メンヘラ彼女を殺された僕は面倒だけど彼女の姉と犯人探しする
てんこ
第1話 別に悲しくならない
僕の彼女は高校生ながらお酒で酔っ払った勢いで笑いながらリストカットするような頭のおかしい女の子だった。話を聞いてみるとどうやら部活の先輩に誘われて家に招待されたところ先輩含む複数人にレイプされたとのことでそれを聞いた僕の感想は「現実にそんなリスキーな事するやついるんだなぁ」であって、全く彼女が可哀想だとかは感じなかった。むしろその不用心を内心馬鹿にしていたくらいで、じゃあなんでそんな女の子と付き合うことになったのかと言えばそれはつまり僕も男の子でセックスに興味津々だったから。
実際に体験してみたら特に感動はなかったしそんなに彼女が好きだった訳でもないけど、彼女の方は僕の事が凄い好きみたいなのでなんとなく別れるタイミングもなくズルズル付き合っていた。多分、彼女が僕の事が好きなのは過去の経験に比べたら僕がマシだったのと、多少良いルックスと、セックスのテクニックを愛だと勘違いした結果だと思う。なんとなく僕はセックスにノルマを感じていて彼女の絶頂の回数を数えていて少なくとも5回以上カウントできた後でないと自分が達することができなかった。テクニックを磨いたのは早く終わらせたかったからで彼女には悪いけど愛の要素などまるでないのです。
そんな彼女と付き合い始めてから月日は流れ、僕は大学生になった。僕の彼女はメンヘラの例に漏れず記念日を気にするタイプだったので他県へお泊まり旅行に行く事になった。既に自動車免許を取得していた僕はレンタカーを借りて目的地へレッツゴー。道中、沙織がこんな事を言ってくる。
「遊園地、面白くなかったらごめんね」
「面白くない遊園地は潰れるだろうから、多分大丈夫でしょ。ただし、コーヒーカップぐるぐる回すやつはダメだ。ゲボ吐いちゃう」
メンヘラかつネガティブ。この旅行のプランは全部彼女が立てていて、お付き合い3周年旅行と言いつつも実質僕に楽しんで欲しいから企画しているみたい。どうやら彼女、僕と付き合った事によって色々救われたらしく異常に恩を感じている。なんやかんや今回の旅費も彼女持ちだし。僕はもちろん何もしちゃいない。一体今までどんな男と付き合ってきたのだろうか。言うほど興味ないけど。
その後も全く記憶に残らないようなどうでも良い会話を続けながら僕らは遊園地に到着する。遊園地の規模は某Dランドの半分くらいだけど動物園が併設されていて、いかにも家族連れに人気のアミューズメントパークって感じ。うん、動物臭いけど、良いんじゃない?
「あっ、コーヒーカップ回すやつあった!」
「いや、人の話聞いてた?」
探すんじゃないよ。でも乗っちゃう。そしてトイレで少し吐いちゃう。沙織は大爆笑。まぁ、旅行代出してもらってるからね。相応に楽しませる必要があると思ってしまう僕は根っからのエンターテイナーもとい社畜。いや、ヒモか?
そのあと酔い醒ましに動物園コーナーを回って何個かアトラクション乗って最後に観覧車。沙織が爆弾を投下してくる。
「最近、結婚について色々調べてて、学生結婚も悪くないと思ってるんだけど、どう?」
いや、全然、悪いと思いますけど。沙織と結婚するという発想自体が斬新なんですけど。おばあちゃんが言っていた、メンヘラと結婚するくらいなら生涯童貞を貫けと。言うわけないじゃん。
脳内でセルフ突っ込みを入れながら混乱しつつもその場はうやむやに流してホテルに付いてからいつも通りセックスして寝て起きたら沙織がいなくなっていた。結構ショックを受けてたみたいだし電話出ないし、お金持ちだから適当に帰ったのだろうと特に心配はせず、旅行二日目僕は当初の予定通りブドウ狩りをして映画を見てから家に帰った。一応電話してみたけどやっぱり出ないからまぁいいかと寝たら次の日の朝インターホンで起こされた。
「東雲沙織さんが、昨日昼過ぎ遺体で発見されました。当局は他殺を疑っております。原因究明のため、ご同行願えませんでしょうか」
マジで?沙織が死んだことはともかくとして、他殺の可能性があることには心底驚いた。殺人なんて、ここ200年ほど起きていないからだ。
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