マリオンの章○全てを楽しむ心。
第116話 ルル!ルル!!一大事だよ!!!
私はメリシアの鎧が出来るまでメリシアと準備運動をする事にした。
「私の服で悪いんだけど着てみてよ」
「はい。
…
……
あの、マリオンさん…」
「何?」
「胸はブカブカ、腰はキツキツで…」
「んー、さっきの服よりはマシだから我慢してよ」
とは言え、服は何とかしてあげないと可哀想だ。
「神様ー、お願い聞いてほしいなー」
「いいよ、この前の「大地の恵み」と併せて前払いにしようか?」
「やった!カリン!マリカ!来て」
「はーい」
「お母さん何?」
「神様から我が家に授かり物です。感謝してください」
「これって…」
「裁縫箱?」
「そう、これは「愛の裁縫箱」、C級のアーティファクトだよ。
これを使えば裁縫上手になるよ」
そう神様が子供達に説明をしてくれる。
「2人とも裁縫出来たよね?
これ使ってメリシアの服を作ってあげてよ」
「はーい」
「じゃあ採寸するね」
そう言うと2人はサッサと採寸を始める。
「おいおいおい、待ってくれ。俺も鎧作るから採寸させてくれよ」
そういってドフお爺ちゃんも来る。
「おいペック、今は暇だろ?手伝えよ」
「んー、いいよ。あ!じゃあリークも鎧作り手伝いなよ。ドフの仕事を教えてもらって仕事の幅を広げなさい!」
あらら、リークが捕まったよ。
お爺ちゃん達も仕事の鬼だから楽しみだね。
「リーク?いい機会だから結果を残せるように頑張りなよ」
アイツがリークの背後から恐ろしい事を言う。
「小僧、初めての奴にそんなに任せられるかよ、やるって言っても手伝いだよ手伝い」
それを聞いてホッとするリーク。
バカな子、アイツの前でそんな顔しちゃダメなのに…
「じゃあ、これが終わったら、お城にも納品してもらおうかな?
ガミガミ爺さん、仕事頼んでいいよね?二個作ってね。
一個はリークに作らせてあげてよね。
僕の子供達に着させるんだ」
「おう、構わねえぜ?」
リークは首をブンブン振り回している。
「よし、リーク…今ここで本気になって仕事を覚えなよ」
「は…はいぃぃ」
「リーク…、頑張れ!」
「叔母さん、助けてよぉ!」
「またそんな事言っていると怒られるよ?」
「えぇぇぇっ?」
「リーク?助け?なにそれ?君はまだ若いんだから勝手に限界なんて決めちゃダメだよ」
ご愁傷様。
私はリークを置いてメリシアの元に行く。
メリシアの採寸はあらかた終わっていたのでトレーニングを始める事にする。
「まずは私の後をついてきて」そう言って私は軽く神殿内を走って飛んだり跳ねたりする。
「はい!」と返事は良かったがやはり力の使い方がわかっていないので空回りして転ぶか、私の経験に身体が追いついていなくてモタつくかだった。
「まあ、初めはこんなもんよね」
「はい、すみません」
「いいよ。想定内だから。あれ?左の肘擦り剥いちゃったね。結構血が出てるよ。
ルルかアイツに言って治して貰わなきゃ」
転んだメリシアは肘を擦りむいていた。
「あ、本当ですね」
「え?メリシア痛み無いの?」
「いえ、転んだ痛みは分かるし痛いんですけど、転び過ぎて気が付きませんでした」
「ならいいけど嘘はダメだよ?とりあえず傷を治さなきゃ、行こう」
「あ、回復のアーティファクトなら前にツネノリ様から頂きました。自分でやれます。
【アーティファクト】」
そう言うとメリシアは右手を左肘に当てて傷を治してしまう。
…?
あれ?
何処に回復のアーティファクトがあるの?
…
……
「うっわぁぁぁっ!!」
慌てた私はメリシアを抱き抱えてルルの元に駆け寄る。
「ルル!ルル!!一大事だよ!!!」
「なんだ?どうした?」
「め…メリ…メリシアが…怪我…」
「何を言っておる?怪我なんか無いではないか?」
「違うの!回復のアーティファクトを装備してないのに怪我を治したんだよ!!」
「そうかそうか、怪我を…、ん?怪我を?」
「治したの!何処にもアーティファクトが無いのに!」
「何!?そんな事が?」
「本当だよ!ねぇ!メリシア!!」
「はい、そう言えばツネノリ様に頂いた指輪が無いのにあるつもりで力を使ってました」
「本当なのだな…むぅ…」
悩むルルに私は論より証拠と慣れない鎧作りでヘトヘトのリークを呼び付けて指に出来た細かな傷をメリシアに治してもらう。
「本当だ…、治っている」
「ルル…」
「神様、これは一体…」
「多分、死者の間に迎えに行ったルルが言っていたよね?指輪が付いていて探しやすかったと」
「はい」
「この状態での蘇生は初めてだから想定外だったが、魂に付いていたアーティファクトがそのまま生き返った身体に影響を与えているんだろうね」
「何とまぁ…」
「気になるのは複数持ちかな、メリシア、君には元々雷のアーティファクトの素質がある。
もし回復のアーティファクトが阻害するなら持てないはずだ。
これを装備して」
そう言って神様がメリシアに雷の指輪を渡す。
「もし使おうとして痛みが走ったら投げ捨てて構わないからね」
「はい【アーティファクト】!」
メリシアの手には雷が出てバチバチ言っている。
「出来ました!」
「神様…」
「うん、やはり複数持ちにはならないね」
「あの…、これはどうしたら?」
「おお、そうだな。ツネジロウ!」
「何だよルル?」
「盾を張れ、メリシアの攻撃を受け止めよ」
「俺かよ!」
「文句を言うな」
「くそー、マリオンだってキヨロスだって居るだろ?」と言いながらツネジロウは盾を張ってメリシアはそこに雷を打ち込む。
見ていて思ったのは、メリシアはなかなか遠慮がない。
まあ、優しすぎる子よりは戦闘向きだ。
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