第221話 二つ名が「博愛の太陽」とかになりそうで怖い。

王様とジョマのやりとりが続いている。

多分だが、ジョマの見込みよりも王様は強かったのだ。

本当になんなのだあの戦闘力は?

私達が必死になっても傷つけられなかったクロウに対して腕を一瞬で等間隔の輪切りにしていたし、マリオンさんもメリシアさんと同じ赤い剣なのにクロウを滅多斬りにして首を半分にしていた。



「アハハハ、違うわよ千歳様!」

「ジョマ?」


「一瞬時間をとめて話をしているのよ」

「うん、この感じはそうだね」


「呼んでくれてありがとうジョマ」

「いいのよ。よく来てくれたわね」

ジョマの声に振り向くとそこにはまさかの人が居た。


「王様!?」

「あんまりにもチトセ達がだらしないからジョマと話し合ってさ、チトセに大サービスでヒントをあげようと思ってね」


「ヒント?」

「そうよ。ヒントに気づかなければ千歳様達の負け。

気づければ勝ちよ」


「うーん…、チトセは案外抜けているから気づけるかなぁ」

「王様?なんか今日はずっとムカつくんですけど?」


「そう?チトセの心の問題じゃない?」

「ぐぎぎぎぎ…」

王様はしれっと言い返してきてそれがまたムカつく。


「はいはい、それは終わったらやればいいでしょ?」

ジョマがヤレヤレと止めてくる。


「じゃあ、ヒントだよチトセ」


「一つ、千歳様が優遇されている事」

「二つ、僕とマリオンがここにいる意味」

「三つ、この戦いの勝利条件」

「四つ、勝利条件に必要なものとチトセやツネノリ、メリシアの問題点を理解する事」


「そうね、ここら辺がわかれば千歳様達は勝てるわね」

ジョマと王様が交互に話す。


「え?いきなりそんなに言って終わり?

整理させてよ!」


「え?わかんないの?

なんかチトセってダメダメだなぁ」

心底がっかりした王様の顔がとにかくムカつく。


「私はまだ14歳なの。

王様が初めて戦ったのは15歳でしょ?」

「まあ、それもそうね。じゃあ少しだけお話ししましょう。でも答えは教えてあげないわよ」


「おっけー

じゃあ一つ目の私の優遇は佐藤達だよね?」

「そうね」


「二つ目は王様とマリオンさんが呼ばれた意味…?暴れたくて?」

「アハハハ、半分当たりだけど完全解決の目線からしたらハズレよ千歳様」


「はぁ…、わざわざチトセ達のために出向いても分かってもらえないのはガッカリだな」

「ムカっ!ちゃんと考えますー!」


「まあ、今のチトセにはわからないよ。

それこそ通常時間に戻ったら僕とマリオンから目を離さない事だ」

「わかった」


「三つ目は勝利条件よね。

千歳様?どうしたら勝ちかはわかっているかしら?」

「うん、山田を倒して終わりだよね」

「そうね」


「じゃあそれに対しての君たちの問題点だ」

「え?それは超回復に攻撃が追いついていない事。

王様やマリオンさんみたいな強さ、戦闘力が足りていない事」

「なんだわかっているじゃないか…」

「ふふ、だって千歳様は私の太陽ですもの。これくらいじゃ曇らないわ」


「じゃあジョマ、元に戻して。チトセ、ちゃんとよく見て考えるんだ。わかったね」

「はいはい。頑張ってね千歳様~」


ジョマって私を太陽なんて呼んでいるの?

二つ名が「博愛の太陽」とかになりそうで怖い。


これはツネノリやお父さんには知られてなるものか。



そんな事を思ったらさっきの続きに戻ってきた。


ジョマが王様達にどうしたいのかと聞いている。


「要求の通りだよ。僕は1人でその魔物と戦う」

「私だってコイツ抜きで魔物と戦いたい」


「ふむふむ、乱入者さん達はとりあえず強い魔物と戦いたくてここに来たと、それでなんとかしろと」

「そうなるかな?

でもさぁ、この魔物はそんなに強くないね。

もう少し歯応えがあるのを出してくれないかな?」


え?何言ってんの?

バカじゃないの?


「いきなり現れた乱入者はなんとチャレンジャークロウを弱いと言い出した!」

「ふ…ざ…けるなよ!!!乱入者!!」


まあ、煽られたらクロウはそうなる。

怒り出して王様に向けて「閃光!」と叫んであの閃光を放つ。


「ふぅ…、ムラサキさんだと圧倒的だから試すかな?【アーティファクト】」

そう言うと王様は光の剣を12本出して綺麗に並べて防御姿勢を取る。


「あれで防げるのか?俺はダメだったぞ?」

「ツネノリ落ち着いて、今は完全解決の為に傍観だからね」


最初の4本は吹き飛ばされたが次に控えた4本で完全に防ぎ切る。

「へぇ、4本がやられるなんて思ってなかったよ。やるじゃないか」


「まだだ、舐めるな乱入者!!」

クロウは力を込めたのだろう。

光は太く力強くなって王様を襲うが王様には届かない。



「マリオン、この威力だとマリオンの盾にはキツイよね?」

「まあね、メリシアみたいに雷の力も無いしね」

王様はクロウを無視して横を見てマリオンさんに話しかける。


「じゃあどうする?戦うのやめておく?それとも出来ないって言ってくれたらムラサキさんに頼んでマリオンの周りに防御壁を張るけど?」

「はぁ?バカにしないでよね非常識男。

見てなさいよ!」


そう言ったマリオンさんは赤い剣を出して前に行くとクロウの出した閃光の下に潜り込んで閃光を斬り裂いてしまった。

切れた閃光はマリオンさんの光の剣を起点に分かれて飛んでいく。


「何!?」

「マリオンさん、あの光を切った…」

ツネノリとメリシアさんは信じられないものを見たと驚いている。


「…」

クロウはショックで言葉を失っていた。



「普段ならかわすし。例え直撃コースだって私ならこんなもの切り裂けますー」

「へぇ、やっぱりマリオンは凄いね。

じゃあフォローはいらないね。存分に暴れよう。


どうだ!これが僕達の力だ!」

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