ゴッホとメンデルの共通点


 芸術家として名高きゴッホ。

 遺伝学の祖であるメンデル。

 まったくもって分野の違う二人だが、この二人には大きな共通点がある。

 それは何かというと、二人とも、死後に評価されたという点である。

 ゴッホについては今さら言うまでもないだろうから、今回はメンデルについてスポットをあてることにしよう。


 そもそもメンデルは、最初は大学講師を目指していた。

 しかし、ウィーン大学の資格試験に、三度も落ちてしまったのだ。

 しかも、その落ちた理由がまた衝撃的で、その理由とは『頭の働きがよくない』というもの。まさに全否定である。


 ウィーン大学の判定にショックをうけたメンデルは、聖職につくことになった。

 修道院での生活の中で、メンデルはエンドウの栽培にいそしんでいた。

 栽培の最中、エンドウの成長などを把握していくうちに、メンデルはとある法則性に気づく。

 この瞬間こそ、かの有名なメンデルの法則誕生の瞬間であった。

 メンデルはすぐさま論文を作成し、それを当時高名なスイスの植物学者に送ったものの、くだらぬものだとレッテルを貼られて返送されてしまう。


 だが、メンデルはめげずにその論文をほぼ全財産で自費出版をした。

 しかし、哀しいほどに誰にも注目されることはなく、むしろ批判と嘲笑を浴びる結果となってしまう。

 するとさしものメンデルも、もうやってられるかと科学に対する情熱を失い、研究を諦めてしまった。

 そして彼の死後十六年後。彼の論文のすさまじさが理解されることになり、メンデルの法則が世に知れわたることになったのだ。天才は人の先を行くものだが、真の天才は先を行き過ぎてしまうものらしい。

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