伊加利 千歳の章⑬千歳流完全解決。

第232話 ジョマが何の神様かを言いたいんだけど良いかな?

神の世界に着いた。

というか目を閉じて開いたら見覚えのある場所だった。

神様には時間も距離も関係なくなるのかもしれない。


地球の神様が話しかけてくる。

「千歳、どうしたい?」

「まずはジョマを起こして話がしたいです」


「この女神が力を使い切って眠るなんて初めての事だが、もう目覚めるだろう」


地球の神様の言う通り、ジョマはすぐに目覚めた。


「おはようジョマ」

「千歳様…、私は負けたのね?」

すぐに状況を理解するジョマ。


「うん。気分はどう?」

「ふふ、全力を出せて最高の気分です。

幸せ感じてしまっています」


「良かった。

ジョマが何の神様かを言いたいんだけど良いかな?」


「千歳、僕は席を外した方が良くないかい?」

「ダメだよ。東さんはここに居るの。

私は地球の神様との話し合いで、今回の事は私が決めて良いって話になっているし、ジョマとの勝負にも勝てたんだからここに居て」


「だが…」

「いいわ東。居て」

東さんが困った声を出したがジョマがそれを止める。


そしてキチンと起きたジョマと4人で席に座って話を始める。


「ジョマ、ジョマが何の神様か言うよ。いい?」

「ええ、言って」


「ジョマはね、装飾の神。アレンジの神と言えば伝わるかな?手を加える神様なんだよ」


「装飾の…」

「うん。だからいろんな世界に手を出して輝かせようとアレコレ企画をしたんだよ。

それは東さんが創造の力を捨てられなかった事と同じ本能の話」


「創造の力は?」

「それは装飾に必要だから身に付いているんだよ。東さんの世界を輝かせる為には創造の力が必要でしょ?」


「…」

ジョマは黙ってしまった。

色々考えているのだろう。

過去の事を思い返しているのかも知れない。


「装飾の神か…、そう言われるとしっくりくるものがあるわね」


「続けるよ。いい?」

「ええ」


「ジョマは装飾の神様としては未熟なの。

センスもまだまだ磨かなきゃダメ」

「…」


「コーヒー牛乳の話って言えばわかるよね?

それ以外にも前にここで会った時にも色々話したりしてジョマの問題点は見てきたよ」

「ええ、わかるわ」


「だからね。ジョマは他の世界を壊してしまったし、世界が壊れる事でジョマ自身が傷ついてしまったの」


「ジョマが傷付く?」

「そうだよ東さん。

前にも少し話したけど、ジョマは世界を壊したいんじゃない。輝かせたいの。それの為に力を尽くしても世界が耐えきれずに壊れてしまう。

その度に傷ついていたの。

だからジョマは地球に傷を癒しに来たの。

そして東さんは間違いを犯している」


「僕が?何をだい?」

「約20年前、お父さんにジョマのことを話したよね?

その時、お父さんは勘違いをした。

ジョマがゼロガーデンに魔界…ジョマの世界、パラダイスを作ったり豹変をした風に思えた事を東さんの能力を見てジョマには敵わないものだから悔しくて変わったと思っていたし、東さんもお父さんの考えを読んでそうかも知れないと思ったんでしょ?

それが間違い」


「だとしたら何で彼女は?」

「まだわからない?

ジョマは東さんに期待したんだよ。

東さんの力を見て、才能の素晴らしさ。

傷ついていてもあれだけ綺麗な世界を作れる東さんならジョマの装飾を受け止められる。

全力で企画をしても壊れない世界。

今度こそ輝かせられると期待したんだよ。

それなのに危険なアーティファクトも魔界もどの案も否定されたから6人の使いをガーデンに放ったの」


東さんは酷く驚いた顔をする。


「でも東さんだけが悪い訳ではない。

ジョマにも問題があるの。

自身が装飾の神様と言う自覚が無いこと。

まだセンスが養われていないこと。

相手に合わせた可能性の模索が出来ないこと」


「ふふ、辛辣ね千歳様」

「うん。必要な事だから」


そして私はジョマの本質に触れた時の話をする。


「ケーキに塩辛…」

「ケーキに唐揚げ」


「そう、そして高級ケーキ。

それらは全て理由があるし理由を知った私は否定しない。

匙加減でとても美味しくも感じたし楽しかった。

私は良い意味で一生忘れない」


「千歳…」

「千歳様」


「ジョマ、東さんが地球の神様に願った話をしてもいい?」

「ええ。大体想像はつくわ」

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