第233話 だから私は東さんも救う。

東さんが頼んだ事。

それは多分お父さんも知恵を回しただろう。

まったく愚かな選択。


「大まかに言えばジョマから創造の力を奪って世界に介入させなくする事」

「大体想像通りね」


「ダメ男の意見だよね」

「ええ」


「千歳…」


私は東さんをスルーする。


「でもね。私は地球の神様と話して、私の案を採用してもらったの」

「千歳様の案…」

「そうだ。僕はそれを聞いていない」


「ジョマ、ジョマの身元は東さん預りにします。最終的な責任は地球の神様が取ってくれる事になっているから」

「え?」

「千歳?」


「地球で東京太郎のパートナーとして過ごしてもらうよ。偽装恋愛でも本気の付き合いしてもいいよ。なんなら結婚して東道子になってもいいよ」

「待って千歳様」

「千歳、何を言うんだ?」


「そしてサードガーデンを成功させて」

「え?」

「サード?」


「そうだよ。東さんの管理の下でのみ力を奮って。

ジョマは創造神ではなくて装飾神として全力をサードに向けて。

でもそれは無法な力の使い方ではないよ。

キチンと匙加減、世界に合わせた、正解に合わせて全力を使うんだよ。

そして小さな成功を重ねる事でジョマの傷を癒して」


「待て千歳。僕はなんでジョマと行動を共にする必要があるんだ?」

「私は言ったよ。東さんも救うって。

ジョマと行動を共にする。

それが東さんを救うの。」


「何を言っている千歳?」

「ほら、東さんの本質が出てきた。

話し方がいつもと違う」


「…」

「ジョマ、東さんの傷と東さんの問題点はわかる?」


「傷は聞き及んでいるわ。世界を正しく評価されてこなかった事。何をしても邪推されて悪く言われた事。面白半分で世界を破壊された事。

問題点は邪神達に囲まれたことによる自己評価の低さよ。

本気を出したらそこら辺の神より凄いのよ東は」


「僕を買い被りすぎだ。僕にはそんな…」

「そうだよ。それが東さんの問題点。周りのくだらない邪神に乱されて正しく自己評価が出来なくなって居る事。

だから私は東さんも救う」


「千歳…」

「千歳様…」


「ジョマ、お願い。力を貸して?東さんを守って?ジョマは凄い神様だから出来るよね?」

私は真剣にジョマの目を見て頼み込む。

ジョマは何回か困ったような顔をして目を逸らしたりしていたがやがて真っ直ぐに私を見る。


「…ふふ。もう。本当敵わないわ。

私は自分の事も、問題点もその先も全部教えて貰ったし、何より負けたんですもの。

全部従うわよ」


「ありがとうジョマ」

よし、これで何とかなる。

次は実はジョマ以上に問題だ。


「東さん。私はこれから厳しい事を言うの。

でも地球の神様に協力はお願いしてあるから安心して。

ジョマも居るし私達も居る。

東さんは1人じゃない。

皆で東さんを守るし傷を癒すから聞いてね」

「千歳?」


「東さん、ガーデンを全てサーバーの外、神様の世界に置いて」

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