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 妖精が植木鉢と土を用意してくれたので、さっそくメロンの種を植えることにした。


 妖精曰く、愛情をあげて育てれば、とても甘くて大きなメロンが出来上がるそうだ。


 愛情をあげるというのは抽象的すぎていまいちよくわからないが、一生懸命育てればいいということだろう。


 エレノアはちょっと考えて、植木鉢に水をやりながら「おいしくなってね?」と話しかけてみた。


 そして、さらに考えて、植木鉢の淵に、「メロちゃん」と書く。犬や猫にも名前をつけるし、メロンにも名前をつければ愛情がわくかもしれない。


 日当たりのいい窓際に植木鉢をおいて、エレノアは満足そうに頷くと、そろそろ夕食だと呼びに来たリーファに返事をして、ぱたぱたとメインダイニングに向かった。


 ダイニングに向かうと、すでにサーシャロッドがいた。


 食事はいつも、エレノアとサーシャロッドの二人で取る。妖精たちがよく乱入するが、リーファは宮の中で夫と一緒に使っている部屋で夫婦水入らずで食べる。そして、食事が終わったら、エレノアの入浴や就寝の手伝いでこちらへ戻って来るのだ。


 エレノアはここに来る前、硬いパンとスープの残りしか食べない生活を送っていたので、基本的に食が細い。だが、サーシャロッドは容赦なくエレノアが限界だというまで食べさせるので、少しずつだが食べる量が増えてきた。


「その魚は全部食べろよ。それから、そのパンもだぞ」


 エレノアの手が少し止まっただけでサーシャロッドのチェックが入る。サーシャロッドはエレノアにとても優しいが、こういう時はちょっぴり厳しい。


 エレノアは「はい」と頷いて、もぐもぐと口を動かす。


 料理もパンも、びっくりするくらいおいしいけれど、もう少し量が少なかったらもっと嬉しい。


 でも、早くサーシャロッドの「肉付きチェック」に合格しなくてはいけないから、エレノアは頑張って食事を口に運ぶ。


 サーシャロッドは暇さえあればエレノアのわき腹や二の腕を触って「肉付きチェック」をするが、夜のベッドの中での「肉付きチェック」はもっとたくさんのところを触られる。


 それはとても恥ずかしいから、エレノアは早く合格できるように、必死だった。

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