伊加利 常継の章③親の苦労。
第36話 日本から妨害してきやがった。
話終わった頃にはセカンドの中は朝の5時になっていた。
「東、10時に起きるが子供達は…」
「ああ、さっき処理したから8時間寝たのと同じくらいの時の流れになっているよ」
「助かる」
そして俺とツネノリは階下の一段劣る部屋に行く。
「千明、千歳をよろしく頼む。おやすみ」
「おやすみ、また明日ね」
「ええ、ツネノリくんもおやすみなさい」
「はい千明さん、おやすみなさい。
千歳、おやすみ」
「うん、ツネ…お兄さん。今日はありがとう」
「じゃあ、僕は外に帰るよ」
そう言って東も消えた。
俺達は階下に行く。
部屋に入ってツネノリに一言断る。
「済まない、少しの時間、1人にして構わないか?」
「どうしたの?」
「母さんにツネノリの無事と千歳の無事と和解をした事を伝えておきたいんだ。
多分心配で夕飯も食べていないだろう」
「え?もう朝だよ父さん」
「いや、さっきも伝えたが、ゼロとファースト、セカンドでは時の流れが違うんだ。
ゼロではまだ夜の7時にもなっていない」
そう言うとツネノリは快諾してくれる。
「母さんにさ、アーティファクト砲に助けられた事と回復のアーティファクトがありがたかったって伝えてくれないかな?」
「ああ、必ず言う。後は?」
「うーん、父さん母さんに言える?」
「何をだ?」
「父さんと母さんの愛情を見た気がしたよ。
俺は2人の子供で幸せだよ」
「…それらしい事なら言えるが、それは帰ったらお前の口から言いなさい」
「父さんはそう言うと思ったよ」
そう言ってツネノリは笑顔になってベッドに入る。
「行ってらっしゃい。おやすみなさい」
「ああ、行ってくる。おやすみ」
そして俺は瞬間移動でルルの元に行く。
「ツネツギ!!」
戻った俺にルルが飛び付いてくる。
案の定ルルは食事を摂っていなかった。
「ルル、キチンと食べなきゃダメだろ?」
「ああ…、わかって居るのだがツネノリの事が心配で何も手につかん」
「ツネノリなら大丈夫だ」
そして俺は子供達の無事と千明と東を含めた5人で話をした事、千歳が納得をした事を説明する。
「千明も居たのか?何故私を呼ばん?」
ルルは不服そうにそう言う。
「ああ…万一ルルを呼ぶことまで魔女の計画だとしたら困るからな…。ルルを呼んだ所でセカンドに閉じ込められたら話にならないからだ」
「むぅ…、それもそうか」
「後は、ツネノリはアーティファクト砲に救われたと言っていた。
俺もその場は見れていないのだが、ホルタウロスと言う牛と人間を掛け合わせた魔物と戦っていて逆転に使ったみたいだ」
その言葉に満足そうに頷くルル。
「平和になっても研究を辞めなかったルルのお陰だな。ありがとう」
「そうであろう?そうであろう?」
「ああ、後は…、その…なんだ」
「どうした?急に口籠って…」
「ツネノリが、俺達の子供で良かったと言っていた。…本当はもっと別の言葉だが、それは本人から聞いてくれ」
そう言う俺は真っ赤になっていて、言われたルルも真っ赤になっていた。
「ツネツギ、ありがとう。今までの事を全部含めてだ。ありがとう」
「ルル、俺の方こそありがとう。さっきツネノリ達に話していて、どれだけルルと千明に支えてもらっていたかが分かった気がした」
「そうか」
「ああ、そうだ」
このままここでゆっくりしたいと思ったのだが、俺はルルにセカンドに戻ると言った。
「そうか、仕方ないな、ここでの10分が向こうでの30分になるとあれば長時間も居る訳にはいくまい」
ルルはそう言うと「私も助けに行きたいが、ここを離れる訳にも…むぅ…、何か良い方法はないものか?」と言い出した。
「やる気になってくれたのはありがたいが食事はしっかり食べろよ」
「ああ」
「常継、今どこにいる?」
突然東から通信が入る。
「あ?今はルルの所でツネノリの無事を伝えた所だ。これからセカンドに戻る」
「駄目だ、一度日本に戻ってくれ」
「おい、どうした?ツネノリを一人には出来ないだろう?」
「そっちには僕が同時進行で居るから常継はこっちに戻ってくれ」
「そんなに慌てて何があったんだ?」
「魔女と社長からのお呼び出しだよ」
マジかよ…
「ツネツギ?大丈夫か?」
ルルが不安げに俺を見る。
「ああ、魔女の奴…日本から妨害してきやがった」
時計を見ると午後5時20分。まだ俺の会社では残業時間になっていない。
それに今日はイベント開始日。
そりゃあ、お呼び出しもあるだろう…
「東、ツネノリの事は任せたからな」
「ああ、千明達にも君の事は伝えた。一応3人で固まって寝てもらう事にしたよ」
「ああ、そうかい」
そして俺はルルを見る。
「ルル、ツネジロウはここに置いていく今のうちにツネジロウにも食事を頼む」
「ああ、任された」
そして俺は日本へ戻った。
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