ルル、メリシアの章〇赤メノウ。
第114話 戦闘用みたいな蘇らせ方をして申し訳ない。
「ノレノレ!止めるんだ!」
神様の声で私は「創世の光」を停止した。
「千歳は?」
「無事だ、だが大砲が割れて「創世の光」は漏れ出した。
だから停止させた。
ノレノレ、すぐにルルに戻って次弾の準備だ」
私は「はい」と言ってルルに戻る。
「くそっ。やはり準備と経験が足りなかった…」
だが、私はそんなことより千歳が心配で堪らない。
「千歳!千歳!!聞こえるか?無事か!!?」
「…ルルお母さん?」
「無事か…良かった」
「ごめんお母さん…、私が弱くて大砲が…、ギガンスッポンも甲羅を焼いたくらいで倒せてなくて…まだ元気なんだよ…」
千歳は悔しさからか泣いている。
「泣くな!今から次を用意する。私は一度ノレノレになると次になれるのに最長で30分…、セカンドガーデンでは90分かかる。
それまでに身体を休めておけ!」
「90分?それからまた30分?間に合わないよ!」
くそっ、時間か…
「ルル?僕が手を出す。
あのデカイのだろ?
ここからでもあっという間に切り刻んでやる!」
キヨロスが苛立ったのだろう。とても怖い顔になった。
「待ってくれ!ここで千歳をくじけたままにしたくない!俺の娘なら乗り越えられる!」
ツネジロウが口を開いてキヨロスを止める。
「ツネジロウ…」
「お父さん…」
「じゃあ、ギリギリまでは我慢するよ。ルル?さっきの灰色の30分は「究極の腕輪」でもダメなのかな?」
「ノレノレか…恐らく無理だ…、あれはそう言う類のものではない」
「そう…、くそっ」
「ほーら、怒らないの。キヨロスくんはギリギリに手を出しても間に合うんだから、少しは子供達を信じてあげようよ」
「ジチさん…、でも悔しいんだ。
チトセが困っているのに何も出来ないのが…」
「千歳、少し休め。また通信をする。できたらそれまでに何か強い大砲をイメージしておいてくれ」
「うん、ごめんね」
私は通信を切り替える。
「ツネノリ!」
「何母さん?」
そして私は千歳が失敗した事、再度攻撃をする為に足止めが必要な事を告げる。
「わかった!キリがいい所で千歳の元に行く!」
「済まない、頼んだ」
ツネノリは手配した。後は何かないか…、圧倒的な攻撃力。だがあの女が邪魔をしないあの女好みの一手…
!!?
「マリオン!」
「何?」
「メリシアの具合はどうだ?」
「んー?慣らしは順調だけど今は疲れて寝ているよ」
「キヨロス!メリシアを治療してくれ!」
「ルル?」
「ギガンスッポンの足止めにメリシアを使う。丁度確認も必要だし、なによりセカンドの人間が危機に立ち上がるのならばあの女も文句は言うまい?」
「そう言う事なら僕は今から治療するよ」
「マリオン!師匠としてメリシアはどうだ?」
「まあ大体は想像通りかな。普段の私を10とするなら今は6、将来はわからないけど今は完全に馴染めば8くらいまで力を出せると思うよ」
よし、それなら望みはある。
「ガミガミ殿!!」
「んだよ、ルルまで俺の事をガミガミって呼ぶのかよ」
「いきなり連れてこられてお疲れのところ申し訳ない。鎧の最終調整を頼む!!」
「了解だ、さっさと終わらせてやる。ペック!メリシアに付けた新装備は本番も行けるだろうな?」
「ああ、問題ないよ。それにしてもドフは良い装備を考え付いたねぇ」
「あったりめぇよ、俺は年をとってもプロだぜ?」
「ガミガミ爺さん!!」
「どうした小僧!」
「メリシアの回復があまりいい感じじゃない、疲れすぎてる。その鎧、能力全開で行くと何分動けるかな?」
「んあ?本当かよ…、おいマリオン!」
「えぇー、だって急に実戦だなんて思っていなかったんだもん。折角の修行だからガッツリ仕込んじゃったよ」
「マリオンの見立てで何分だ?」
「鎧って私の鎧とアーティファクトは人工も疑似も全く一緒なんだよね?」
「ああ、肩に擬似の新装備が一個付いたけどな」
「ああ、あれ?んー、あれ使うなら3分が限界じゃないかな?」
「だとよ小僧」
「わかった。ルル!」
「どうした?」
「誰が送り迎えするの?」
「ん…、しまった。神様?」
「僕が手を出せば彼女は黙っていないと思うよ。キヨロス…できるかい?」
「やっていいの?じゃあ僕がやる。メリシアは送り付けてすぐに全開で動いてもらう。そして3分経ったり本人が戦闘不能になったら僕が強制で呼び戻す」
「その後は回復もしてやってくれないか?」
「勿論するよ。無理させたら可哀想だよ」
どの口で言うんだろうとつい思ったが口にはしない。考えたら負けなのだ。
「本当、日増しに非常識になっていくね、ついに次元移動だよ…、そのうちアンタは不老不死に世界とか作りそうだよね」
「マリオン…ひどくない?」
「はっはっは、小僧ならやるかもな」
「流石私の旦那様よね」
「えぇ、ジチさんもガミガミ爺さんも酷いよ」
そう言ってキヨロスは眠っているメリシアの元に行く。
ガミガミ殿は鎧の最終調整。
今できる準備は全部やっている。
「皆さん…、すみませんでした。起きました」
そう言いながらメリシアが戻ってくる。
「メリシア!無理を言って済まない。調子はどうだ?」
「お母様。はい、ちょっと疲れていますが何とかなります」
「メリシア、良く聞いてね」
「はい、マリオンさん」
「アンタは準備が出来たら足止めの為に一瞬だけセカンドに行く。
そしてあのデカブツを攻撃する。足止めだよ。私の見立てで今のメリシアが全力で動けるのは3分だけなの。その3分間は全力で動いて、あの新装備を使っても見た感じ硬いから気合入れてね」
「はい」
「僕がセカンドに送るし、倒れたらその場で僕が回収をする」
「キヨロスさん…お願いします」
「メリシア、状況はかなりひっ迫している。私と千歳の攻撃が一度目は失敗してしまったのだ。二度目の為にメリシアの力が必要になる。
無論、ここに居るマリオンやキヨロスが戦えれば良いのだがおそらくあの神はそれを許さない。
今戦えて許されるのはセカンドの人間であるメリシア…お前だけだ」
「はい、私頑張ります。所でツネノリ様は?」
「ツネノリぃ?…ほれ、映像を見ろギガントダイル相手に大暴れをしておる」
「ツネノリ様…、格好いいです。今度は私もお傍で一緒に戦いますね」
「ふむ…こうしてしまって今も頼っておきながら言うのも申し訳ないのだが…戦闘用みたいな蘇らせ方をして申し訳ない…」
「いえ、お母様。私嬉しいんです」
そう話していると神が入ってくる。
「ルル、調子はどうだい?変身は可能かい?」
「あ、もうそんな時間でしたか…、はい出来そうです。ところで千歳は?」
「寝ているよ」
「えぇ?あの状況で?」
「その自由さがあの力の源かもね。千歳自身…本能的に寝て力を回復しているんだと思うよ」
なるほど…
「ルル、メリシアはもう入れる?」
「ああ、足止めは今でも助かる」
「メリシア、無理しないで、ダメだったらこの非常識男が最後には何とかするから。今日はいい意味での実戦経験ね」
「はい、ご指導ありがとうございますマリオンさん」
「ほいよ、セカンドの嬢ちゃん」
そう言ってガミガミ殿がメリシアに鎧を用意する。
マリオンが濃紺、キヨロスの妻フィルが紫、そしてメリシアは真紅。
赤を望んだのはメリシアがツネノリに渡したと言う赤メノウにちなんだからだ。
「ありがとうございます。ドフさん」
「へへ、久しぶりにいい仕事が出来た。俺も楽しかったぜ。ほら兜だ、綺麗な顔なんだ、しっかり守ってな」
「はい」
そう言って付けた兜はマリオンの物とは違っていた。
「あ、私に似せないでお姉ちゃんの兜にしてある」
「別にいいじゃねぇかよ…」
「良くないの!!」
「左肩のそれ、説明はしたよな?」
「はい」
マリオンの鎧と違うのは兜以外にはもう一つあって左肩の装飾が違っていてメリシアの鎧には大ぶりの水晶?アーティファクトが付いている。
「今は雷だ、有効活用してくれ。だが無理に全部使う必要もねぇからな」
「はい。何から何までありがとうございます。私、千歳様の助けになってきますね!!」
「うちの娘が済まない。よろしく頼む」
そう言って私はメリシアに次元球を手渡す。
「ガミガミ殿、鎧には余裕がありますかの?」
「おう、あるぜ、そこに付けるか?」
「よろしく頼みます」
「メリシア、一応通信ができるようにはしておく。無理はするな」
「はい、行ってきます!!」
「準備は良いね、行くよ!!」
キヨロスがメリシアの前に立つ。
「「瞬きの靴」行先は映像の場所…セカンドガーデン…そう。チトセの視線の先、見えた!!【アーティファクト】!!」
次の瞬間メリシアの姿は消えた。
「成功か!?」
「ああ、今映すよ」
神がそう言って映像を出す。
映像の中でメリシアの赤い鎧姿が曇り空に映えている。
「出来た」
「うわ…非常識またさらに進化」
「さすが小僧、限界知らずだな」
「キヨロスくんさっすがー。お姉さん惚れ直しちゃうよ」
「でも何で空中に出した?」
「チトセの映像を元にして送ったから距離感が微妙だったのと、一撃目は不意打ちで落下の勢いも付けたら有利かなって思って」
全く、空に出すなら空に出すと一言あってもよかろうに。
「メリシア!聞こえるか?」
「はい!」
「空中だが問題は?」
「ありません!!」
「それならそのままその首切り裂いてやれ!!」
「はい!!」
「行けぇぇっ!メリシア!!!」
「はい!!【アーティファクト】!!」
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