紙の上の住人

Iris

タイムリミット

文「限られた時間しかないとしたらどうする?」


絵「それは・・・意味が解らないのだけれど」


文「ごめん、たとえば余命1年だとしたら何をする?」


絵「それは・・・健康なまま過ごして1年後に死ぬ訳ではないよね」


文「・・・そっか、6ヵ月後に入院とか」


絵「普通に過ごせるのは3ヵ月くらいか・・・」


文「かな」


絵「描けなくなる前に絵を描くかな・・・」


文「だよね」


絵「ん?」


文「たとえばさ、まともに仕事がでくるのは60才くらいって見方があるでしょう?」


絵「定年?」


文「そう、頭と手足がまともに使える限界」


絵「そう?」


文「普段から文章や絵をかいていたら別だと思う」


絵「あ・・・手が震えだしたら描きたい線がひけないのか・・・」


文「そういうこと、文章能力だって一般生活と仕事だけだと定型文しか使わないでしょう?」


絵「・・・かな」


文「30才の人だと趣味が楽しめるのも30年ってタイムリミットがあるとしたら?」


絵「・・・あせるね」


文「いつかやろうって思っていて気が付いた時にはもうできなかったりするんだよね」


絵「なるほど、なんかあった?」


文「いや・・・なかね、仕事して帰って寝て、仕事辞めたら何が残るんだ?って考えたら怖くなっただけ」


絵「・・・怖いね」


文「でしょう?」


絵「それで?」


文「え?」


絵「それだけ?」


文「なんとなく言ってみただけ」


絵「・・・はぁ」


文「でもさ、余命があと3年だとしたらどうする?」


絵「3年間の計画を全力で生きる?」


文「なのかな?なんとなく何も手につかなくなるかも」


絵「・・・かもね」


文「それに3年たつまえに・・・3ヵ月後に事故で死ぬかも」


絵「・・・それもあるか・・・で?」


文「いや、考え出したらきりがないなって」


絵「めんどくさいやつだな」


文「ごめん」


絵「まぁ・・・明日、突然死ぬならって思うと貯金もバカバカしいか・・・」


文「ね、節約とかしてお金貯めて使わないまま死ぬとか」


絵「いちばん切ないかな・・・」


文「でしょう?」


絵「なんの話だった?」


文「・・・なんだっけ?」


絵「・・・」


文「あ・・・今を生きるってことだね」


絵「ん・・・酔ってる?」


文「へへへ・・・ばれたか」


絵「で、君は何がしたいんだい?」


文「そりゃ・・・小説の投稿で賞を取るとか?」


絵「・・・応援するよ」


文「ありがとう・・・君は?」


絵「・・・なんだろ?」


文「考えてみてよ、大人になってから夢を見るのも楽しいと思うよ」


絵「・・・かもね」

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