5.22.仲間たち


 入ってきた仲間は全部で十一匹だ。

 そのうち七匹が俺たちと同じエンリルという種族。

 四匹が一角狼だ。


 まずはエンリルたち。

 これはスルースナーにリーダーを担ってもらっている。


 スルースナー。

 闇魔法、身体能力強化の魔法、回復魔法を使うオス狼で、七匹の群れのリーダー。

 骨格変化の魔法を使うので、ちょっとグロい。

 何かの戦いで喉の骨か何かを変形してしまったのか、声がだみ声だ。

 だが聞き取れない程ではない。

 スルースナーは俺より群れのリーダーの素質があるように思える。

 しっかり狩りの手順なども考えてくれているし、縄張り拡大の為に散策を良くしてくれている。

 全部任せたい所だが、そうするとベンツがうるさいので、俺も渋々縄張りを広くするために散策をしています。


 アリア。

 炎魔法を得意とするメス狼だ。

 過去に子供を持っていたらしく、子供の相手はお手の物で、一番初めに子供たちと仲良くなった。

 冬の間は殆ど子守を任せていたな。

 あの時は助かりました。


 メイラムは毒魔法を得意とするオス狼。

 聞いてみると、メイラムは闇魔法を三つ複合して毒魔法を作り出しているらしい。

 俺には無理ですね!

 喋り方が少し不気味だが、能力はある。

 普通に優秀な狼だ。

 ただ、毒で倒した獲物は火を通さないと食べることが出来ないので、狩りにはあまり参加させていない。

 毒を持っている獲物を感知することが出来るらしいので、それだけは魔法を使って狩りに行ってもらっているくらいだ。

 毒を食べると新しい毒が作れるのだとか……。


 ラムイム。

 水魔法を使うメス狼。

 狩りや戦闘は得意ではなく、基本的には皆の世話をしてくれている。

 戦闘が得意でない代わりに、索敵能力が高いらしい。

 旅をしていた時はラムイムの能力に随分と助けられたのだとか。

 狩りには向かないが、また人間や魔物の軍が来た時に連れていくと役に立ってくれるだろう。


 ルース。

 土魔法を得意とするメス狼だ。

 しかし俺はルースが土魔法を使っている所を一度も見たことがない……。

 本当に使えるのかすら怪しい所だ。

 レイアといつも何かをしているようなのだが……詳しい事は知らない。


 レイア。

 土魔法と水魔法を使うメス狼。

 レイアもルースと同じく、魔法を使っている所を見たことがない。

 俺のいないところで何かをしているのだろうか?


 レスタン。

 雷魔法と闇魔法を使うメス狼だ。

 スルースナーの群れの中では唯一戦闘に優れているメス狼である。

 使う魔法は雷なのだが、その色は黒い。

 攻撃は雷を放出するのが殆どではあるが、当たったところはレスタンが念じない限り消えることは無いようだ。

 何それ欲しい。

 俺も使えると思うので、今度やってみよう。


 スルースナーの群れはこんな感じだ。

 次は一角狼の群れを紹介する。

 リーダーは一番体の小さいヴェイルガ。

 一角狼は体が小さければ小さい程、魔法に適性があり強力な攻撃や、補助魔法を使うことが出来るようだ。

 何度か見せてもらったのだが、補助魔法は雷魔法を使う事の出来る狼にしか使用できないらしく、纏雷を発動させていることが絶対条件。

 そうしておかないと、ダメージが入ってしまうのだという。

 限定的な魔法ではあるが、その効果はそれなりに良い物だ。

 一度俺に向けて使ってもらった事があったのだが、身体能力強化の魔法をかけているような感じになる。

 雷魔法しか使えない一角狼たちは、それで走る速度を上げていた様だ。


 ヴェイルガは我儘な性格をしている。 

 ぶっちゃけ面倒くさいのだが、喋り方が子供っぽいのでなんか憎めない。

 これは俺だけだろうがな。


 ガルザは一角狼の中で一番体の大きい狼だ。

 基本的には前衛を任せられており、狩りの作戦などもガルザが担っていたらしい。

 実際にリーダーの素質があるのは、ヴェイルガではなくガルザだろう。


 ディーナは一角狼の中で唯一のメス狼。

 一角狼たちは、基本的になんでもそつなくこなしてくれる。

 子供たちの面倒然り、狩り然り。

 そして今はお腹が大きく膨れている。

 子供がいるのだ。

 あまり無理をしないようにしてもらいたいな。


 デンザ。

 最後の一角狼で、ディーナのつがいだ。

 俺はひそかに一角狼の子供を見れるという事を楽しみにしている。

 絶対可愛いでしょ。


 と、まぁこんな感じです。

 随分と数が増えてしまった。

 全員で二十五匹の群れになった。


 数が増えるのは良いことだが、問題もちょっと増えてくるな。

 食料の問題はずっと続きそうだ。

 ま、暫くは問題ないだろう。

 これ以上増えてもいいように、その辺は今後しっかりと対策しておかないとなぁ。


『『『『オール兄ちゃーん!!』』』』

『? どしたー?』


 俺が皆を一匹ずつ見回していると、レイとリッツ、ヒラ、そしてニアが走って来た。


『魔法教えて!』

『ああ、いいぞいいぞ。俺もニアの魔法については研究したいからな』

『お願いね!』

『はいはい』


 という事で、俺は子供たちに魔法を教えに行くことになった。

 そろそろ俺も本気出して戦ってみたいのだが……。

 また魔物の軍こねぇかなぁ……。

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