第2話

 会社の駐車場に彼女が立っている。

 誰かを待っているようだ。


 ――俺か?

 まさかな……


 暗くてよく見えないが、誰かきた。


 男――か


 何を話しているのか、事務所の二階まではさすがに聞こえてこない。

 そのうち彼女が男にもたれかかったように見えた。

「…………」

 なんだか腹が立ってきた。

「なんなんだっ。どういう関係なんだ――あっ」

 男が、彼女を肩に担いで公園の方向へ歩き出した。

 一体、何がどうしたというのか。

 俺は階段を駆け降り、駐車場へと急いだ。

 そこには彼女の車があるだけで二人の姿はない。

 公園の方を見ても姿が見えない。

 なんだか首の後ろに違和感を覚えた。


 ――嫌な予感がする


 急いで公園へ向かう。

 あたりに人影はない。

 俺は何かに導かれるように、一直線に桜の木の下まできた。

「玲……」

 そこには、首に桜の枝を巻き付かせた彼女がいた。

 桜の枝に吊るされた彼女は、俺を見てにっこり微笑んでこう言った。

「これで……いいの?」

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