5.24.魔法練習②


 次は三匹いっぺんに見てあげることにする。


 レイは氷魔法。

 任意の場所に氷塊を作ったり、壁を作ったりすることが出来るので、攻防どちらも優れている。

 それに加え、冷気は触れたものを凍らせる力を持っているので、それだけでも相当強い。


 攻撃として氷魔法を使うのであれば、冷気で足止め、そして氷塊をぶつけるというのが一番良いだろう。

 狩りで使用するのであれば、冷気だけで十分だ。

 後はゆっくり息の根を止めればいい。


『そんな簡単な事でいいなの?』

『冷気自体が強力だからな。それだけでも十分戦えるぞ』

『分かったの!』


 後は防御だが、氷の壁を作るのにどれだけの時間がかかるのか分からない。

 なので、とりあえずレイに壁を作ってもらう事にした。

 すると、約二秒くらいで氷の壁が完成する。

 まぁこれであれば戦闘にも使うことが出来るだろう。


『いいんじゃないか? とりあえず氷塊と氷の壁を作る速度の向上に努めようか』

『わかったのー!』


 よし、レイはこれでいいだろう。

 次はリッツ。

 複合魔法が苦手なので、それをもう一度教えてみよう。

 まずは単体で魔法を使ってもらう。


『せいっ!』


 初めに使ったのは炎魔法。

 炎の弾を周囲に展開させてそれを打ちこむ。

 ファイヤーボール的なあれですね。

 これくらいなら俺もできそうだ。


 次は雷魔法。

 雷を爪に集めて、それを振るう。

 すると、爪の形をした雷が飛び出して地面を焦がす。

 これは雷爪という魔法である。


 その時、リッツは纏雷も使用していた様だ。

 とりあえず今使える魔法は三つらしい。

 これを複合魔法にするとなると……。


『炎雷爪だな』

『えんらいそう? なにそれ』

『こんな感じ』


 雷を爪に溜めて、雷爪を打つときと同じ要領で腕を振るう。

 雷で出来た爪が前に飛び、地面を焦がしていくのだが、その時に雷で出来た爪が弾ける。

 弾けた雷は様々な方向へと飛ぶ。

 その時に炎魔法を発動させて、雷を炎に変換させる。


 蜘蛛の糸に炎が付くようにして、一気に燃え広がった。

 雷爪とは全く違う攻撃で、その範囲も三倍以上ある。

 所見殺しですね。


『お、おおー!』

『雷爪の後に炎魔法を使うんだ。一緒に使えるようになれば雷魔法に集中できる。すると範囲はもっと広がるぞ』

『やってみるー!』


 ダダダーっと走っていき、自主練を始める。

 なかなか上手く入っていない様だが、それらしい動きはできているので問題ないだろう。


 よし、最後はヒラ。

 でも光魔法と回復魔法なんだよな。

 ヒラからこれは聖魔法だという事は教えてもらっていたが、俺ではどうにもわからん。

 なので、光魔法を単体で教えることにする。


『無限箱、作ってみるか?』

『それってオール兄ちゃんが獲物入れてる奴?』

『そっそ』

『やる!』


 あれは光魔法だけで作っている物なので、作るのはそう難しくないだろう。

 イメージもとても簡単。

 何でも入るマジックボックスをイメージすればいいだけ。


『出来たっ』

『いやそれ……違うくない?』


 何ですかその丸いの……。

 正方形を作って欲しかったのだが……。

 でも作れたってことは、何かできるのだろうか?

 ちょっと試してみるか。


 まだ残っている雪を……これに入れてみる。

 闇の糸で掴んで入れてみると……。


『……? 入ったけど何も起こらんな』

『ナニコレ?』

『いや、俺が知りたいんだが……』


 普通に収納できているのだろうか?

 ていうか作った張本人が理解してないってどういうことですか……。

 それとなくわかりそうなもんだけどな。


『ちょっと出してみ?』

『うん』


 ヒラがいれた雪をペッと出すと、ガッチガチに凍った雪が出てきた。

 さっき入れたのは柔らかい雪だったはずだ。


『なんで?』

『なんでー?』


 いやくそ硬い。

 何これ石?

 心なしか質量も増えているような気がするのだが……。


 んー、違う物も入れてみるか。

 その辺にある葉っぱを一枚千切って、ヒラの作り出した光のボールにもう一度入れてみる。

 暫くしてから出してみると……。


 今回は特に変わったことは無かった。

 だが、やはり少しだけ重くなっている。

 落ちる速度が速かったからな。


 その葉っぱは地面に落ち、深々と刺さった。


『ん!?』

『んー!?』


 なにこれわけわかんねぇ!!

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