第121話 その後の事は起きてから決めよう。

「全く、無茶をさせおって」

私は言うのは怖いが言わないわけにはいかないのでキヨロスに食ってかかる。


「でもメリシアはやり切れた。褒めてあげようよ」

キヨロスはシレッとそう言いながら怪我の回復と疲労回復のアーティファクトを同時持ちしてメリシアを癒す。


「マリオン、鎧を脱がせてあげてよ。

ガミガミ爺さん、鎧のメンテナンスと調整もしてあげてね」


2人はやれやれと言いながらメリシアの介抱をする。




「う…、ここは…?」

しばらくして気がついたメリシアが状況把握をし切れておらずにいる。


「ここはゼロガーデンの神殿だ。お疲れ様メリシア」

「お母様…、あの…ツネノリ様はどうなりましたか?」


ここでも先にツネノリが出てくるとは…母としては有り難いやら今くらいは自身を案じて欲しいやら複雑な気持ちになる。


「メリシアの援護のおかげでギガンスッポンの足止めも、ツネノリが千歳の援護に向かう事のどちらも成功だ」

「良かった…」


「凄かったよメリシア!!」

「マリオンさん…」


「キチンと身体も使えていたからちゃんとギガンスッポンを斬れていたよ!」

「確かにな、それに肩の雷も大分役立ったみたいだな。切れ味強化に特大アーティファクト砲。良くやってくれたぜ!まあ鎧の方はガタガタだから今度はそこら辺気をつければ完璧だな。

まあ、寝ている間に鎧は直しておくから安心しな!」


「ドフお爺さん。よろしくお願いします」


「メリシア」

「キヨロスさん、送り迎えありがとうございました。それと今の治療もありがとうございます」


「ううん、立派だったよ。

後は身体を慣らして倒れないようにして行けば良いんじゃないかな?

見事にツネノリの赤メノウになれていたと思うよ」

「ありがとうございます」


「さあ、まだ身体が辛かろう?このままキヨロスには延々回復を頼むから安心して眠れ。

その後の事は起きてから決めよう」

「はい」


そう言ってすぐメリシアは眠りにつく。

「余程疲れたんだね」

「マリオンが疲れさせたんでしょ?」

「アンタだって3分って言ったのに5分近く戦わせて、しかも最後は身体が動いたらギガントダイルの始末もさせようとしたでしょ?」


全く…、どちらも反省が足りない。


私は神様の方を見て「どうですか?」と聞く。


「うん、成功だね」

「それでは?」


「ああ、これからボウヌイの人達を蘇生させる用意を頼むよ。

ただメリシアが居るから2日くらいは通常の時間の中で頼むよ。

これ以上は彼女を0と1の間に連れて行きたくないんだ」


「わかりました」そう言って私はペック殿のところに行く。


「ひとまずメリシアは成功になったのでこの先を進めて良くなりました」

「あ、そうなんだ。じゃあさ神様が魂を連れてくるのを少し待ってもらってもいい?」


「何故?」

「今から少しの間に素体だけ多めに作って、男性は基本的にリークに、女性はカリンとマリカに任せようかと思ってさ。

僕はなるべく素体が無くならないように作り続けるのと遅れた所にフォロー入るようにするつもりなんだよね」


「そう言う事なら、ではメリシアが居る間は素体作りでメリシアがセカンドに帰ったら本格的に蘇生作業でどうかの?」

「うん、そうしよう」


私はマリオン達にも今後の予定を伝える。

「わかった。

ねぇ、ルル?」


「なんだ?」


「生き返った人達って裸でセカンドに返すの?」


「………」

「ルル?」


「聞いていなかった…。神様!」


「うん、聞いていたよ。建物はイベント後にボウヌイを復興すれば良いかなと思っていたんだけど、着るものかぁ…、セカンドの服を買ってきても良いのだけど…」


「だとしても裸で帰せないだろ?」

「困ったねぇ!ツネジロウはもう思う?」


「どうって…、それまでに何日ある?」

「何故だい?」


「千明か千歳に北海に聞いてもらおうぜ?」

「魔女にか?」

私は驚いてしまう。


「最低限の衣服を用意してボウヌイに返していいのか、一から仕立てないとダメなのか、金にモノを言わせてセカンド中の洋服屋で買って良いのか聞いた方がいいと思う。所で住む場所は?」


「トセトに仮設住宅を作るよ」

「何であんな何もない所に…」


「だからだよツネジロウ」

「それが一番ですな」


「ルル?」

「仮に住み心地の良い所に作ったらボウヌイに帰りたくなくなろう?」


「ああ、確かに…」

そんな事を話していると神様は

「ツネジロウ、サードの件で僕は少しここを離れる。

同時進行が厳しくなるから。

後はよろしく頼むよ」

と言って消えてしまった。


「ツネジロウ?」

「ああ、話し合いの目処が立ったんだろ?

そこは東にしかできない。

俺達は俺達の仕事をやるだけだ」

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