ダーウィンと種の起源


 進化論と種の起源で有名なダーウィンだが、この進化論と種の起源を発表する前に、ちょっとしたなんともいえぬ出来事があった。

 そもそも、ダーウィンは進化論の完成に、十四年を費やした。

 なぜそうまで時間をかけたかというと、ダーウィンは進化論によって、宗教上、学問上の大論争が巻き起こることを予見していた。なので、補強のための引用文献を多くするために、出版のすすめを引き延ばしていたからだ。


 時を同じくして、生物学者のウォーレスという人物がいた。

 ウォーレスは、アジアとオーストラリアとの動物の差に着目していたのだが、ボルネオで病気になってしまった。

 しかし、それがきっかけでとある仮説を思いついた。

 ウォーレスはその思いつきを三日間でまとめあげ、当時高名であったダーウィンにその説を送った。

 ウォーレスの説を受け取ったダーウィンは驚愕した。それもそのはず、ウォーレスの説はダーウィンのまとめていた進化論と非常によく似ていたからだ。

 慌ててダーウィンはウォーレスの元へと赴き、ウォーレスと話し合い、一八五八年に共同で論文を発表することになったのだった。


 それから一年後。

 ダーウィンは個人の名で『種の起源』を発表し、有名となったのだ。

 しかし、この『種の起源』は、ダーウィンが計画していたものの五分の一ほどの量となっており、ダーウィンはこの『種の起源』を要約と呼ぶことにした。かなり複雑な気分だったろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る