心を閉ざす。

@amimi

第1話 プロローグ




あの時まで、僕は隣に住んでいる彼女といつも一緒にいたんだ。


自分の妹からは毎日のようにからかわれて。


お互いの家族からは


「将来結婚したら?」


なんて言われるぐらいで。


毎日毎日笑って本当に楽しかった。



そう、あの時までは─────────。
















僕が中学生3年生を終え少し経ったある日、




(ふー。今日で塾ともお別れかー、勉強頑張ったなぁー、柚希とも同じ高校だし、毎日イチャイチャできるなぁ。あー柚希のこと考えてたら話したくなってきたなー)




浮かれながら、塾から家に帰る途中のこと。




すれ違った怪しげな男から、ふと、焦げるような匂いがしたのだった。




僕はその匂いをタバコの匂いだと思い、


(タバコの吸いすぎは良くないぞー)

っと心の中で思っていた。




その時点で何か気付くべきだったのだろうか─────────。








そして何事もなく、あと、自転車を後1分くらい漕げば家に着くというところで、急に救急車や消防車のサイレンが鳴り響いてきた。




(火事でも起こったのかな?もしかして僕の近くの家だったりして。そんな訳ないけど。)




他人事のようにその事を考えて自転車を漕いでいたその時だった──────。



衝撃的なものが自分の目に入り込んできた。



(ま、ま、まさか..........──────)




そう、彼女の家が燃えていたのだ。




自分の彼女の家があったはずである場所の前には消防車と救急車が止まっていた。




「そんな...嘘だ.....嘘だといってくれ.....!」



僕は我を忘れて彼女の家の前に行き、近くにいた柚希のお母さんに、



「す、すみません、柚希は...柚希は無事ですか...!!」


息を切らし、少し荒っぽくなりながら聞いた。



「..................」



彼女のお母さんは何も答えなかった。



僕はその反応に不安を抱き、さらに荒っぽく、彼女のお母さんを揺さぶりながら聞いた。



「無事なんですよね...!無事だから黙ってるんですよね!!!そういって下さい!!!」



それでも彼女のお母さんは黙ったまま、今度は下を向いてしまった。





この時、僕は悟った。




僕の愛しい彼女は死んでしまったのだと────────────────。














これはある男子高校生が閉じてしまった心を再び開くまでのお話────。












────────────────

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