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 サーシャロッドに訊いてみれば、確かにカモミールは明日からこの月の宮殿にやってくるらしい。


 月の宮殿はとても広く、エレノアもまだその一部にしか足を運んだことがないが、カモミールはサーシャロッドとエレノアの寝室から、回廊を二つ渡った先にある別の棟に滞在するそうだ。


 昔から、身分のある妖精が花嫁修業をするために使われているところらしい。


 エレノアも少しの間だが、クライヴの婚約者であったときに花嫁修業として城へ通っていた。


 そこでは礼儀作法や勉学、音楽などを教えられたが、妖精の花嫁修業も同じようなものだろうか。


 エレノアが考え込むと、サーシャロッドの指がエレノアのわき腹をくすぐった。


「ひゃっ」


「考え事とは、余裕そうだな」


 肩越しに振り返れば、にっこりとサーシャロッドが微笑んでいて、エレノアはぎくりとする。


 エレノアはサーシャロッドに後ろから抱きかかえられて、「肉付きチェック」をされている。カモミールのことが気になったとはいえ、ぼんやりしていたエレノアがサーシャロッドは気に入らないらしい。


 腹のあたりを撫でていた手を、するすると下へ滑らせて、おへそのあたりをくすぐられ、エレノアは身をよじった。


「あ、そこ、やっ」


「エレノアはここも弱いな。それからここも。ああ、このあたりも」


 そう言いながら、エレノアが特に敏感に反応するところに手を這わせていく。


 足の付け根のあたりを、指先でつーっとなぞられて、エレノアはあわあわと四つん這いで逃げようとしたが、後ろからのしかかられてあっさりと封じ込められた。


 うなじのあたりに吸い付かれて、背後から回された腕が胸をふにふにと揉みはじめる。


 体重をかけてのしかかられているので、エレノアの力ではびくともしない。


「あうっ、うーっ」


 襟をぐいっと引っ張られれば、腰ひもで結んでいるだけの薄い夜着は簡単にはだけてしまう。


 背中の半分ほどまで夜着をずり下ろされて、エレノアは真っ赤になった。


 サーシャロッドの唇が、うなじから背筋、そして肩甲骨の下のあたりを滑っていく。


 そのままゆっくりと腰の方へ滑っていき、エレノアがぴくんと大きく体を揺らせば、サーシャロッドが腰骨のあたりに吸い付いた。


「ふわああっ」


「なるほど、ここも弱いのか」


 いつも優しいサーシャロッドが、どうしてこの時だけはこんなに意地悪になるのかエレノアにはわからない。


 うつぶせにされているから胸は見られないが、背中は丸見えで、エレノアは恥ずかしくて仕方がないのに、まるでエレノアが恥ずかしがるのが面白いみたいにサーシャロッドは笑う。


「しかし腰が細いな。このあたりにはまだ全然肉がつかないな」


 サーシャロッドがさわさわと撫でるたびに、ぴくんぴくんと陸に打ち上げられた魚のようにエレノアは体を跳ねさせる。


 サーシャロッドは背中にたくさんのキスの痕をつけながら、満足するまでエレノアの反応を楽しんだ。

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