ササヤキノベルフェンシング

オドラデク

第1話

ササヤキノベルフェンシングとは要するに自分の魂を憎み続けるための遊戯であり、どうしようもない安酒を施し合うような、そういう耐えられなさのための空談だ。こここで書いている今も何も思いつかないしわからない空洞が夢を追い続ける。夢を被造物から救い出すことの執念、世界が社会に侵されていくことを抹殺しようという懸念。そう、いつもだ、焦燥にかられ、焦燥にかられ、何の意味もなくうろつき回る静止。聴こえないか?そう、何も聞こえない。声が氾濫し誰もが声を出しその機械的な構成が至る所で主張を繰り返しているにもかかわらず何も聴こえないが聞こえ続ける。ならば耳を塞ぐこと、助けを求め世界を求め、そうして安酒を求めるこのような性欲が愛と呼ばれるにふさわしい美を生産しないのか。翼を持たないロマンチストは仲間を見つけられず現実的な宇宙にそのような静止と孤独を捧げる。星々が集まり誕生しそうしてグループを創造するたびに殲滅の恩寵が鳴り響く。なぜ崩壊しないのか。祈りは崩壊になり一切の正常さに無言の侮蔑を下し、そうして異常さが感覚の束として盤上の鮮明さを巻き起こす麻痺の現実。こうして他人は何者でもなく、故郷は廃墟で、感染される善意の群れに、窒息しそうなほどの空を保ちつつ、夢の重力の中で曲芸を繰り返す。精神病の光景、それが決して視えないのは言葉が死んでおり、心が死んでおり、凍てつくような過去の記憶が死んでおり、そうして未来が季節と共に死んでおり、仲間が死んでいるからだ。死んでいる限り、そのようなものは無だ。駆逐されるべき行動が謳う希望を保存しないように努力する。私ができる努力はそれだけでそうやって一日が終わらず無限に回帰する年月が永遠に暦という吹聴された数字を計算する。ササヤキノベルフェンシングの開始だ。

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