全界書記と迷宮編纂

髙﨑　レイ

　蒼天が広がる空に幾重もの光が貫いていく。そんな異様な光景をとある場所に腰掛けて少女が1人眺めている。

「あれはー」

　無数の光が地に刺さり爆ぜる。そんな光景を感傷に浸るような瞳で見ている。

「そう。もうこんな時期なのね」

　その様子を眺めながら一冊の本を取り出して表表紙を優しく撫でる。その本は表紙は黒くナニカの皮を鞣して赤字で文字が綴られている。

「まさか本当に訪れるとはね。世界の強制力っていうのは怖いものね」

　パラパラと本を捲りながら呟きとある箇所でその手を止める。そのページだけそれまでとは違い金字だ。

「このページは確かー」

　胸元からペンダントロケットを取り出して留め金を外すと一枚の写真が飾られている。そこには少女と少年のツーショットが写されている。

「この子が書いたのだっけ。まさか拾った孤児が適性があるとは思いもしなかったけど」

　留め金を閉めて服の中に仕舞うと一気に零す。

「これもあの方が言っていた強制力の１つらしいわね」

　彼女自身もその運命の強制力にはとある事情からは従わざる負えない状況のためこうするしか方法がない。

「でもこの先は分からないのよね」

　溜め息をつき体を伸ばすと立ち上がる。その行動に付随するように本は動き一人でにページが捲れていく。七色に輝きながら文字が宙に浮かぶ。

「■■■■■」

　ぼそりとナニカを呟くとその身から翼が生えて空に舞う。そして後ろ髪を纏めるバレッタを外しながらももう1度口遊む。

「■■■■■」

　今度はその体を黄金と漆黒の2種の光が包み込みまるで繭のようになる。幾度となく光と振動が繭を揺さぶりそのたびに繭は大きくなっていき数分が経過すると爆ぜて中から修道女の衣装を見に纏う少女が現れ風がそれを祝福するように巻き起こる。それにより長い銀髪が風にさらされ陽の光に煌く。その姿のみを見ればまるで聖女や天使と謳われるであろう姿だ。

「じゃあね」

　先ほどまで自身が腰掛けていた墓石に優しく微笑むと背にある大きな翼で飛び去った。