第4話 光

彼女に言われるがまま、僕は道具を作った。

シャベル、リュック、バケツだ。

こんなものになんの意味があるんだろうか

「そのリュックとバケツが1杯になるまで物を集めてきなさい。」

「はぁ!?そんなの無理だよ!小一時間歩いてもあの本1冊だよ!」

「貴方がここから出るにはそれしか無いのよ!」

アイの迫真の大声に圧倒されて、僕は嫌々探索に出た。

「とは言ってもそんな都合よく物がある訳ないんだよなぁ...」

適当にその辺をシャベルで掘ってみる。

ガラクタばかり出てくる。

その中に、缶詰のようなものがあった。

「これは...タイムカプセルか?」

好奇心に負けて開けてみる。

中には薄汚れた手紙が入っていた。

「なんだこれ...山中 愛?」

読んだ瞬間酷い頭痛がした。

一緒に写真も入っている。

そこには、どう見てもアイとしか言いようのない女の子がいる。

「なん...でっ...」

全てを思い出す。

心の壁がバラバラ崩れていく。

アイが近づいてくる。

「さよなら。貴方は全てを思い出してしまったから、お別れよ。」

「私は貴方の1番大切な人の形を取って貴方を現実へと引き上げにきたのよ。」

「そうか...最後に一ついいか?」

「ええ。」

「短い間だったけどありがとな。」

「バカね...私は貴方が作ったのよ?」

「それでも...君が好きだ。一目惚れ。」

愛は顔を赤くする。

他の人から見たらナルシストなのかもしれない。

そろそろお別れを言おうか。

「じゃあ今度こそ、さよなら。」

「ええ、さようなら。」

光に包まれる。

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