頑張れ新人女神ちゃん!
「初めまして!異世界人事部に新たに配属されました、サナです!今日からよろしくお願いします!」
私の名前はサナ、新人女神だ。
女神になるための試験に突破した私は、今日から女神が働く女神界という場所にある職場の内の、
「異世界人事部」という部署に配属されることになった。
私も異世界人事部に配属されると知ってから間もないけれど、世界のために一生懸命頑張ろう!
「ようこそ、異世界人事部へ。私はこの異世界人事部の部長のリゼよ。これから一緒によろしくね。」
「はい!よろしくお願いします!」(スタイルが良くて綺麗な
「それじゃあ早速この異世界人事部の仕事について説明するわね。異世界人事部の仕事は、異世界に転生することになった人間と面談して、その人にあった異世界を探して転生させること。私たちには事前に転生する人間の前世、つまり転生する前の世界でのその人の人生、その人の性格、趣味などの情報が渡されるわ。
その情報と本人の希望を聞いて得た情報を女神用のツール、『異世界ちゃん』に入力してヒットした
異世界に転生させる。それが私たちの仕事の流れよ。ここまでは大丈夫?」
「はい。転生者と面談して本人の転生の希望を聞く→事前に渡される転生者の情報と本人の希望を
『異世界ちゃん』に入力する→『異世界ちゃん』の検索にヒットした異世界に転生させる。ですよね?
でも、1人1人にマッチする異世界なんてあるんですか?」
「ああ、それは心配ないわ。実は異世界ってね、星の数ほどあるの。元々はそんなになかったのだけれど最近になってから急に増え出したのよ。」
「なるほど。」
「昔は女神が転生者を選んで世界を救わせに転生させていたのだけれど、今はだいぶ平和な異世界も増えていてね、女神が呼ばなくても転生者が異世界に転生したいと強く願うだけで転生できるようになったのよ。
あと、昔は異世界に転生するときは元いた異世界から急に転生させられるのだけど、急に転生したらその人と親しかった人が悲しむんじゃないかという話も多かったから、最近では異世界に転生する前に置き手紙なんかも残せるようになったのよ。」
「そ、そうなんですね。(え〜なんでもありじゃん!ていうか異世界平和なんだ。)」
「というわけで以上が異世界人事部の仕事についての説明ね。では、早速だけどあなたには仕事をしてもらうわ。異世界が増えたことに伴って転生者もかなり増えているから人手不足なのよ。大変だと思うけどお互い頑張りましょう。」
「はい!新人女神サナ、一生懸命頑張ります!」
「ふふ、良い元気ね。その元気が続くといいわね。」
「え、それって...」
「なんでもないわ。それでは持ち場についてもらいましょう。転生者との面談は『転生の間』という場所で行われるわ。その転生の間であなたは転生者と面談して本人の行きたい異世界の希望を聞く。そして転生させる。
あ、早速あなたの担当の転生者が来たみたいよ。記念すべき最初の仕事ね。じゃあ、いってらっしゃい。」
「はい!」
「あ、そういえば。転生者を異世界に転生させてしばらくすると、『異世界ウォッチング部』っていう私たちの部署とは別の異世界とその異世界に転生した転生者をウォッチングしてその様子からその転生者を転生させた女神の評価をつける部署からの評価が届くわ。まあ、最初は評価が低いかもしれないけれど、気にせずに頑張りなさい。」
「わ、分かりました!」
〜転生の間〜
あれが私の初めての担当者!
え〜とどれどれ。あの人の情報は...田中デュフ夫、18歳、
趣味:可愛い女の子のフィギュア集め・アニメ観賞、これまでの人生はひたすらアニメ観賞とフィギュア集めに費やし、他にやることといえばライトノベルを読むこと、友達とはアニメの話を延々と...
これっていわゆる『オタク』だよね...いやいや、偏見で決めつけるのはよくないな。
とりあえず面談を始めよう。
私はデュフ夫の前に座った。
「初めまして、私はサナ。女神です。早速ですけど田中デュフ夫さん、あなたには異世界に...」
「やっぱりそうでござるよね!!!!!」
「え、」
「美人な少女!このフワッとした謎の空間!そして、選ばれし拙者!
これはもう、異世界転生キタコレ!!!!!」
「えっと〜...」
「拙者はどんな異世界に行くのでござるか?やっぱり勇者ですか?世界すくっちゃう感じでござるか???」
「と、とりあえず落ち着いてください。実は今は平和な異世界も多くて、この面談であなたの希望を聞いて行ってもらう異世界を選ぶというような感じで...」
「マジでござるか!!!異世界に行かせてもらえてさらに!!!自分で選べる!!!
神でござるね!!!あ、サナちゃんは女神でござったでござるね!デュフフフフフフフフフフフフフフ!!」
えーーーーーーーー。異世界転生者ってみんなこんな感じなの!?これが普通なのかな!?
「そ、それでは面談を始めますね。あなたはどんな異世界に行きたいですか?」
「そうでござるね〜。う〜ん。とりあえず、ハーレムで!!!」
「...といいますと?」
「いや〜やっぱり異世界といったらハーレムに限るでござるね〜。
異世界で一番初めに出会った美少女!ツンデレ系ヒロイン!最初は敵だったけど味方になった途端にデレデレのケモミミ美少女!そんな女の子たちに囲まれてハーレムしたいでござる!!!!!!」
「な、なるほど、え〜と、他に希望はありますか?」
「他でござるか。他は〜うん。やっぱりチート系でござるね!!!」
「チ、チート系ですか?」
「そうでござる!!!異世界に現れていきなり聞こえる女の子の悲鳴!それを聞いて助けに行く拙者!
女の子を襲っていた暴漢になめられていたけれども、圧倒的な力で勝利する拙者!
そして助けた女の子と...デュフ、デュフフフフフフフフフフフフフフフフ!!!」
「い、良いですね、アハハハハ。(うわ〜これが俗にいうヤバい人なのかな〜。)
それではあなたの希望と情報で、あなたにあった異世界を検索しますね?少々お待ちください。」
「了解でござる!」
情報を『異世界ちゃん』に入力してっと...本当にこんな風な異世界なんてあるのかな〜?
ピピッ、異世界ちゃんが鳴った。
「検索情報に該当する異世界が一件見つかりました。」
あ、あるんだ。
「該当異世界の名称、『ワールド・オブ・ザ・ハーレム』。この異世界でよろしいですか?」
うわ〜見るからに変な世界だ。
「あ、今転生者を呼んできますね。」
「デュフ夫さん、ありましたよ。」
「本当でござるか!!!」
「では、さっそく転生しますか?」
「もちろんでござる!!!いや〜拙者って元いた世界ではオタク生活しかしていなくてでござるね〜。なんというか、ようやく拙者の活躍の場が来たという感じでござるね!!!」
「そ、それでは、異世界に転生しましょう。
あ、そういえば、親しかった人たちなどに手紙などは残しますか?」
「手紙でござるか〜。いや、大丈夫でござる。自分で言うのもお恥ずかしいのでござるが、拙者を見て家族はため息ばかりついていたでござるし、拙者の友人は突然消えて旅立ったみたいな展開が好きな奴ばっかりでござるので、大丈夫でござるよ。」
「分かりました。(なんか触れちゃいけないところに触れちゃったかな〜。ちょっと罪悪感。)
では転生を始めます。あなたの行く異世界は『ワールド・オブ・ザ・ハーレム』。
それでは楽しい異世界ライフを!」
サナは女神の力によって転生を行った。
「ありがとう、行ってくるでござる〜。」
こうしてサナの始めての仕事は終了した。
はあ〜なんかすごい疲れた〜。でも、初めての仕事ができて嬉しいな〜。これからも頑張ろう!
〜数時間後〜
あ、異世界ウォッチング部から評価が届いてる。
『ワールド・オブ・ザ・ハーレム、転生者:田中デュフ夫、担当女神:新人女神サナ、
評価(SからDまである。):D』
嘘!?D!?Dって最低ランクだよね?なんで?
『評価理由:ワールド・オブ・ザ・ハーレムは基本的にハーレムライフを満喫できる世界なのですが、
田中デュフ夫は最初からハメをはずしてデュフデュフし過ぎたため、女性たちは悲鳴を上げているなどの理由からこの評価となりました。なお、世界は平和の模様。』
あ〜って!え、デュフデュフって何!?
っていうかハーレムのための世界でハーレムできないってどういうこと!?
はあ。こんなものなのかな?それとも私の実力不足なのかな?
〜数分後〜
「お疲れ様。最初の仕事はどうだった?」
「リゼさん。お疲れ様です。...なんというか満足のいくものではなかったです。異世界人事部の仕事って大変なものなんですね。」
「やっぱり大変だったのね。でも落ち込む必要なんてないわよ。最初はみんなそんなものだから。」
「はい...」
「あ、そうだ。これから私の担当者が来るのだけれども、見てみる?」
(リゼさんのお仕事の様子...うん、これは成長するためのチャンスかも!)
「はい!ぜひ、お願いします!」
「OK。じゃあ行きましょ。」
〜転生の間〜
「私は女神リゼ、あなたの異世界転生の担当者よ。よろしくね。」
「は、はい。よろしくお願いします。...ところで異世界転生、ですか?」
「ええ。あなたは転生者に選ばれた...というより、あなたが異世界に行きたいと強く願ったから転生者になったわ。」
「き、き、来たーーーーーーー!!!
やっぱり僕は選ばれし者っていうことですよね!いや〜参ったな〜、アハハ。」
あ、これデュフ夫さんと同じタイプだ。リゼさんはどんな風に対応するんだろう?
やっぱりクールにこなすのかな?
「異世界っていったらあれですよね!可愛い女の子ですよね!ハーレムなんかになっちゃって!いや〜モテる男って辛...」
「うるせえよ。」
「え、」
え、リゼさん?
「さっきからゴチャゴチャゴチャゴチャうるせぇんだよ!!!!!!」
えーーーーーーー。
「斎藤モブ、18才、趣味:アニメオタク活動・ラノベ(ハーレム系)を読む、彼女いない歴=年齢ねえ...
そんな奴が馴染めていない場所かつ、たくさんの女の子なんていう状況で過ごせるわけねぇだろ!!!」
「え、いや、えっと、その...すいません。でもそれっていわゆる異世界チートとかでなんとかならないものでしょうか、ほら元々陰キャだった人が異世界だとモテモテみたいな...」
「甘ったれてんじゃねえよ!!!異世界がそんな都合よくてたまるか!陰キャは異世界に行っても陰キャのまま。モテない人は異世界に行ってもモテないままなんだよ!!!」
「そ、そんな〜...」
「だからよ、異世界に行ったらお前は自分の手で未来を切り開きなさい。」
「...え?」
「たとえ今女の子と話すのが苦手だとしても、あなたがしっかり相手の女の子と向き合って話そうとすればいつかきっと話せるようになるわ。
だからあなたにはあえて、チートも何も発動しない異世界に行ってもらうわ。
そこで一生懸命、頑張りなさい。」
「女神様......はい!頑張ります!頑張って女の子とたくさん話して僕だけのハーレム帝国を作ります!」
「ふふ、そのいきよ。
それじゃあもう異世界に転生する準備はできた?こっちはいつでも転生させられるわよ。」
「はい、大丈夫です!」
「それでは、斎藤モブ、あなたを異世界に転生させます。
あなたが楽しい異世界ライフを送れることを願っています。モブ君、頑張ってね。」
「はい、女神様、ありがとうございました!行ってきます!」
こうして転生が完了した。
「リゼさん、すごくカッコ良かったです!」
「ありがとう、サナちゃん。
でも、あなたはあんな乱暴な言葉遣いはしちゃだめよ。」
「了解です!」
その後、リゼさんによって転生させられたモブ君は女の子とも喋れるようになって充実した異世界ライフを送っているらしい。ハーレムはまだ先の話らしいが。
やっぱりリゼさんはすごいな。私もリゼさんのような立派な女神になれるように頑張ろう!
こうして私の異世界人事部での仕事1日目は終わった。
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