シモン四世・ド・モンフォールの非情な選定


 いつの時代も、宗教戦争や宗教弾圧というものは、想像だにしない人間の残虐さを垣間見せるものだ。

 その好例として、シモン四世・ド・モンフォールの所業を紹介しよう。


 一二〇九年。

 アルビジョワ十字軍に参加していたモンフォールの部隊が、地中海のそばの町、ベジェを占拠した。

 十字軍は、ベジェの町に徹底的な略奪行為をおこなった。そして、略奪がひとしきりすんだ後、選定作業をおこなうことになった。

 その選定作業とは、町の住民の誰が異教徒で、誰が異教徒じゃないか、という選定である。


 だが、この選定作業は難航した。

 見た目で判断できるものではないし、問いただしたとしても、命が惜しい人々は当然のごとく異教徒ではないと主張する。


 悩んだあげく、モンフォールは決断した。

 その決断とは、町の住民全てを皆殺しにすること。


 子供まで含め、数万人の人々を虐殺した。

 なぜこのような残虐なことを行ったかというと、モンフォールから言わせれば、れっきとした理由があるとのこと。


 それは――――皆殺しにすれば、神が天界で区別なされるだろう、というふざけた理由だった。

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