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数日後。
リーファと一緒にプリンを蒸し終えたエレノアは、プリンが冷めるのを待つ間に鉢植えを覗き込んで「あ!」と声をあげた。
メロンの「メロちゃん」の種を植えた鉢植えから、可愛い双葉がぴょこっと顔を出している。
毎日一生懸命話しかけたから、芽を出してくれたのかもしれないと、エレノアは嬉しくなって鉢植えに水をあげた。
こうなると、できる限りずっとそばについて成長を見ていたくなる。
エレノアの部屋は、確かに自室として与えられたが、お菓子作りをするくらいにしか使っていない。それ以外はいつも寝室のソファで妖精とおしゃべりしていることが多かった。
エレノアは少し考えて、鉢植えを持って夫婦の寝室へ向かった。その窓際に鉢植えをおいて、満足そうに頷く。ここにおいていた方が、たくさんメロちゃんの観察ができる。
「めがでたー?」
「ほんとだ!」
「めろちゃんげんきそうー」
「もうちょっとだよー」
「もうちょっとでおおきいめろんができ上がるのー」
「さいごはいちばんいっぱいあいじょうをあげてねー」
わらわらと妖精が集まってきて、エレノアと鉢植えの周りを取り囲む。
まだ双葉の状態なのに、もうちょっとでメロンができるとはせっかちな妖精たちだ。
「最後に一番いっぱい愛情?」
エレノアが双葉を見つめながら首をひねると、妖精たちが大きく頷く。
「そう、さいごにいっぱいあいじょう!」
「さいごにたくさんあげないと、おおきくあまくならないからー!」
「えれのあ、がんばってー!」
よくわからないが、メロンの実がなりはじめたらたくさんの愛情を注げばいいのだろうか。
(たくさん話しかければいいのかな?)
エレノアはそう解釈して、「がんばるね」と妖精たちに向かって頷くと、彼らは嬉しそうに部屋中を飛び回った。
「いいことしたー」
「さーしゃさま、ほめてくれるかなー?」
「のんのん! けっかがないとほめてくれないよー」
「じゃあ、まだだめだー」
「こんやかなぁー」
「ねんのため、ひりょうをあげておこうよー」
「おー!」
よくわからないことを言いながら、妖精たちがわーっといっせいに部屋から出て行くと、エレノアはきょとんと首を傾げたのだった。
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