キヨロス、マリオンの章○勝利の手助け。
第224話 え?何をするか聞かないの?
今僕の目の前で巨大な悪魔が身悶えしている。
勝負が始まってまだ5分くらいしか経っていないがもう10体くらい行動不能にして再生されている。
「ジョマ、僕達の上にもあの映像を出してよ」
そう言うとジョマは律儀に僕に見えやすい位置に映像を出してくれる。
マリオンは楽しそうに動き回りながら悪魔を攻撃しているが、僕ほど余裕はないのであまり長丁場になるなら考えなければいけない。
チトセ達の方はメリシアがマリオンの動きを真似て中々の成果が出せている。
チトセも僕とマリオンの動きを見ながら完全解決の筋道を探している。
だがツネノリの奴がだらしない。
この完全解決に必要なのは僕とマリオンとツネノリ、メリシアが圧倒的な攻撃力で悪魔を痛めつける事にある。
そしてチトセがトドメを刺す。
それなのに今のツネノリはダメすぎる。
恐らく、自身の剣が届いていない事で変に考え込んでいる。
自身の剣でメリシアが悪魔を斬れている事すら見えていない感じだ。
ツネノリのそれは生まれつきの癖みたいなモノで修行中もそうなると抜け出すのが大変だった。
ジチさんが命がけでなんとかした事もあった。
「まずいな」
そう思った僕はチトセに連絡をする。
「王様?」
「ああ、ツネノリが足を引っ張っている。
今のままだと良くない。
チトセ、また嫌だろうけど手出しは我慢して、そして今のうちに僕達の戦いから勝利の筋道を見つけるんだ」
「うん、わかった。
今のツネノリは思い切りがないんだよね。
何悩んでいるんだろう?
まあまたいつもの俺が俺がなんだろうけど…」
「まあそっちはこっちからヒントを渡すよ」
「おっけー、それなら私は見学に徹するよ」
そして通信を終わらせる。
僕はその間も手を抜かない。
悪魔は再生した瞬間から細切れにしておく。
「ジョマ!」
「いいわよ」
返事はまさかの「いいわよ」だった。
「え?何をするか聞かないの?」
「聞いても押し通すでしょ?
それに悪くはしないわよね?
そう言う男って嫌じゃないわ」
そう言われたのでそのまま神様に連絡を取る。
「凄いね、ジョマまで諦めさせたね」
「なんなんですかね?まあいいって言ってくれたので、神殿で使う次元球の負担を取り除いてください」
「わかった。やっておくよ」
「ありがとうございます」
そう言って僕は神殿に繋ぐ。
「ジチさん?」
「はい。お姉さんだよ」
「ツネノリだらしないよね。修行の時みたいになっている」
「あ、思った?ツネノリはあの時の顔をしているよね?」
「うん、だからさ…、ジチさんから檄を飛ばしてあげてよ。多分チトセは僕の励ましが効くんだけどツネノリはジチさんの方がいいと思うんだよね。
次元球の負担は取って貰ってあるからさ、よろしくね」
「はい。任せておいてね」
そして次元球で次の仕事を始めておく。
僕は悪魔を斬り刻みながら一つの事が気になっていた。
まあジョマは許してくれたんだし凄い神様なんだから何とかしてくれるだろう。
時間にしたら開始10分と言ったところだ。
僕の方はなんの問題もない。
チトセの完全解決が無ければ1人で三体とも倒したいくらいだ。
マリオンはまだ動けているがそう長くはない。
マリオン自身もさっきの悪魔となら1時間でも問題無いだろうが、今戦っている悪魔はそうもいかない。
動きに遊びがないのだ。
的確にこちらを狙ってくる。
あの閃光にしてももう光の剣で1度切り裂いている。
チトセが気付くか心配だったがその前にツネノリだな…。
そして僕はそこまでの橋渡しをしよう。
「【アーティファクト】」
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