第十話 彼女と事件④
放課後の教室。犯人がいるのを確認し俺は中に入った。
「こんな時間にそんな所をあさってどうしたんですか?」
犯人は誰も来るとは思っていなかったようで、とても驚いた顔をしている。
「え、か、帰ったんじゃなかったの?進藤くん?」
「帰ったふりをしただけですよ。あなたが放課後ここにやってくると思ってね。」
犯人は黙った。そして沈黙が続いた。それを破ったのは俺だった。
「あなたが犯人だと思ったのは消去法の結果です。」
「しょ、消去法!?」
「まず男子生徒が消去法で消えました。他のクラスは授業中で盗むことは不可。そして体育の授業を行っていた俺達のクラスの男子にも桃山だけの下着を盗むことは不可能なんですよ。」
「え?彼女たちは教室で着替えていたんでしょ?なら彼女の机の上にあるのは確定じゃない。」
「俺も最初はそう思いました。しかし女子というのは群れる生き物なんです。」
「どうゆうこと?」
「ある女子生徒に聞きました。着替える時は自分の机で着替えるかと。答えはNoでした。仲のいい人の近くに集まって着替えると。つまり彼女らの着替えは本来の席に置かれていなかったということです。ここで言いたいのが彼女の席には別の生徒の着替えが置いてありました。ですが、彼女の着替えは盗まれてなかった。よく見ればどこかに名前は書いているが、余程運が良くない限り彼女の着替えは盗めない。つまり時間がなかった内のクラスの生徒に犯行は不可能だ。」
「ふーん。つまり時間があるやつが犯人だといいたい訳ね。」
「はい。次に女子生徒の可能性ですが、これはないでしょう。教室に一番に入ったのは桃山だったそうです。他のクラスは授業をしています。」
犯人は喋らなくなった。
「つまり犯人は生徒ではないという事になりますね。それでは次にもし男教師が犯人だった場合。これも無理があるでしょう。見つかった時のリスクが高すぎるし、隣では授業をやっている。着替えのある部屋に男教師が入っていくのは流石に印象に残ってしまう。」
沈黙が続く。
「では女教師の場合はどうか?これはリスクが少ないと言える。しかしこれに魔法の言葉を合わせるとより目立たなくなることが出来る。分かりますか?」
沈黙が続く。
「それはクラス担任ですよ。クラス担任の男教師だったら他のクラスの人が、絶対に注目してしまう。ではクラス担任の女教師だったらどうだ。完璧だ。他のクラスの生徒は忘れ物があったのかなとしか思わない。」
沈黙が続く。
「ですよね。金本桜先生。」
彼女は諦めた顔をして言った。
「流石、学年一位。見事な推理だ。」
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