」
ひとしきり話すのを待っていたんだと思う。
東さんとジョマが皆の前で話し始める。
「今日はみんなお疲れ様。僕はこの約20日はあまり役に立てていなかったのだけど、無事に解決してくれて良かったと思っている。そしてこれからは頑張って神として世界を良くしていくからよろしく頼みたい」
「えっと、散々暴れたり、昔は私の使いが世界を滅茶苦茶にしてしまった事、本当にごめんなさい」
そう言ってジョマが謝るとみんなが「事情は聞いたから仕方ない」とジョマを許してくれた。
遺恨からジョマを悪く言う人は居なかった。
それだからかジョマは感極まって涙を流して「ごめんなさい」「ありがとう」と言った。
ジョマは本当に変わったと思う。いや、これが本来の姿なのかもしれない。
初日のあの怖い感じが今は残っていない。
「ジョマ、落ち着いたかい?無理そうなら僕から話すよ」
「ううん、私がやるわ」
ジョマがそう言って私達を見る。
「最終戦の時に、千歳様とツネジロウ様、ツネツギ様、ルル様、ツネノリ様とそれぞれに勝負を持ちかけたの。
それは最終戦での優遇がメインだったんだけど、実はご褒美も用意していたの。
それの説明とかをさせて欲しくて今話ています」
ジョマは最初に腕輪を2個取り出した。
「これは王様の「瞬きの靴」を転用した「瞬きの腕輪」、効果は一緒で問題点の魂の消費は無くしているの。でも使えても1日に1回だけにしています。これをツネノリ様とメリシア様にあげるわ」
「俺?」
「私もですか?」
「はい。最終戦で私と勝負して一人で戦っていたでしょ?あれのご褒美です。これがあればあなた達は会いたい時に会えるわよね」
「ジョマ、ありがとう!」
「ジョマ様」
ツネノリとメリシアさんが手を取ってニコニコと喜ぶ。
「喜んでくれて嬉しいわ」
そう言ってジョマもニコニコと嬉しそうにしている。
「じゃあ、俺にも何かあるのか?」
そう言ったのは金色お父さんだった。
「ツネジロウ様には今の時間よ」
「何?」
「生身でツネツギ様を来られるようにしたから千明様と会えたでしょ?今後もたまになら千歳様さえ千明様を生身でゼロガーデンに連れてきてくれれば千明様に会えますよ」
「それはありがたい。ありがとうジョマ!」
金色お父さんは本当に嬉しそうで良かった。
ツネジロウと呼ばれていても、お父さんのガーデンの身体でも金色お父さんは金色お父さんなのだ。
「それでは私は今のこの状況だな」
「はい、ルル様にはこの四分割を用意しました」
「おかげで大変貴重な時間を過ごせた。ありがとうジョマ」
「私もジョマのお陰で長い時間千歳と一緒に居られた。ありがとう」
「本当、私はいつも皆を独り占めするけど今日はとても楽しかったよ。ありがとう」
「私もいつも出られて30分だったのにこんなに長い時間皆と居られて嬉しかったよぉ。ありがとうねぇ」
「じゃあ、俺の優遇とか褒美って何だったんだ?」
「ツネツギ様の優遇は本当に戦いに関するモノでした。ツネツギ様がやり切れたのでゼロガーデンの壁を薄く低くしました。
これのお陰で王様たちは千歳様の援護に来られましたよね」
「ああ、そういう事か。それは助かったな」
お父さんは納得が行った顔をして満足そうにしている。
「そして、これからはゼロガーデンの人達もセカンドガーデンに遊びに行けますよ。ツネツギ様のお陰です」
「ジョマ、凄いご褒美だな。ルル達が喜ぶ」
「ああ、とてもありがたい。ツネツギ。今度はセカンドガーデンで甘いものを食べ歩くぞ!!」
「マジかよ…」
その声で皆が笑う。
「そして私はあれだよね。佐藤達の援軍とアーティファクト・キャンセラーをクロウに取り込ませた事とか、戦いでの優遇がメイン」
「はい」
「はい!はい!はい!はーい!!」
マリオンさんが手を挙げている。
カリンさんとマリカさんは下を向いて恥ずかしそうにしているし、カムカさんはマリオンって呼んで止めようとしている。
ペックお爺さんは呆れた顔だけしている。
あ、ドフお爺さんは「あちゃー」って顔している。
「マリオン様?」
「私も頑張ったんだよ!メリシアが強くなったのも、あの悪魔と沢山戦ったよ。何かご褒美が欲しい!」
「お母さん…」
「厚かましいよ…」
「うふふ、きっとマリオン様はそう言うと思って、実は東の許可も取って用意しました」
「え?何?どんなの?凄い?」
「ええ、神殿の屋上にアーティファクトを設置しました。名前は「異界の門」です」
「「異界の門」?魔物とか出てくるの?」
「それは「地獄の門」ですよね。ご褒美でそれはしませんよ」
マリオンさんは「だよねー」と言って笑う。
「「異界の門」は門を開ける時にファーストガーデンかセカンドガーデンを指定して開けてください。そうしたら遊びに行けますよ」
それは皆が大喜びしていた。
「ですが、何も知らない人が使えないように級はA級にしました。後は神殿なので来る場合には王様に頼む事になると思うので実質サウスのアーティファクトになると思います」
「まあ、それは仕方ないよね」と皆が受け入れてくれた。
「時間制限があってこちらの時間で24時間。向こうで言う3日で強制的に神殿に引き戻されます。帰りたい時はスタッフカウンターでゼロガーデンを指定してください」
「やった!嬉しい!家族で出かけられるねカムカ!」
「ああ、向こうの強い魔物とも戦ってみたいしな」
「…え、遊びに行くんだよね?」
「修行は嫌だよ?」
その言葉で皆が笑う。
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