第22話 ヒカリノケン。
20人の初心者達が寄ってたかってホルタウロスを狙う。
足ばかり狙う者もいればツネノリの指示に従って右腕を狙っている者も居る。
その姿は見ていて気持ちの良いものではない。
あまりのグロテスクさに手を止めたい者も居るようだが死ぬよりはマシなのだろう、皆必死になって攻撃をしている。
ジョマのアナウンスが耳に入る。
「先程、特別招待枠の彼が放った攻撃ですが、あれは実装検討段階の「
後でアンケートを行いますが、世界観に適していない、戦闘の邪魔になると思われた票が半数を上回りましたら実装を見送らせていただきます!
さあ、生き返った20人の動きですが、携帯端末機のユーザーは残酷表現が甘い分だけ動きが良い風に見えます!
さあ、VRユーザーの皆様も頑張ってください!!」
「魔女め…、俺のアーティファクト砲は想定外の癖にさも当然のように言い切った…」
ツネノリが憎々しい顔で呟く。
「千歳、アイツらだけじゃ手が足りない。
俺の事はいい、俺も動けるようになったら行く。
それまでは千歳がメインで攻撃をするんだ」
えぇぇぇぇっ!?
私があのホルタウロスを斬りつけるの?
「行くんだ!チャンスは今しかない!」
そう言ってツネノリは私に強い眼差しを向けてくる。
あー…、断りたい。
でもなぁ…、ダメオヤジを彷彿させるあの顔で強目に言われると何というか断れない。
諦めて私は立ち上がる。
「よし!千歳…アーティファクトと唱えて剣を出すんだ!」
あ、やっぱり言うんだ…
もう、やるわよ!
「【アーティファクト】!」
出た!
佐藤達より力強い光の剣。
「よし!斬り込め!」
もう、チクショョウ!なんて日なのよ!!
「わぁぁぁっ!!」
私は叫びながらホルタウロスに走って向かう。
そのままホルタウロスの胸めがけて剣を突き立てる。
剣はもの凄い切れ味なのだろう。
まるでスープの皿にスプーンを入れた時のように抵抗なくすっと入っていく。
そして数秒して吹き出す鮮血。
「わぁぁぁっ!?血!血が沢山!!」
私は思わず剣をしまってツネノリの元に戻る。
「どうした千歳!?やれたじゃないか!何故戻る!?」
「無理!血がドバァァッて出た!無理!!」
「そうは言っても俺はまだ動けない。
トドメは千歳が刺すしかないぞ!」
やだ、これ以上はやだ。
「それこそ佐藤達が後は頑張るわよ」
「佐藤?さっきから誰のことだかはいまいちわからないのだが、20人の連中なら…」
そう言ってツネノリがホルタウロスの方を指差す。
目を真っ赤にして怒ったホルタウロスがこん棒ではなく拳で20人を瞬く間に蹴散らしていた。
佐藤は壁まで吹き飛ばされてまた肉塊になっていた。
佐藤ぅぅぅっ!!
「千歳!」
「やるわよ!」
そういって私はまたホルタウロスの方を向かう。
でも、正直血はやだ。
何で光の剣って光の剣なのよ!
せめて突き刺さないとか斬らない物とかならよかったのに!!
ん?
ヒカリノケン…
ヒカリノケン?
あ、剣じゃなきゃダメなのかな?
そんな事を思いながら私は別の物をイメージしてみた。
どうか出てください!!
「【アーティファクト】」
私の両手が光る。
出た!!
「千歳!?それ…」
ツネノリが私を見て驚いている。
「そうよ、光の拳よ!」
そう。私は光の剣ではなく光の拳を出してみた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます